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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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【West Ham×Saints】EL敗退で崩れたクラブと、EL快勝で波に乗ったクラブの予想通りの結末!

プレミアリーグ2015-16シーズン6位、サウサンプトン、18勝9分11敗、勝ち点63。同7位、ウェストハム、16勝14分8敗、勝ち点62。2つのクラブは、つい4か月前までは同じように語られるクラブでした。闘将の下、躍進する中堅クラブ。今季のヨーロッパリーグは本大会出場はならなかったものの、2季連続の出場権獲得で2016-17シーズンは期待大…。1年前、ウェストハムはヨーロッパリーグの予選3回戦でアストラに競り負けており、サウサンプトンはプレーオフでミッティランに惜敗。2015年は本大会出場はならなかったものの、その後確実に強くなった彼らを観た多くのプレミアリーグファンが、リヴァプールやチェルシーを押しのけて欧州へのチケットを再度手に入れた両者に対して、次こそはいけるのではないかとポジティブに評価していたのではないでしょうか。クーマン監督のセインツは年を追うごとに順位を上げており、不評だったアラダイスの後を継いだビリッチ監督は、アグレッシブなサッカーでレスター以外の上位をすべて食いちぎっていたのですから。

ところが、オフシーズンに入ると、ハマーズとセインツは対照的な夏を過ごすことになりました。明暗の「明」は、オリンピックスタジアム移転をバックグラウンドに大量補強を敢行したイーストロンドンのクラブ。「暗」のほうは、グラツィアーノ・ペッレ、サディオ・マネ、ビクター・ワニャマといった主力ばかりか、躍進の功労者だったクーマン監督までいなくなったセインツです。フェグリ、ギョクハン・トレ、ノルトヴェイト、アルトゥール・マスアク、カジェリ、アイェウ、シモーネ・ザザ、アルベロア。主力がほとんど残留したにも関わらず、煌びやかな補強を進めるハマーズを、本気でヨーロッパリーグを戦おうとしているのだなと注目したファンは多いでしょう。

一方のセインツは、新監督としてプレミアリーグでは無名のクロ―ド・ピュエル氏を招聘。常勝だったオリンピック・リヨンを引き受け、タイトルを獲れずに評価を下げた後、4年間指揮を執ったニースでは4位の翌年に17位とパーデュー監督のような不安定な足跡を残した指揮官です。ネイサン・レドモンド、ブファル、ホイビュルグがクラブを去った主力の穴を埋めてくれるかは見当がつかず、監督も選手もハマーズより下と見る向きが多いなかでシーズンが開幕しました。計算できるストライカーがシェーン・ロングしかおらず、選手層が厚いとはいえないクラブは、ストレートインでヨーロッパリーグ本大会を戦うこともさほど話題になりませんでした。

8月13日、プレミアリーグ開幕節を本拠地セント・メアリーズで迎えたセインツは、格下のワトフォードにドロー。2日後にチェルシーとのロンドンダービーでシーズンをスタートしたハマーズは、2-1惜敗。2節はオールド・トラフォードでマンチェスター・ユナイテッドに敗れたセインツに対して、ビリッチ監督はボーンマスに1-0で順当勝ち。ここまでは間違いなく、期待のハマーズ、不安なセインツでした。

両者の明暗を逆転させた装置は、ヨーロッパリーグです。8月25日、アストラとのELプレーオフ・ファーストレグを敵地で引き分けていたビリッチ監督は、前季のプレミアリーグにおけるサウサンプトンとの勝ち点1差がいかに重かったか、最終節のストーク戦で敗れたのがいかに激痛だったのかを思い知ることになります。本拠地オリンピックスタジアムで、まさかの0-1、予選敗退。監督はもちろん、選手にとってもショッキングだったのではないでしょうか。直後のマンチェスター・シティ戦を3-1で落とすと、ビリッチ監督のチームは失点が止まらなくなります。ワトフォードとWBAに2-4という同じスコアで連敗。1勝4敗で降格ゾーンの18位という低迷は、誰も予想できなかったでしょう。ただし、セインツもプレミアリーグ4節までは大して変わりません。3節では最下位サンダーランドにホームで勝てず、次節のアーセナル戦は追加タイムにカソルラにPKを決められて惜敗。2分2敗は、ウェストハムを下回っていました。

ハマーズが衝撃の敗戦を喫した3週間後の9月15日。この日はセインツにとって、忘れられない日となりました。スパルタ・プラハに3-0完勝!2ゴールをゲットしたチャーリー・オースティンは、1月にQPRから加わった後、2014-15シーズンのプレミアリーグ18ゴールが嘘のように沈黙し、7試合1ゴールで昨季を終えていたストライカーです。新シーズンにペッレの代わりとして彼をカウントしていた人はいなかったのではないでしょうか。この勝利に、選手も監督も手ごたえを感じたのでしょう。ヨーロッパリーグが現在のレギュレーションとなってから、記念すべき初勝利を挙げたクラブは、スウォンジーをチャーリー・オースティンのゴールで1-0で下してプレミアリーグでも今季最初の勝ち点3。EFLカップのクリスタル・パレスを2-0で完封し、3連続クリーンシートの3連勝で日曜日のゲームを迎えることとなりました。

さて、ここで問題です。ヨーロッパリーグを敗退となった後、プレミアリーグ3試合で11失点を喫して3連敗中のクラブがホーム。ヨーロッパリーグで初勝利を飾った後、すべてクリーンシートで3連勝中のクラブがアウェイ。オリンピックスタジアムのウェストハムVSサウサンプトンは、どちらがどんなスコアで勝ったでしょう。…そうです。直近のデータどおり0-3、セインツ4連勝。ハマーズはEFLカップでアクリントンには勝ったものの、プレミアリーグでは4連敗です。

1点めは40分、完全にウィークポイントと化している右サイドをタディッチとバートランドに崩され、最後はケチャップ出まくりのチャーリー・オースティン、ここ3試合で4ゴールめ。62分の2点めは、スティーブン・デイヴィスのしつこいチェックからレドモンドが右のオースティンに展開すると、ストライカーの素晴らしいスルーパスに守備陣3人が置き去りにされ、タディッチがプッシュ。最後のゴールは92分、スティーブン・デイヴィスに左サイドを突破されると、グラウンダーをカットした後のこぼれ球をウォード=プラウズに蹴り込まれてジ・エンド。すべてヘディングの5ゴールでプレミアリーグのリーディングスコアラーとなっているマイケル・アントニオと、秀逸なクロスで彼に決めさせるパイェのホットラインは機能せず、ハマーズはあの忌まわしいアストラ戦以来、今季2回めの完封負けというおまけつきで18位キープとなりました。セインツのほうは連勝で9位に浮上。次のヨーロッパリーグ出場権圏内まで勝ち点差5は、まずまずのポジションです。

先週の「テレグラフ」は、ウェストハムの経営陣はキャロルやアイェウを負傷で欠いたビリッチ監督に同情的で、解任は考えていないものの、契約延長については棚上げになったと報じていました。確かに負傷者は多いのですが、現状の課題はクレスウェル以外は揃っている守備陣です。立て直しには相当時間がかかるのではないかと思われますが、プレミアリーグは待ってくれません。ミドルズブラ、クリスタル・パレス、サンダーランドと続く3戦で勝てなければ、きなくさいゴシップが立ち上がるかもしれません。メンタルコンディションが上がったセインツと、ショックを払拭できないハマーズ。サッカーはかくもメンタルが大事なのかと、あらためて考えさせられます。ウェストハムが昨季と同じ数字でシーズンを終えたければ、15勝14分3敗というハイペースが必要となります。

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“【West Ham×Saints】EL敗退で崩れたクラブと、EL快勝で波に乗ったクラブの予想通りの結末!” への2件のフィードバック

  1. ホタ より:

    ハマーズがここまで泥沼に陥っていることは今の所、今シーズンで一番のサプライズです。
    ノーブルがこの敗戦後語っていましたが、「新スタジアム移転の影響が予想より大きかった」
    「昨季の躍進で調子に乗っていた」「今は皆自信を喪失している」ということでした。
    やはり、大型補強を敢行し新スタジアムに移り、「さあこれから」というところでアストラに足元をすくわれたショックが未だに尾を引いているのでしょうか。
    守備の立て直しが急務ですが正直立ち直る気配が見えませんね。自信を取り戻すという意味でも、どんなラッキーな形でもいいので勝つことが一番の薬になると思います

  2. makoto より:

    ホタさん>
    私も向こうの新聞でノーブルのコメントを読みました。自信喪失しているのは間違いないのではないでしょうか。バイラム、コリンズが特に気になります。

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