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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

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プレミアリーグではホーム未勝利、しかしアウェイは公式戦4戦全勝。昨季のプレミアリーグではホワイト・ハート・レーンで無敗だったトッテナムは、遠征上手にモデルチェンジしたかのようです。対するハダースフィールドは、ホームで戦ったリーグ戦と国内カップで2勝2分。アーロン・ムーイ、カチュンガ、トム・インスを軸としたチームは、守備力を頼りにプレミアリーグ8位に踏ん張っていました。ホームとアウェイのどちらの無敗が止まるかと楽しみにしていた「矛・盾対決」でしたが、ハダースフィールドが昨季プレミアリーグ2位のクラブをリスペクトし過ぎました。アーセナルにいいところなく敗れたブライトンもそうでしたが、相手を怖れて極度に受け身になり、守備の選手たちが普段しないようなミスを連発。同じ昇格組でも、2年前はプレミアリーグにいたニューカッスルと、大半の選手が海外のリーグかチャンピオンシップしか知らないチームでは、上位と戦う時の気構えが違うようです。

ポチェッティーノ監督は、CLのアポエル戦から4人を入れ替えてきました。GKロリス、3バックにアルデルヴァイレルト、ダヴィンソン・サンチェス、フェルトンゲン。WBにトリッピアーとベン・デイヴィス、セントラルMFはエリック・ダイアーとハリー・ウィンクス。エリクセンとデル・アリの前には、直近5戦で9発と絶好調のハリー・ケインです。5分に右サイドのトム・スミスが強烈なミドルを放ち、ロリスが何とかセーブしたときは下位の健闘でおもしろい展開になるのではないかと期待したのですが、勝負はたった15分で決まってしまいました。9分、トリッピアーがヘッドで前方に送ったボールをレヴェが処理を誤り、さらったハリー・ケインがひとり旅。GKレッスルと向き合ったストライカーは、ニアが空いているとみて冷静に右足でネットに突き刺し、スパーズがあっさり先制です。

15分、この攻撃はアウェイチームがあまりにも見事でした。アルデルヴァイレルト、エリック・ダイアー、トリッピアー、エリクセン、エリック・ダイアー、デル・アリ、ハリー・ケイン、エリクセンとダイレクトパス7本(!)で右サイドから最終ラインを突破。最前線に飛び出したエリクセンは、レヴェのチェックでボールを失いますが、左に転がったこぼれ球に走り込んだベン・デイヴィスがGKの脇を抜いて右隅に流し込みました。モンペリエから来たムニエを欠いたハダースフィールドに、スパーズの守備を崩して2点を奪えというミッションは酷でしょう。

「俺らのクラブが、プレミアリーグでスター選手相手に戦うんだ!」と盛り上がるホームサポーターに囲まれていたにも関わらず、昇格したてのクラブの選手たちにはアグレッシブな姿勢が見られず、ミスが目立ちます。GKレッスルが、ハリー・ケインが目の前にいるのにボックス内でキックを空振りしたときは、思わず「あ”-!」と叫んでしまいました。23分、トリッピアーのスローインがハリー・ケインに通ると、エースは簡単にホッグとシンドラーのチェックを振り切り、斜めに突進して左足を振り抜きます。レッスルが差し出したグローブははるかに及ばず0-3、ハダースフィールドはもう届きません。

31分にデル・アリが右のハリー・ケインに預けて前線へ突進すると、天才プレーメイカーのリターンがほしいタイミングで足元へ。ヨルゲンセンを切り返しでかわしたデル・アリのシュートは決まったかと思われましたが、ポストに当たって4点めはなりませんでした。36分、トリッピアーの素晴らしいサイドチェンジを受けたのはベン・デイヴィス。前線にふわりと浮かしたボールをハリー・ケインがジャンピングボレーでゴールに叩き込みますが、ラインの裏に出るのがコンマ何秒か早かったとするラインズマンの旗によってハットトリックは認められません。43分、ポルトから移籍したドゥポアトルがカウンターを仕掛け、鋭いシュートを放ちますが、クロスバーに阻まれゴールならず。最初の45分は0-3で終わり、後半のスパーズはセーフティに戦いながらも、時折直線的なアタックを仕掛けて一気に決定機を創ります。勝負が決した試合の弛緩した空気のなかで、私はリヴァプールのことを考えていました。

4節のマンチェスター・シティ戦で5-0で大敗したリヴァプールは、その後の6戦を1勝4分1敗。勝ったレスター戦を除く5試合のうち4試合で先制されており、試合中に2点差をつけた時間は1分たりともありません。一方のスパーズは、プレミアリーグでは「本拠地ウェンブリー」で未勝利ながらもアウェイでは公式戦5戦全勝。7勝1分1敗という見事な戦績で、勝った7試合のうち2点差をつけられなかったのは、メンバーを落として戦ったカラバオカップ3回戦のバーンズリー戦のみです。先制した後、セーフティに戦いながら速攻を仕掛けて2点めを奪えるポチェッティーノ監督のチームは、今のレッズとどこが違うのでしょうか。直近7試合で11ゴールのハリー・ケインの存在は嫌でも目につきますが、重要なのは彼にボールが渡る前です。最終ラインとアンカーのビルドアップとロングフィードのクオリティが高いことが、リスクを負わずにゴールを決められるポイントだと思います。

トリッピアーから1発で最前線にボールが出た1点めも、アルデルヴァイレルト、エリック・ダイアー、トリッピアーが絡んで一気にスピードアップした2点めも、後方の選手たちの秀逸な判断が前線を楽にしました。スパーズの決定機の多くが、前線に当ててからの手数が少ないのは、後ろの選手が相手の穴を見つけるや否や、的確にロングフィードや縦パスを入れられるからだと思います。デル・アリがポストに阻まれたシーンも、エリック・ダイアー、デル・アリ、エリクセン、デル・アリと自陣から3本でゴール前に辿り着いています。

4人のDF(左SBデルフがサプライズ!)とフェルナンジーニョからデブライネ、ダヴィド・シルヴァ、アグエロに高速パスががんがん入るマンチェスター・シティの強さも、同じ文脈で語れるでしょう。ヘンダーソン以外は近くのMFにつなぐしかないレッズの後方の選手たちは、相手の陣形が整わないうちに前線を動かすことができないため、どうしても1点がほしいシーンで希望のないクロスやマネとサラーの個人力に頼ることになります。スパーズとマン・シティを見ていると、DFには、守れるかどうかと同じぐらい、出せるかどうかを求められているのだと、あらためて思います。

ハダースフィールド戦では、91分にムサ・シソコが決めてくれました。放出候補の大本命だった彼の復活は、ポチェッティーノ監督もうれしいでしょう。このゴールも、途中出場のカイル・ウォーカー・ピータースからソン・フンミン、ベン・デイヴィスとつながって最後はシソコ。自陣から4つでフィニッシュが決まったこともさることながら、途中出場の3人が全員絡んだゴールでもありました。誰が出ても同じようなサッカーができるのが、指揮官が大胆なターンオーバーをできる理由のひとつでしょう。デンベレ、ワニャマはインターナショナルマッチウィーク明けに戻ってこられるようです。CLのレアル・マドリード戦と、プレミアリーグ9節のリヴァプール戦が今から楽しみです。観戦される方は、後方の選手たちのパスワークにぜひ注目してみてください。

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