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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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【Chelsea×WBA】「なぜ、チェルシーは勝ち点を落とさないのか」がわかる堂々の1-0勝利!

昨季王者レスターを3-0で粉砕し、TOP6からも3勝を挙げ、日曜日のWBA戦を勝ちきって、ついにプレミアリーグ9連勝。コンテ監督が3-4-3にシフトする前に勝利したアーセナルとリヴァプールは、現在のチェルシーに勝てるでしょうか。9試合の得点は23、失点はわずか2。アスピリクエタ、ダヴィド・ルイス、ケーヒルの3バックにカンテが加わる中央の守備は堅牢。アザールとマルコス・アロンソ、ペドロとヴィクター・モーゼスがセットで攻めてくるサイドで互角以上に戦えたチームは、マンチェスター・シティぐらいです。ジエゴ・コスタは15戦12発で、目下のところプレミアリーグ得点王。今季の1点差勝利5試合のうち4試合で決勝ゴールと、無類の勝負強さを発揮しています。

攻守とも完成度が高いチェルシーですが、ランチタイムキックオフで開催された日曜日のWBA戦は、連勝期間中で「同点の時間が最も長いゲーム」でした。マンチェスター・ユナイテッド戦ではキックオフから1分もしないうちにゴールを決めたチームは、粘り強いピューリス軍団からゴールを奪うまでに、76分を要しました。さっそく、試合を振り返ってみましょう。チェルシーのスタメンは、「いつもの11人」です。開始早々からアスピリクエタやケーヒルが敵陣に入り込み、サイド攻撃に厚みをもたらしているホームチーム。サイドを崩したいWBAは、5分に右からのクロスをサロモン・ロンドンがヘッドで合わせますが、シュートは力なくクルトワの懐に収まります。

マルコス・アロンソが逆サイドにロングフィードを送り、ヴィクター・モーゼスが追った8分の攻撃が、いかにもコンテのチームです。ウイングバックやセントラルMFから、一発で前線にパスが通り、最短距離でゴールに迫るのがプレミアリーグ首位チームの攻撃戦術の核。モウリーニョ時代との変化という観点では、右よりも左サイドの面々でしょう。アザールは「左から中」、マティッチは「より前へ」。10番が迷いなく中央に走れるのは、マルコス・アロンソが左サイドにいてくれるからで、マティッチが頻繁に攻め上がって6アシストを決めているのは、後方をカンテやケーヒルがカバーしてくれるからです。15分にはアザールのロングパスでペドロがGKフォスターの前まで走っており、「両サイドの選手が、ピッチを斜めに横切るパスで直接つながる」のも3-4-3になってから増えた現象です。

19分にクリス・グラントが放った左足のミドルには、ヒヤリとさせられました。11月以降のプレミアリーグで3勝1分と好調のWBAは、走行距離リーグ4位と守備をさぼらないチームで、シンプルなサイド攻撃と積極的なミドルシュートで好結果を生んでいます。26分、サロモン・ロンドンがダヴィド・ルイスを抜き去ってゴールに突進。カバーに入ったアスピリクエタの股間を通したシュートは、右のポストすれすれでした。これもまた、WBAの得点パターン。チェルシーの3バックは、フィジカルが強いストライカーに前を向かせてはいけません。28分にカンテが放ったミドルは、ペドロに当たってGKフォスターが逆を取られますが、枠の外に転がっていきました。

アザールがボールを持つと、ドリブラーの進路となる縦と中を2人の選手がカバーしています。サイドからいいボールを入れさせない統率の取れた守備が、ピューリスサッカーの真骨頂。今季プレミアリーグで3失点以上は10節のマンチェスター・シティ戦のみ。5敗のうち4敗が1点差と、必ずきわどい勝負に持ち込めるのは、走力と戦術徹底度の高さゆえです。前半は0-0。チェルシーは、3-4-3にシフトしてから初めてスタンフォード・ブリッジでのゲームをノーゴールで折り返しました。それでも私は、チェルシーは必ず勝つと思っていました。彼らのプレイには自信がみなぎっていたからです。後半のテーマは、「コンテ監督のチームがどう戦い、どう勝つか」でした。

今シーズンのチェルシーにおける変化のひとつに、ジエゴ・コスタが相手を挑発しなくなったことがあります。調子がいいからなのか、新チームに手応えを感じているのか、60分にドーソンに削られたときも痛みをこらえ、起き上がるのみでした。残り30分を切ったところで、コンテ監督はペドロを諦めウィリアンを投入。63分、WBAが左サイドから攻め込み、売出し中のマット・フィリップスが再三クロスを上げますが、中のサロモン・ロンドンには合いません。65分、今度はサロモン・ロンドンが左サイドを突破し、走り込んだダレン・フレッチャーに折り返すと、ケーヒルが手前に入ってカット。アウェイチームは先制のチャンスを活かせませんでした。

残り時間は15分少々。コンテ監督が切った2枚めのカードは、ヴィクター・モーゼスをセスクです。ウィリアン投入後、アスピリクエタ、ケーヒル、ダヴィド・ルイス、マルコス・アロンソの4バックにスイッチしていたチェルシーは、セスクをトップ下に据える4-2-3-1で戦うようです。この交代から2分後、先制点を呼んだのは右にいたセスクが自陣から浮かした縦パスでした。マコーリーが優勢だった競り合いを制したのはジエゴ・コスタ。右から強引にボックスに侵入し、角度のないところから放った強烈なシュートが左のサイドネットに突き刺さりました。シャドリとマクレーンを入れて同点をめざすピューリス監督に対して、コンテ監督はアザールをイヴァノヴィッチ。最後の布陣は、5バックです。多分に放り込み対策だと思われますが、チェルシーはただ守っていたわけではなく、87分にジエゴ・コスタが右サイドを崩して、セスクに打たせようとしたシーンは決定的でした。相変わらず、3バック+カンテの中央に隙がありません。ハル・ロブソン・カヌの投入も効果なく、WBAはグッドルーザーとして敵地を去るに留まりました。

適材適所のフォーメーション、戦術浸透度の高さ、絶対的エースの絶好調、ストップアンドゴーの判断や走り込むスペース選択に迷いがない攻撃陣、上下動をさぼらないウイングバック、統率が取れた堅牢な3バック。「なぜ、チェルシーは勝ち点を落とさないのか」と問われれば、このあたりが模範解答なのではないでしょうか。さらに加えるなら、「欧州の大会がないためレギュラーを固定しやすい」「監督が誰でも大量の負傷者を出さない」のも強みでしょう。年末年始のタイトなスケジュールを無事に乗り越え、ジエゴ・コスタ、アザール、カンテを最後まで失わなければ、コンテ監督は初年度からプレミアリーグ最強の称号を得られそうです。彼らを止めるのは、どこでしょうか。ボックス脇のスペースを突破してCBを引っ張り出せるザハとタウンゼントがいる今週末のクリスタル・パレスはおもしろそうですが、果たして…・。

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“【Chelsea×WBA】「なぜ、チェルシーは勝ち点を落とさないのか」がわかる堂々の1-0勝利!” への5件のフィードバック

  1. フットマン より:

    はじめまして。
    いつも楽しく拝見させてもらってありがとうございます。
    チェルシー強いですね。
    独走の気配も漂うようになってきましたね。今のチェルシーは隙がない感じです。

    対戦側としてはどういった戦術が有効なんでしょうね。ベップシティにはちょっと期待していたんですが。。
    アーセナルも次に対戦する時は苦戦しそうですし、個人的にはリバプールかユナイテッドがいい戦いをしてくれそうなイメージをもっていますが。。

  2. プレミアリーグ大好き! より:

    隙が無いわけでは無いんですよね。
    ダヴィドルイスは何回かやらかしてますし。
    ただ前線のクオリティは凄いと思います。

  3. nori より:

    途中でシステムやメンバー交代しながら、連携不足やミスが目立つ部分もありましたが、結果を見れば勝負強かったですね。
    ここからの休みなし2連戦、どう疲労メンバーを入替えながらやりくりするのか、楽しみです。

  4. blue より:

    厳しい試合でしたが勝ち切れる辺り去年とはほんとに別チームですね
    まだ就任して半年も経ってないので多くを求めるのは酷ですが、後半の様に選手交代とともにシステムと戦い方も変えられる幅のあるチームになることを期待してます

  5. 雨好 より:

    更新お疲れ様です。
    終盤コスタになんとかして貰いましたが流石ピュリスのチーム。調子がいい時の厄介さはピカイチでした。他の方も触れられていますが今節は攻撃も守備もミスが目立ちましたし、やはり引かれて守られて外、外になってしまうと厳しいと感じました。コスタ、アザール、ウィリアン、ペドロと個で崩せる人材は前線には居ますが、出来れば中央をドリブルで運べるセンターハーフがもう一枚いればと感じてしまいます。私としては補強ではなくオスカルに頑張って貰いたいのですが…。

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