【Crystal Palace×Arsenal】止まらないザハ…アラダイス戦術にはまったアーセナルが今季初の完封負け!
ホームのクリスタル・パレスは、前節こそサウサンプトンに3-1で敗れたものの、それまでプレミアリーグ4連勝と完全に復調。レッズで出番を失ったママドゥ・サコが入ってからは守備の混乱がおさまり、ザハとベンテケのコンビはスタンフォード・ブリッジで首位チェルシーを屠る原動力となりました。キックオフから押し続けているのはクリスタル・パレス。前線のベンテケにロングフィードを集め、こぼれ球を狙う戦い方はいかにもサム・アラダイスのチームです。
5分、左サイドのベンテケがムスタフィに引っかけられると、レフェリーはアドバンテージを取り、ミリボイェヴィッチのミドルシュートが左のポストすれすれを抜けていきます。アーセナルの反撃は9分。ボックスの外でウォルコットの落としを叩いたエルネニーのシュートは、GKヘネシーが素晴らしい反応で右に弾き出しました。クリスタル・パレスの執拗な放り込みは、17分という早い時間に実ります。ヘネシーのゴールキックをベンテケが競ると、落ちたボールをタウンゼントが右に展開。キャバイェがザハを縦に走らせると、グラウンダーに先着したのは起点となったタウンゼントでした。
1-0とされたアーセナルの反撃は20分。久しぶりに右サイドを突破したベジェリンのクロスはサコがクリアしますが、右サイドでウォードのクリアが甘くなったところを拾ったアレクシス・サンチェスが、流れるような動きで左足シュート。これはヘネシーががっちりキャッチしますが、さらに7番は得意の切り返しからウォードをかわして、ファーポスト際にきわどいシュートを放ちます。ホームチームの嫌らしいロングボール攻撃は止まる気配がなく、ボックスの中に追い込まれることが多いガナーズは、カウンターに転じることができません。32分、左サイドに張ったエジルがアレクシス・サンチェスとのパス交換から縦に抜け出すと、グラウンダーのクリアをアレクシスが左足で狙いますが、DFの壁に阻まれ同点に追いつくことはできません。
エルネニーやジャカが右のベジェリンに展開する形はいいのですが、ラストパスが中に合わず、サコとマーティン・ケリーにはね返され続けます。40分、キャバイェのFKはマルティネスの正面。42分にはザハとのパス交換で左から抜けたベンテケが左足を振り抜くと、マルティネスがかろうじてセーブ。直後。ジャカのフィードでボックス内に侵入したウェルベックのダイレクトショットは、ヘネシーがアウトと見切っていました。前半は1-0。放り込みを受け続けたアーセナルはラインを深くせざるをえず、決定的なチャンスを創れないままに45分を終えました。
後半開始からしばらくはザハのショータイムです。49分に右サイドを完全に崩して入れたグラウンダーは、タウンゼントの落としをベンテケが左足でプッシュすると、ベジェリンがかろうじてブロック。直後、ボックスの左でキープしたキャバイェが中に斬り込んで右足を振り抜くと、マルティネスがセーブしたボールをベンテケがゴールに突き刺しますが、黄色い旗がオフサイドを告げています。57分、アレクシス・サンチェスは逆サイドで空いたベジェリンをよく見ていたものの、浮き球を叩いたボレーはミートせず。ヴェンゲル監督はエルネニーとウェルベックを下げ、ラムジーとジルーを投入。しかし62分、2つめのゴールを決めたのはクリスタル・パレスでした。止まらないザハが右サイドをドリブルで進み、ニアのキャバイェに入れると、インフロントにかけた一撃が美しいカーブを描いて左のサイドネットに吸い込まれます。
プレミアリーグ4位を狙うチームを絶望的な点差に追い込んだのは、先制ゴールを決めたタウンゼントでした。67分、ボックスの左にこぼれたボールを追った10番がベジェリン、マルティネスと競り合い転倒。レフェリーは迷わずPKスポットを示し、ミリボイェヴィッチが確実に左隅に蹴り込みます。3-0、さすがに厳しい。何もできなかったウォルコットに代わったチェンバレンは、淀んだ空気を変えることができるでしょうか。71分、ベジェリンがボックス脇を崩し、GKヘネシーをかわしてファーポスト際に落とした決定機は、ジルーの左足が届かず。アーセナルのクロスの精度は低く、ジルーが本領を発揮できるシーンは訪れません。86分、タウンゼントが左からクロスを上げると、ファーにいたベンテケのボレーは必死に戻ったモンレアルがクリア。追加タイムのアウェイチームは、シュートを打つことすらできないままタイムアップを迎えました。3-0、アーセナルが今季プレミアリーグでクリーンシートで敗れたのは初めてです。
ひとことでいえば、サム・アラダイスの作戦勝ち。ロングフィードをベンテケに集め、タウンゼントやキャバイェがサイドに展開してザハのスピードを活かす攻撃が見事にはまりました。2アシストのザハは、いずれもグラウンダーを入れる際にスリップしていたのですが、コースは正確。サイドを蹂躙されたアウェイチームの守備陣は混乱し、フィニッシュを狙う選手を捉まえきれませんでした。アーセナルは守れなかっただけでなく、ひたすらゴール前のスペースを埋めていたクリスタル・パレスの守備を崩せず。仕掛ける人とシュートを打つ人が分かれていた攻撃は読みやすく、スペースを創る動きに乏しかったのが単調なアタックに終始した原因だと思います。エジルやジャカが前線に出るなど、下がりっぱなしの相手を揺さぶる動きがあれば、3つやられる前に流れを変えられたのではないでしょうか。
ヴェンゲル監督のチームは、負け数も失点もプレミアリーグ2位だった昨シーズンを上回ってしまいました。マンチェスター勢を追い抜くためには、ノースロンドンダービーとマンチェスター・ユナイテッド戦の勝利は必須でしょう。前半戦で機能していたアレクシス・サンチェスのゼロトップ戦術をなぜ捨てたのか…。いや、それよりも問題は後ろです。年明け以降のプレミアリーグ11試合のうち7試合で2失点以上の守備を改善できなければ、来季戦う欧州のステージは、最後に出たのがいつだったか思い出せないヨーロッパリーグとなります。(ウィルフリード・ザハ 写真著作者/@cfcunofficial (Chelsea Debs) London アンドロス・タウンゼント 写真著作者/Hayden Schiff)
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締めの文で気になったのですが、もしかして「ヨーロッパリーグ」は初体験なんでしょうか?というか今世紀CL皆勤賞なので何が何やら…
グッチさん>
1999-2000シーズンに旧UEFAカップに出たのが最後ですね。ファイナル進出してます。
さすが ビックサムという試合でした。
来期のクリスタルパレスはやっかいなチームになると思います。
おはむさん>
さらに守備の選手を補強するのではないでしょうか。楽しみですよね。