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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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プレミアリーグ最終節を振り返る~(2)納得のシーズン、祝砲12発!チェルシー&トッテナム

「プレミアリーグ最終節を振り返る~(1)マンチェスター勢、それぞれの終幕」より続きます。2013-14シーズンのマンチェスター・シティは86、翌年のチェルシーは87。上位が軒並み崩れた2015-16シーズンは、レスターが勝ち点81でプレミアリーグ制覇を果たしています。今季のトッテナムは、26勝8分4敗で勝ち点86。ホームで17勝2分と無類の強さを誇り、失点26は過去5シーズンのプレミアリーグで最少です。残した数字は優勝チームにしか見えないスパーズですが、これはもう不運だったとしかいいようがありません。最高のシーズンが、プレミアリーグレコードの30勝を挙げたチームとかち合ってしまったのですから。

それでも、ポチェッティーノ監督は「今季は最後まで戦い抜いた」と、納得しているのではないでしょうか。誤算がなかったチェルシーと、計算違いを采配とチーム力で乗り切ったトッテナムは、明らかに2016-17シーズンのワンツーでした。最終節はブルーズが5発、スパーズが7発。イングランドの穏やかな午後に、祝砲のようなゴールを12発決めた両者は、サポーターの歓喜に包まれて実りあるシーズンにピリオドを打ちました。

まずは、トッテナムのプロモーションビデオ…もとい、ハル・シティ戦を振り返りましょう。11分、エリック・ダイアーのインターセプトはいかにもスパーズ。エリクセンのパスを受けたハリー・ケインの左足シュートに、GKマーシャルは反応できません。その2分後、ベン・デイヴィスがエリック・ダイアーに預けたボールが逆サイドのトリッピアーに渡り、ダイレクトのグラウンダーをプッシュしたのはまたも10番。15分もしないうちに勝負を決めたスパーズは、前半終了間際に3点めを奪います。中盤での競り合いを制し、ハリー・ケインに縦パスが出た瞬間、4対3の絶好機。左のソン・フンミンがタメを創ってデル・アリに落とすと、右足のコントロールショットが遠いサイドのネットを揺らします。デル・アリは、今季プレミアリーグで18ゴール。ハリー・ケインの不在とフィンセント・ヤンセンの不振は、彼とソン・フンミンがなかったことにしてくれました。

66分、フェルトンゲンのミスを突いたハル・シティは、クルーカスのシュートがDFに当たって枠に飛び込み2点差に戻しますが、このゴールは猛攻再開のスイッチになってしまいました。3分後、右サイドからのFK。エリクセンが壁を越えたとたんに落ちる悪魔のようなボールをワニャマの頭に合わせて1-4。ハル・シティの選手たちに、オフサイドと抗議する気力は残っていません。さらにその3分後、ホームチームのビルドアップにスパーズの選手たちが次々と襲いかかり、デル・アリが奪取に成功してハリー・ケインを走らせると、エースがGKとの1対1を落ち着いて決めてハットトリック達成。ラスト2試合で7点も積まれては、ロメウ・ルカクが得点王に届かないのも仕方がありません。

84分の6点めは、FKのクリアをワニャマがベン・デイヴィスに落とし、左足でズドン。シーズンを締める7点めは、大トリにふさわしい選手のボレーでした。エリクセンのパスをもらったクロス職人トリッピアーが正確なボールを入れると、右足で合わせたのはアルデルヴァイレルト。シソコとフィンセント・ヤンセンを投入したのは、来季は頼むぞというメッセージでしょうか。ダニー・ローズとラメラの長期離脱、ハリー・ケインの2度のリタイア、新戦力ヤンセン、シソコ、エンクドゥの空回りなど、アクシデントや誤算がなかったわけではないスパーズは、コンセプチュアルなチームづくりによって代役が確実に機能してピンチを乗り切りました。「穴埋め大賞」はソン・フンミン、次点がベン・デイヴィス、特別賞エリック・ダイアーといったところでしょうか。ポチェッティーノ監督を、プレミアリーグ最優秀マネージャーに推したくなるのですが、こちらもまた「コンテ監督がいなければ」というひとことが付いてしまいます。

さて、そのコンテ監督も、負けじと降格クラブをいじめました。ジョン・テリーのラストゲームとなったスタンフォード・ブリッジのサンダーランド戦は、3分にアウェイチームがまさかの先制。FKが壁に当たったこぼれ球が右のマンキージョの前に転がり、強烈な一撃がクルトワの肩越しに突き刺さります。しかしこのリードは、5分しか持ちませんでした。ゴール前にこもるサンダーランドに対して、チェルシーも7人がボックスの中。右サイド、角度のないところから放ったウィリアンのシュートは、伸び盛りのピックフォードといえども弾き切れませんでした。26分、背番号と同じ時間だけプレイしたテリーが、選手たちが作った花道を通ってピッチから去っていきます。ケーヒルと熱い抱擁をかわすレジェンドを、ホームのサポーターはスタンディングオベーションで称えています。

プレミアリーグ王者にスイッチが入ったのは、後半になってからでした。61分、ジエゴ・コスタとアザールが得意のカウンター。10番のドリブルにビリー・ジョーンズはついていけず、左足のシュートがピックフォードの脇を抜きます。77分、セスクのロングフィードはレスコットがクリアして終わりかと思いきや、前に出ていたピックフォードの頭上を越えてゴール前に落ち、ペドロが頭でプッシュして3-1。タイムアップの直前になって、忘れ物を思い出したかのように2発決めたのはバチュアイでした。90分に中に斬り込んだペドロのスルーパスに反応してGKの股間を抜くと、2分後には右サイドから持ち込んでオシェイをかわし、左足でフィニッシュ。最後の3試合で4ゴールの固め獲りを見せたベルギー代表FWは、次のシーズンは出場機会を増やせるのではないでしょうか。

5-1で圧勝したチェルシーが、史上2番めとなる勝ち点93という文句なしの数字で、プレミアリーグ2016-17シーズンを終えました。残るはFAカップ決勝、アーセナルとの一戦は「いつもの11人」を揃えてダブル達成を狙ってくるものと思われます。いやー、素晴らしい。これだけ「勝ちきる力」が強いチームを見るのは、2000年代前半のモウリーニョチェルシー以来です。今季のレギュラーメンバーには全員残っていただいて、コンテの3-4-3がチャンピオンズリーグでどこまでいけるのかを見せてもらえればと思います。ジエゴ・コスタがどうしても中国に行きたいというのであれば、ロメウ・ルカクでも構いませんが…。

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“プレミアリーグ最終節を振り返る~(2)納得のシーズン、祝砲12発!チェルシー&トッテナム” への3件のフィードバック

  1. bb より:

    更新お疲れ様です

    スパーズは本当に運が悪かったとしか言いようがないですね
    数字だけ見れば優勝チームそのものですから
    しかし今季のチェルシーはそれを上回るほど素晴らしかったです
    来季この成績を上回るのは厳しいと思いますがコンテチェルシーが来季どんな戦いをするのか楽しみで仕方ないですね

    それから来季もこのブログの素晴らしい記事を読むことを楽しみにしていますので来季もまたよろしくお願いしますm(_ _)m

  2. sini より:

    ある意味では、スパーズがここまでやれたのも彼らの頭上にさらに高い目標(チェルシー)があったからと思います。
    そういう意味では、スパーズファンとしても、スパーズと素晴らしいタイトル争いをしてくれたチェルシーに感謝したいと思っています。昨季の恨みは忘れていませんが。笑

    一方で、元スパーズ所属選手の多かった2クラブと、昨年この時期にサポーターが涙を流しながらプレミア復帰を喜んでいたボロの降格には、寂しい気持ちになってしまいます。

    何はともあれ、素晴らしい記事を今季もありがとうございました。
    また来季もよろしくお願いします。

  3. チェルサポ 一男太郎 より:

    ここにきてコスタの中国行きがうやむやになってきてる
    んですよね。これは残って来季CLをチェルシーで
    戦うかもしれませんね。

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