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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

【MAN.CITY×Hull City】サイドアタッカー頼みのマン・シティ、今のスタイルに未来はあるのか?

上位が無風だったプレミアリーグ32節は、おもしろい試合が目白押しでした。スラヴェン・ビリッチがカップ戦ファイナルを制したように歓喜を爆発させたウェストハムVSスウォンジー、チャンピオンズリーグを控えた昨季プレミアリーグ王者がメンバーを落としたにも関わらず、スリリングな撃ち合いとなったエヴァートンVSレスター。どの試合をお伝えしようか目移りするのですが、来季のCL出場権を争うマンチェスター・シティと、1月に8人を補強して残留をめざすハル・シティの一戦を外すわけにはいきません。快晴のエティハドが沸いたのは開始1分、インターセプトからドリブルで独走したマルコヴィッチは、フィニッシュを決められませんでした。リヴァプールで活躍する姿を見たかったアタッカーは、降格回避になくてはならない存在です。

チェルシー戦でスターリングとヤヤ・トゥレをベンチスタートとしたペップは、アグエロ、サネ、スターリングの3トップに戻した一方で、デブライネを温存しています。フェルナンシーニョのいない中盤は、ヤヤ・トゥレとデルフ、ダヴィド・シルヴァ。5分、サネのパスで中に斬り込んだアグエロが、左に流れたダヴィド・シルヴァをフリーにする縦パスを通すと、GKヤクボヴィッチがダヴィド・シルヴァのシュートをセーブ。こぼれ球をフォローしたサネの一撃も、守護神が足に当てるビッグセーブを見せて先制を許しません。右からドリブルで仕掛けるスターリングは相変わらず脅威で、ロバートソンひとりでは止まらないでしょう。10分、スターリングのグラウンダーが中に合わずボックスを横切ると、サネは角度がないところから強引に打つのを諦めました。15分を過ぎてもハル・シティが耐える時間が続きます。

縦へのスピード、高速クロス、上下動をさぼらないプレイぶりは魅力的ではありながら、シュートセンスは高いとはいえないヘスス・ナバスはSBに向いているのかもしれません。しかし、ハル・シティの反撃は彼のエリアに集中しています。18分にニアッセが自陣でキープし、ロバートソンを走らせた3対3のカウンターは、シュート態勢に入ったニアッセを必死に戻ったスターリングがカットしました。デルフは、イングランド人でなければここにいないのではないでしょうか。ペップの速いサッカーを実現するパーツとしては、力不足の感を拭えません。22分、ヘスス・ナバスのクリアを狙ったデルフのミドルは大きく上に外れ、ペップのチームはなかなかゴールを決められません。

27分、サネの仕掛けからこぼれ球を狙ったヤヤ・トゥレが右足で巻いたミドルは、バーすれすれで外れたものの、意図が明確ないいシュートでした。29分にヤヤが右足で巻いた得意のFKは、ヤクボヴィッチが見事にセーブ。ここまで素晴らしいプレイを披露していたGKも、31分のヘスス・ナバスのクロスを味方のエルモハマディにボレーされては防げません。一瞬の迷いが中途半端なキックを生んだ、痛恨のオウンゴール。行くしかなくなったハル・シティは、ロバートソン、クルーカス、ヌディアィエがサイドから仕掛けます。33分、ロバートソンのグラウンダーがDFに当たってニアッセの足元に入るも、ボールが速すぎて枠に向けて面を創ることができません。44分、ダヴィド・シルヴァのスルーパスで縦に抜けたサネのクロスはヤクボヴィッチがキャッチしました。前半は1-0。プレミアリーグに残りたいアウェイチームの健闘が目立ちます。

後半に入り、アグレッシブにプレスをかけていたハル・シティは、開始からわずか3分でリードを2点に広げられてしまいました。ここまで何とか抑えていたスターリングにラノッキアが振り切られ、グラウンダーにはヤクボヴィッチが必死で触ったものの、アグエロの足元に入っては万事休す。強引なシュートは、枠の前にいたDFの足に当たってネットを揺らしました。マン・シティは、49分にもダヴィド・シルヴァの美しい縦パスでスターリングが右サイドを突破。ドーソンはクロスに触るしかなく、2つめのオウンゴールかと思われた速いボールはヤクボヴィッチが足でブロックしました。50分を過ぎ、ようやく落ち着いたプレミアリーグ17位のクラブにとって、2点は重いビハインドです。

慌てる必要がないマンチェスター・シティは試合をペースダウンさせ、縦に入るパスを徹底的にチェック。無理をせず、行けるときだけスイッチを入れていた彼らがカウンターを決めたのは、64分でした。スターリングがドーソンを抜き去って左に流すと、ボックスの手前にいたデルフがミドルシュート。迷いなく蹴った速いボールが向かった先が右のサイドネットでは、好調のヤクボヴィッチもどうしようもありません。今季プレミアリーグで7試合めの出場となるセントラルMFは、これが初ゴール。3-0としたペップは、サネ、ダヴィド・シルヴァ、ヤヤ・トゥレと休ませたい順番に代え、ノリート、イヘアナチョ、フェルナンドのコンディションを上げにいきます。83分のデルフのシュートは左にアウト。直後にアグエロがボックスの外から放ったボレーも、ファーのポストの脇を抜けていきます。85分、CKのクリアを拾ったハル・シティは、マロニーの折り返しにラノッキアが合わせてブラボの足元を抜きますが、反撃はそこまで。マンチェスター・シティが3-1で試合を畳み、プレミアリーグで5試合ぶりの勝ち点3をゲットしました。

素晴らしい勝利ではあったのですが、最近のマンチェスター・シティを見ていて気になることがあります。「ペジェグリーニ時代のサッカーに、回帰しているのではないか」。今季のチームについて、最も「さすがペップ!」と思ったのはプレミアリーグ6連勝を記録した開幕直後で、その後は素晴らしいプレスや速いパスワークを徐々に失ったように見えます。サイドアタッカーがボックス脇を崩して速いグラウンダーで勝負するのは、ペジェグリーニさんのチームの特徴でもあり、今のスタイルの未来に進化形があるようには思えないのです。現状の戦い方は、あくまでも今季の4位以内をキープするために「選手のやりやすさを重視」と割り切ったもので来季は変革があるのか、あるいはペップは進むべき道を見失ったのか。昨季は31試合終了時に16勝6分9敗、得点56失点32。今季は18勝7分6敗、得点60失点35。数字は多少よくなってはいるのですが、順位は変わらず…。

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“【MAN.CITY×Hull City】サイドアタッカー頼みのマン・シティ、今のスタイルに未来はあるのか?” への2件のフィードバック

  1. おはむ より:

    CLを逃さないための、プランBではないでしょうか、ペップのどうしてもCL出場だけは逃さない熱意が感じられました。見た目は涼しげですが、中身は熱く好感が持てます。
    CL権を取ってしまったら いつも通りのペップサッカーに戻ると思います。

  2. シティふぁん より:

    確かにペジェグリーニ時代と変わらない部分がありますね
    サイドアタックが今のシティの強みですし
    プレミアリーグの試合も少なくなり何かにチャレンジするのはリスクが高いです
    今のスタイルに未来は無さそうですがスターリング、サネに経験を積ませることが未来に繋がるはず

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