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【Leicester×MAN.CITY】レスターは失敗でしたが…「マン・シティを止める方法」はおそらくコレ!

プレミアリーグ11戦10勝1分、38ゴール7失点。最近、マンチェスター・シティの試合を観ながらぼんやり考えるのは「どうしたらこのチームに勝てるか」です。デブライネ、ダヴィド・シルヴァ、フェルナンジーニョと守護神エデルソンはここまでプレミアリーグ全試合先発出場。長期離脱のバンジャマン・メンディの穴はファビアン・デルフが埋め、カイル・ウォーカー、ジョン・ストーンズ、オタメンディが構える最終ラインは鉄壁です。前線は、左右のスターリングとレロイ・サネが絶好調。アグエロとガブリエウ・ジェズスを含むローテーションは、ここまで絶妙にうまくいっています。

12節のレスター戦は、出場停止のオタメンディの代役として9試合ぶりのヴァンサン・コンパニ、最前線にはガブリエウ・ジェズスが起用されていました。ロングカウンターという明確な武器があるレスターは、マンチェスター・シティに対する刺客になりえるのではないかと期待していたのですが、ピュエル監督の不可解な戦術が可能性を下げてしまったように思います。今季プレミアリーグでノーゴールのオルブライトンのインサイドMF起用は、どういう意図だったのでしょうか。前線に突破力を加えるなら素直にマフレズを中央に据え、ゴール前の厚みや高さならイスラム・スリマニでいいでしょう。守備を気にしたのなら、岡崎慎司を外す必要はないと思います。プレミアリーグ最強チーム相手に、選手の適性を度外視した変化を加えたために、戦い方をより難しくしてしまったのではないかと思います。

2分にコンパニが斜め後ろからジェイミー・ヴァーディを引っかけた瞬間、キングパワーは騒然。黄色いカードが掲げられると、ホームサポーターは色が違うと大ブーイングです。ピュエル監督もピッチの脇で抗議していましたが、当然判定は覆らず。決定機阻止と取られかねないシーンだったのは事実で、マン・シティのキャプテンは助かりました。ペップのチームは、いつも通り縦に速いサッカーを展開。デブライネからスターリング、ダヴィド・シルヴァからサネに鋭い縦パスが通り、ボックス脇のスペースを突いてきます。

21分、デブライネが左サイドのサネに展開すると、ダイレクトのグラウンダーをボックスに走り込んだダヴィド・シルヴァがボレー。既に何度も危険なボールを処理していたシュマイケルが上に弾き出しましたが、これだけ縦パスを簡単に入れさせていては、90分は持たないでしょう。23分にも、フェルナンジーニョ、デブライネ、ダヴィド・シルヴァ、左のサネとあっという間に縦に3本通り、速いクロスがゴール前へ。ガブリエウ・ジェズスの頭に合わず、レスターは命拾いしますが、ここまではオルブライトンを自陣深くに引かせた4-5-1は効果的とはいえません。

31分、マンチェスター・シティにアクシデント発生。ジョン・ストーンズがハムストリングを痛め、マンガラとの交代を余儀なくされます。レスターにとっては、今季の出番が少ないCBが並ぶ相手の布陣はチャンスですが、鋭いカウンターを仕掛けているのはマン・シティのほうです。ダヴィド・シルヴァが右足でロングボールをフィードすると、デブライネが一気にドリブルでボックスに侵入。右足のアウトにかけたラストパスは必死のブロックで止まりましたが、レスターの中盤はダヴィド・シルヴァに入る縦パスもサイドに展開されるボールも防げません。14分にマフレズが右サイドを崩してからチャンスは創れず、失点は時間の問題でしょう。せめてハーフタイムまではゼロでいきたかったホームチームですが、45分についにゴールを許してしまいます。

立役者は、デブライネの短いパスを受けてラインの裏にスルーパスを通したスターリング。一瞬で2対ゼロの形になり、シュマイケルと向き合ったダヴィド・シルヴァは脇にいたガブリエウ・ジェズスにイージーなシュートを打たせるだけでした。0-0ならともかく、0-1とビハインドを背負ったハーフタイムにピュエル監督は動くべきだったと思います。エンディディと同じ位置まで下がっていたオルブライトンはスペースを埋めているだけで、ダヴィド・シルヴァやフェルナンジーニョにプレッシャーをかけることも、彼らのパスコースを切ることもできていません。まずは岡崎慎司を投入してパスの出どころをチェックさせ、攻めに転じる局面になれば中央を1枚外してイヘアナチョという順番でしょう。しかし指揮官は動かず、レスターが決定的な2点めを喰らったのは後半が始まって4分でした。

レスターが初めて決定機を創ったのは、48分にイボーラがもらった左サイドのFKからでした。マフレズがファーに長いボールを通すと、オルブライトンが浮かしたボールをヴァーディがヘッドで落とします。これに反応したエデルソンのパンチは小さく、拾ったマグワイアのボレーはポスト直撃!リバウンドはマン・シティに渡り、ハーフライン付近にいたデブライネにロングフィードが通ると、ベルギー代表は左のサネに展開しました。サネが突破を諦め、デブライネに戻すと、利き足でない左に持ち替えたプレミアリーグ屈指のプレーメイカーが強烈なミドルシュート!両足を自在に使えるとはいえ、あれだけ強い一撃を左で蹴られると絶句するしかありません。勝負に対する興味は、これで潰えました。

ここからの展開についてひとことで表現するなら、「シュマイケルの奮闘がなければ0-5もあった」。再三決定機を創られていたにも関わらず、ピュエル監督の対応は遅く、オルブライトンをイヘアナチョに代えたのは68分でした。結果的には追加点は奪われなかったのですが、早めにアンディ・キングを投入して「止血」し、その後イヘアナチョと岡崎慎司、あるいはイスラム・スリマニで勝負に出るべきではなかったかと思います。中盤を3枚にしてダブルプレーメイカーをケアするという思想は、マティ・ジェームズやアマーティが使えるならよかったのですが、オルブライトンとアンディ・キングしかいなければ別なアプローチを考えたほうがベターでしょう。この日のピュエル監督は、理想のフォーメーションに強引に選手をはめて失敗する典型例に陥ってしまったように感じられました。

マンチェスター・シティの縦に速い攻撃を殺すには、3-5-1-1などのフォーメーションで中盤を厚くして楔のパスにプレッシャーをかけ、カウンターで対抗するのが適切なのではないでしょうか。模範解答は、プレミアリーグ7節のスタンフォード・ブリッジで惜敗したコンテ監督の戦術です。最前線にチェイシングできるアレクシス・サンチェスを据え、イオビを下がりめに配したヴェンゲル監督も、ムスタフィが使えればもっときわどい勝負に持ち込めたかもしれません。12月に首位とシックスポインターを戦うポティッテイーノ監督とモウリーニョ監督は、おそらくわかっているでしょう。スパーズならハリー・ウィンクス、デンベレ、シソコ。赤いチームはポグバ、フェライニ、マティッチ。中盤に厚みを築くことができ、カウンターも得意な両者が、デブライネとダヴィド・シルヴァをどう止めるのかに注目したいと思います。

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“【Leicester×MAN.CITY】レスターは失敗でしたが…「マン・シティを止める方法」はおそらくコレ!” への4件のフィードバック

  1. h-b-u より:

    相変わらず今季はFAのマンチェスター優遇が酷いですね

  2. シャーザー より:

    ストーンズが6週間アウトの怪我をしましたのでシティはマンチェスターダービー、スパーズとのシックスポインターはかなり厳しいですね
    スパーズもトビーが怪我、ユナイテッドもバイリーが怪我したみたいですけどCBの層的にシティのほうがダメージ大きい気がします

  3. だしまる より:

    タイトルの行方を左右する注目のゲーム楽しみです。中盤を厚くされても外側へのロングボールでドルトムントを粉砕したバイエルン時代。モウリーニョ監督はどのような手を使ってくるのでしょうか。ゴール前を固める。機動力勝負。中盤を厚くした上でサイドのウイングを徹底マーク。戦術・選手のスキル双方の醍醐味が味わえそうでワクワクします。

  4. makoto より:

    h-b-uさん>
    そうなんですか!

    シャーザーさん>
    ジョン・ストーンズは痛いですね。スパーズのアルデルヴァイレルトも相当きつそうだなと思ってました。

    だしまるさん>
    5-3-1-1の予感です。マティッチをCBの前のスペース消し係に任命して、フェライニとエレーラがWプレーメイカーをケア。ポグバの前にルカクで…。

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