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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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【Hull City×Liverpool】直近5戦4敗の絶不調…リヴァプールは自滅でハル・シティに完敗!

前節のプレミアリーグで、GKヤクポヴィッチがビッグセーブを連発してマンチェスター・ユナイテッドとドローに持ち込んだハル・シティは、1月を1勝4分4敗と停滞したリヴァプールにとって侮れない相手です。クロップ監督は、ナサニエル・クライン、ミルナー、マティプが揃った最終ラインにルーカス・レイヴァを起用しました。中盤にはヘンダーソン、ララナ、エムレ・ジャン。3トップのマネ、フィルミーノ、コウチーニョは、久しぶりの布陣です。開始直後から、レッズが攻勢。ボックス手前からのエムレ・ジャンのシュートはDFに当たって枠を外れましたが、ゲームへの入り方は上々です。10分、ハル・シティに最初のチャンス。ハドルストーンの縦パスをエヴァンドロが左に流すと、中央からダイレクトで狙ったのはエンディアエ。1月に獲得したばかりの新戦力2人が絡んだアタックは、今までのハル・シティにはなかったスピーディーな仕掛けです。

16分、フィルミーノとのコンビで左サイドを完全に崩したミルナーは、ラストパスのコースを失ってしまいました。21分にフィルミーノが左から仕掛け、DFをかわしてふわりと浮かすと、ヤクポヴィッチが弾いたボールをコウチーニョがボレーで狙いますが、出てきたGKに当たって左に逸れていきます。ヘンダーソンが前線に通すロングフィードがとにかく絶品。3トップがサイドで勝てるレッズは、ゴール前に厚みを築きたいところ。プレミアリーグ初先発となるラノッキアと好調マグワイアのCBコンビと真っ向勝負を挑むより、第3の選手がボックスに入ってくる形に勝機がありそうです。ハル・シティは、右サイドの新戦力グロシツキにボールを集めて突破を図るも、ミルナーが何とか喰らいついて自由にクロスを上げさせません。39分、右からのコウチーニョのFKは壁にブロックされ、逆サイドにまわったボールをララナが思い切りよく右足を振り抜くと、これもDFに弾き返されます。

押していたリヴァプールは、44分に不用意なプレイを連発して失点を喫してしまいます。エムレ・ジャンのパスミスからCKを与え、ラノッキアのヘディングシュートがゴールに向かうと、マグワイアと競ったミニョレはキャッチできず。ボールはすぐ後ろにいたエンディアエの足元に落ちてしまい、無人のゴールにスライディングシュートが突き刺さりました。GKがしっかり捕りにいっていれば、キーパーチャージの笛が鳴っていたはずで、中途半端なプレイが悔やまれます。前半はこのまま1-0。2017年のプレミアリーグで未だ勝利がないレッズには、2点が必要となりました。

後半開始直後のサイド攻撃をしのいだレッズが、すかさず逆襲。48分からの3本のCKは、マティプのボレー、エムレ・ジャンのヘッドともDFとGKに阻まれます。53分、ナサニエル・クラインのクロスのクリアをエムレ・ジャンがヘッドで左に送ると、ミルナーのボレーには強さが足りませんでした。56分、左サイドから中に持ち込んだララナがファーに高いボールを上げると、マネのヘッドはヤクポヴィッチが体を伸ばしてセーブ。プレミアリーグ19位のクラブの守護神は、マンチェスター・ユナイテッドとリヴァプール相手に150分間ゴールを許していません。

60分のミルナーのFKは、こぼれ球に反応したルーカスとマティプのシュートをDFが体を張ってカット。エヴァンドロがタイモンに代わった後、ハドルストーンの浮き球でラインの裏に出たアベル・エルナンデスはミニョレにコースを塞がれます。さらにハル・シティは64分、カウンターからグロシツキのスルーパスで完全に抜け出したアベル・エルナンデスが、ミニョレと1対1になりますが、勇敢に体を投げ出したGKがシュートをストップします。66分、今度はレッズに決定機。ボックスの左隅からマネが入れたクロスを競り合ったボールが、左サイドにいたミルナーに戻ると、ニアを狙った右足のシュートはマグワイアがブロック。ファーに流れたボールをトラップしたコウチーニョは、左隅に入れれば間違いなく同点でしたが、枠に収められずに頭を抱えます。エムレ・ジャンをスタリッジに代えたレッズに、残された時間は20分しかありません。

ミルナーとララナを諦め、アルベルト・モレノとオリギを投入したクロップ監督は、選手交代の効果を確認する前に勝負を決められてしまいました。84分、マネのドリブルをロバートソンがカットすると、ラノッキアが途中出場のニアッセに縦パス1発。24番から目を離していたルーカスは置き去りにされ、マティプが追いつく直前にミニョレと向き合ったニアッセは、右足のインサイドで確実に股間を抜きました。2点差となった89分、ヘンダーソンの強烈なミドルはヤクポヴィッチが横っ飛びでビッグセーブ。直後のスタリッジのシュートも、好調の守護神がストップします。クロップ監督は、タイムアップの笛が鳴る前にマルコ・シルヴァ監督と抱擁をかわし、ピッチを後にします。2-0、ハル・シティがプレミアリーグ残留に希望をつなぐ大金星を挙げました。

エンディアエが先制点、ニアッセはダメ押し。エヴァンドロはストライカーとのコンビで前線をかき回し、グロスツキは右サイドからドリブルでチャンスメイク。右サイドで上下動を繰り返すエラブデラウィ、最終ラインを統率するラノッキアと、冬の新戦力を6人も投入したマルコ・シルヴァ監督のチームは、今までとは別物だと思ったほうがいいでしょう。中盤の選手がバイタルエリアをしっかり埋める守備は堅くなっており、上位クラブといえども簡単にゴールを奪えなくなりました。今季プレミアリーグで、本拠地では初のクリーンシート勝利。スノドグラスをウェストハムに奪われ、降格が確実視されていたチームは、予想に反して残留を勝ち取るかもしれません。

しかし、それでもリヴァプールが勝つべき試合でした。クロップ監督は、チェルシー戦でゴールを決めていたワイナルドゥムをなぜ先発から外したのでしょうか。エムレ・ジャンのポジションに、ボールをキープできるオランダ代表MFがいれば、チェンジオブペースがしやすくなり、ハル・シティのチャンスの数を減らせたでしょう。中盤のミスをきっかけに1-0とされたレッズは、精度の低いクロスや力んだシュートが増え、最近の負けパターンに完全にはまってしまいました。ナサニエル・クラインやミルナーがウイングとのコンビでサイドを崩し、フィルミーノやララナがゴール前に詰めた後ろからワイナルドゥム…といった攻撃ができれば、先にゴールを奪って逃げ切る展開に持ち込めたのではないかと思います。次戦の相手はトッテナム。さらに勝ち点を落とせば、プレミアリーグ4位確保も厳しくなります。(アルフレッド・エンディアエ 写真著作者/Ultraslansi)

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“【Hull City×Liverpool】直近5戦4敗の絶不調…リヴァプールは自滅でハル・シティに完敗!” への5件のフィードバック

  1. Macki より:

    更新ご苦労様です。
    悪夢のような負け方でした、、、。私も何故チャンが起用されたのか不思議で仕方ありません。
    無気力と捉えられても仕方ないプレーがいくつかありました。また失点シーンもいただけません。GKのキャッチミスというか、、、この手の問題はこの先も悩まされそうです。攻撃陣も空回りと、、、今回の負けは言い訳の効かない負けです。クロップ就任してから最大のピンチというか暗黒期です。それでもこの状況を打破するのはピッチに立つ選手。スパーズ戦での奮起を願いたいところです。このままいくと4位はおろか一気に7位あたりまで後退しかねません。しかし、ハルは前半と違い別チームになりました。実績のあるマルコ・シルヴァ監督、次節のガナ戦も一泡吹かすかもしれませんね。

  2. K より:

    予想通りですね。体力が回復する3月近くのレスター戦まで正直どうでも良いです。そこでダメなら今年はダメでしょう
    週に2試合こなす体力が全くないので仕方ありませんし、3位を争うチームとは出来も大差ないし勝ち点差1だし3月からの6ポインターを取ればOKです

    昨日に関しては左サイドのコウチ、チャン、ミルナーの出来が悪すぎました
    コウチは怪我で能力が去年に逆戻り。雑トラップで引かれた相手に何も出来ない
    ミルナーは過労で安定しない守備の中、高い位置を取り続けて左サイドに大穴を開け
    チャンはここ1ヶ月ふくらはぎを痛めてるらしく全く走らないし、全てが酷すぎて使う意味が分からないレベル

    主審は動きながら手に当たってもPK見逃し、同じハンドでミルナーはイエローでも相手には出ないなど最高のジャッジ
    レッズはイライラするとパフォーマンスが一気に落ちるメンタルの弱いチームですし効きましたね!
    まぁ最後には4位には滑り込んで色んな意味で笑えるシーズンとなると信じてます
    毎年恒例の残留争いを面白くする役割は今年でお別れしたかったのですが…今年はかなり…笑えます

  3. makoto より:

    Mackiさん>
    上位が下位にやられる典型的な展開に陥ってしまいましたね。チェルシー戦のフィルミーノ、この日のコウリーニョなど、決定機でシュートが狙い通りのコースにいかないのが気になりました。

    Kさん>
    ハル・シティが勝つと思ってたのですね。素晴らしいです。私はレッズが勝つと思ってました。左サイドがグロスツキにやられていたのは確かですが、決定的に崩されたわけではなく、失点はセットピースとカウンターでした。この試合の敗因を疲労に求めるのは、違和感があります。コンディションがどうあれ、何とかしなければいけない試合、何とかできた試合ではないかと思いました。

  4. K より:

    予想通りというのは、引かれた相手も蹂躙出来てた素晴らしいチームに戻るまでは期待出来ないこと
    メンタル的に切れた昨年のスパーズと違って、フィジカル起因の燃え尽きなんで3月までは戻らないという予想の通りだった、という話です
    PK見逃し後から嫌な予感がしてましたが、仰る通り何とかしないといけない試合でした

    試合の敗因は99%監督です。ワイナルダムのベンチ、ミルナーやチャンの酷いコンディションを作り出した起用下手

    ポジションが無秩序で攻撃一辺倒な無策サッカーだから守備時は無駄なダッシュが多く、
    攻撃もヘンドのロングパス、マネの単騎突破、ララナ・フィルミーノ・コウチのアイディア頼みはロジャース政権末期を思い出します

    ヘンドの素晴らしいロングパスが通ってもシュートを打てないクライン
    高さが足りない真ん中に放り込むだけの両SBをいつまで常に攻撃参加させるのか疑問です

    おかげで相手の4-1-4-1の2ライン間で3〜5人くらい横一列に並ぶサッカーを展開し、相手の両サイドからのカウンターを受け続けました
    決定的に崩されなかったのはチャン以外が頑張って走ったのと、相手の個の力が低かったからです

    薄い選手層でドイツ時代と同じ失敗を繰り返す監督的な限界なんで、疲労が溜まるこの時期に調子を落とそうが4位取れたらどうでも良いです。長文申し訳ありませんでした

  5. へんだーそん より:

    Kさん>
    なるほど。お考えはより理解しました。Kさんの説が妥当であれば、「疲労が溜まるこの時期に調子を落とそうが4位取れたら」というあたりは、難しいかもしれませんね。

    2014-15のチェルシーは、Kさん説によるレッズ同様、「1月に疲労がたまってスローダウンした」チームなのだと思います。ただし彼らは圧倒的に強かったため、思うように完勝できなくなっても、負けないサッカーでシーズンを走り切りました。ただしそれは、モウリーニョ監督の素晴らしい采配で持たせたものであり、CLを早期敗退したにも関わらず、調子は最後まで上がりませんでした(=後半戦の2点差勝利はたった1試合)。今季のリヴァプールが、「スケジュールが緩くなったら疲労回復して強さが戻る」説は、そうならない可能性があります。

    ちなみに、2014-15のチェルシーは、キャピタルワンカップを制しています。2013-14のモイーズ・ユナイテッドも1月にセミファイナルを戦っており、1月~2月の3勝2分3敗で決定的に失速。昨季覇者のマン・シティも同時期を3勝2分3敗で脱落、準優勝のリヴァプールも2勝3分3敗と停滞してプレミアリーグ8位です。よって、クロップサッカーがプレミアリーグでは難しい説よりも、

    「リーグカップ準決勝のホーム&アウェイで魂を吸い取られる説」

    のほうが迫力ありませんか?こう考えると、

    「アーセナルがプレミアリーグ4位をキープできるのは、リーグカップでからきしダメだから説」「アーセン・ヴェンゲルわざと負けてる!?説」

    まで妄想が広がるのですが、いかがでしょうか。コメント欄に書いてしまいましたが、この説を本編で取り上げて、みなさんのご意見を聞いてみたいぐらいです。

    —–

    その説は怖い、ホラーのようです。良い人っぽいヴェンゲルだから余計に怖い。
    でも、プロフェッショナルな大人の世界なら有り得るアイデアなのでしょうね。

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