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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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【Chelsea×Crystal Palace】今季最大の番狂わせ!クリスタル・パレスが鮮やかな2発で首位に逆転勝利!

 ジャイアントキリングといっていいのではないでしょうか。今でも、信じられません。プレミアリーグ30節のロンドンダービー、スタンフォード・ブリッジのチェルシーVSクリスタル・パレス。首位のチェルシーは、ホームで負けたのは5節のリヴァプール戦のみ。16位に沈むクリスタル・パレスは、ロンドンダービーは5戦全敗です。クルトワ、アスピリクエタ、ダヴィド・ルイス、ケーヒル、カンテ、マティッチ、セスク、マルコス・アロンソ、ペドロ、ジエゴ・コスタ、アザール。ヴィクター・モーゼスこそいないものの、チェルシーの11人は問題なし。アラダイス戦術が浸透してきたクリスタル・パレスは、直近のプレミアリーグをクリーンシートで3連勝とはいえ、スタンフォード・ブリッジではドローはあっても勝てるとは思えませんでした。

5分、カンテとアスピリクエタで囲んで奪ったボールがセスクにつながり、ピッチに対角線を描くようなロングフィード。左サイドでフェイントを披露しながら、味方の上がりを待ったアザールのラストパスは、80メートルは走ったと思われるニアのセスクにピタリと合いました。コンテ監督のチームならではの見事な速攻で1-0。恥ずかしながら、私はここでチェルシーが勝ったと思いました。6分にもマティッチがアザールを走らせ、さらに外から上がってきたマルコス・アロンソのクロスをジエゴ・コスタがボレー。うまくミートしなかったものの、これもまたチェルシーらしいアタック。反撃に出るクリスタル・パレスはベンテケの高さ以外に武器がなく、なかなかシュートに持ち込めないのではないかと思ったのですが…。

9分、ベンテケがハイボールをおさめて左から仕掛けたアタック。ダヴィド・ルイスのクリアを拾ったウォードが前線にいたザハに当てると、得意のドリブルで右にまわったザハが、一瞬空いたコースを見逃さずクロスへのシュートを叩き込みます。興奮冷めやらぬ11分、自陣深くからタウンゼントが縦に出したボールをベンテケが持ち込んだカウンター。上がり過ぎていたチェルシーは、カンテとダヴィド・ルイスでベンテケを囲みながら奪えず、左にいたザハに出たボールが中に戻ると、ベンテケがフリー。冷静なチップキックがゴールに向かって弧を描くと、さすがのクルトワも呆然と見送るしかありませんでした。珍しくカンテがボールウォッチャーとなり、ベンテケのショータイムを許した逆転劇。しかし、時間はたっぷり残っています。チェルシーが前半のうちに追いつけば、ママドゥ・サコの加入以来よくなったアウェイチームの守備陣も耐えきれないのではないかと思いました。

17分、アザールがCKをニアに転がすと、クリアに右足を振り抜いたペドロの決定的な一撃はタウンゼントが右に出した腕にヒット。至近距離から蹴ったボールでハンドは認められないのが今のサッカーですが、クリスタル・パレスの10番は腕をキックの後に腕を開いており、微妙なジャッジでした。22分、ボックス右でシュルップを縦に振ったアザールがすぐ後ろのセスクに落とすと、速いグラウンダーに合わせたジエゴ・コスタのボレーはヘネシーがビッグセーブ。前線のベンテケに当ててこぼれたボールを狙う攻撃は、アラダイス監督がチームに徹底させた戦術でしょう。右サイドにまわったアザールにとって、タウンゼントは格好のカモです。縦に軽く出せば簡単にクロスのコースが空き、アウェイチームのCBが中で何とか掻き出しています。

32分、FKのスペシャリストであるダヴィド・ルイスがゴール前で落ちるように蹴ったボールは、ヘネシーが正面でキャッチ。守備の安定と引き換えにパーデュー時代の得点力を手離したクリスタル・パレスは、ハーフコートマッチとなることを甘受しながらよく守っています。38分にマルコス・アロンソが入れた高速グラウンダーはヘネシーがセーブ。ワンツーでシュルップを抜き去ったアザールがニアに蹴った強烈なシュートも、GKが体を張って弾き出します。アスピリクエタのミドルもFKに合わせたマティッチのヘッドも決まらず、クリスタル・パレスはハーフタイムまでリードを守り切りました。トムキンスがパーデュー時代のレギュラーだったスコット・ダンに代わり、不安が増した後半も、当然のようにチェルシーペース。カンテがバイタルエリア手前まで上がって舵取り役をこなし、アウェイチームはなかなかラインを上げられません。

53分、ペドロがジエゴ・コスタを走らせた速攻は、角度のないところからの強引なシュートをスコット・ダンがカット。56分にペドロが出した高いクロスも、トラップから右足を振り抜いたジエゴ・コスタの一撃をスコット・ダンが足に当ててしのぎます。57分、入ったばかりのスコット・ダンが足を痛めて担架で運ばれ、アラダイス監督はさらなる予定変更を強いられます。タウンゼントもセットで下げた元イングランド代表監督のチョイスは、デラニーとマーティン・ケリー。コンテ監督もマティッチをウィリアンに代え、圧力を強めます。

サイドを崩すところまではよかったチェルシーの課題は、中央の薄さ。マティッチを下げるなら、ウィリアンより先にバチュアイを入れて、アザールをトップの後ろに置く3-1-4-2にしてもよかったのではないでしょうか。68分、キャバイェが左サイドから入れたFKの狙いは飛び出したミリヴォイェヴィッチでしたが、タッチできずにボールはファーポストの外に消えていきます。マルコス・アロンソに代わってバチュアイが登場したのは75分。直後、アザールのクロスが上がると、ウォードのマークを外したジエゴ・コスタがヘディングシュートを放ちますが、コントロールが効かずに左に外してしまいます。

猛攻を止めないチェルシー。85分にウィリアンの縦パスを直接打ったセスクのシュートは、ヘネシーが確実にストップします。90分、セスクが左に浮かしたボールをジエゴ・コスタが頭で合わせるも、ボールはバーの上。7分の追加タイムで最も決定的だったのは、シュルップのグラウンダーをニアで合わせたザハのボレーでした。両足をつったサコは、ヘネシーとともにジャイアントキリングの立役者です。守備陣が耐えたクリスタル・パレスは、1-2をキープして首位から勝ち点3をゲットしました。「プレミアリーグの下位は、これだからやっかい」といいたくなる泥くさい守備に対して焦ったのか、チェルシー攻撃陣のフィニッシュは強引さと微妙なミスが目立ちました。アラダイス監督の統率力と選手たちの奮闘を称賛しつつ、ここまでこういった負け方をしなかったチェルシーの素晴らしさにも頭を下げたいと思います。彼らが下位に敗れたのは、これが初めてなのですから。(クリスティアン・ベンテケ 写真著作者/@cfcunofficial (Chelsea Debs) London ママドゥ・サコ 写真著作者/Jon Candy)

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“【Chelsea×Crystal Palace】今季最大の番狂わせ!クリスタル・パレスが鮮やかな2発で首位に逆転勝利!” への3件のフィードバック

  1. Macki より:

    更新ご苦労様です。
    代表明けのリーグ戦とは言え、やはり侮れないパレス。ザハの得点は彼のポテンシャルを発揮したゴールかと思います。ベンテケのチップシュートが出来るのは今の彼が精神的にに充実している証かと思いました。ザッピングしながらのゲーム観戦でしたがこの一戦の戦い方は下位チームには一つのシグナルとなる戦い方かもしれませんね。

  2. NORI より:

    更新お疲れ様です。
    いやぁパレスやってくれましたね!

    優勝はチェルシーで決まりと思ってましたが、ミッドウィークにシティがチェルシーを倒すような事があれば、2位との勝点差が4まで縮まる可能性があり、一気に面白くなりますね!
    まぁチェルシーがホームで連敗するとも思えませんが、シティは頑張って頂きたいですね。

  3. ぐら より:

    サコが最後まで集中切らしませんでしたね
    あと、ゴール以外の場面でもザハは相手の守備陣の裏をかいたプレーが多かったなと思いました。

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