偏愛的プレミアリーグ見聞録

プレミアリーグ2019-20シーズンがいよいよ開幕を迎えました。フライデーナイトの対決となった最初のゲームは、リヴァプールVSノリッジ。昨季プレミアリーグを1敗で駆け抜けた欧州王者は、即戦力のフィールドプレーヤーを補強せずに新シーズンのスタートラインに立ちました。さっそく、アンフィールドのピッチに立つ11人を紹介しましょう。GKアリソン、DFアーノルド、ジョー・ゴメス、ファン・ダイク、ロバートソン、MFヘンダーソン、ファビーニョ、ワイナルドゥム、FWサラー、フィルミーノ、オリギ。サラーとともに昨季プレミアリーグ得点王に輝いたサディオ・マネを欠く布陣ですが、CL制覇のキーマンとなったオリギに期待しましょう。

キックオフから主導権を握っていたのはホームチームですが、5分にアリソンのミスキックをプッキに拾われてしまいます。折り返しを叩いたシュティぺルマンのボレーは枠の上。7分、レッズはシュートゼロのまま先制しました。ロバートソンの縦パスをオリギが受け、左足でクロスを入れると、ハンリーが脛にボールを当てる痛恨のクリアミス。ボールはゴール右に転がり、アンフィールドに今季最初の大歓声がこだまします。9分、ノリッジのカウンター。スルーパスからジャマル・ルイスが左サイドを突破し、ニアのプッキがグラウンダーをかかとで落とすと、シュティぺルマンは2度めのボレーも浮かしてしまいました。

左サイドを支配するレッズは、アーノルドのエリアをジャマル・ルイスとプッキに再三崩されています。16分、オリギが左から持ち込んでロバートソンに落とすと、SBが放った左足のシュートは惜しくもポストの左。19分、アーノルドとサラーが右から仕掛け、クリアがフィルミーノの足元にこぼれると、完璧なスルーパスがフリーになったエースの足元に届きました。左足のシュートがファーのサイドネットに刺さって2-0。ギャップを拡げられたプレミアリーグ昇格チームは、直後にブエンディアがCBの間にスルーパスを通しますが、裏に抜けたプッキのシュートは飛び出したアリソンが右手に当てるビッグセーブでシーズン初失点を回避しました。

26分、中央でフリーになったシュティぺルマンが放った強烈なミドルも、アリソンが冷静に左に弾き出します。ノリッジに押され続けているレッズは、28分にサラーのCKをファン・ダイクが難なくヘッドで叩きつけて3-0。31分、アーノルドのアーリークロスを胸でトラップして振り向いたフィルミーノは、ジャストミートの左足ボレーをクルルのビッグセーブに阻まれてしまいました。37分、キックした際にバランスを崩して倒れたアリソンが右足を痛め、いきなり新戦力のアドリアンに出番が巡ってきます。42分、ヘンダーソンの落としを受けたアーノルドの完璧なクロスが、オリギの頭にピタリと合って4-0。ハーフタイムを待たずに勝負が決まった一戦の興味は、最終的にレッズが何点獲るかに絞られました。

48分、左から抜けたオリギのグラウンダーをフィルミーノがスルー。走り込んできたヘンダーソンのボレーは、クルルの手に当たってクロスバーに弾かれます。拾ったサラーがボックス脇に走ったアーノルドに巧みなヒールパスを転がすと、ゴールラインからのラストパスはファーのフィルミーノの後ろに出てしまい、腰が回り切らなかった9番はフリーのシュートを左に外してしまいました。54分、敵陣で奪ったボールがサラーに渡り、左足で巻いたシュートはファーポストすれすれを抜けていきます。1分後にミドルレンジでフリーだったファビーニョがクリアを拾って右隅を狙うと、クルルが左に倒れて懐に収めました。

58分、プレミアリーグ昇格クラブはシュティペルマンに代わってライトナー。63分にボックス右でパスを受けたライトナーの一撃は、クロスバーに弾かれます。ノリッジのゴールはこの直後でした。ブエンディアのスルーパスがジョー・ゴメスの背後を襲い、フリーのプッキが落ち着いて左隅に流し込みました。昨季チャンピオンシップ得点王は、プレミアリーグでも大暴れしてくれるのではないでしょうか。残り20分、足をつったトリブルが下がってオネル・エルナンデス。74分、クロップ監督はオリギに代えてマネを投入しました。

85分、ボックス手前から曲げたアーノルドの強烈なFKは、クルルがよく反応してCK。フィルミーノはここでお役御免となり、ミルナーがピッチの感触を確かめます。レッズは最後まで攻めながら時間を遣い、悠々と逃げ切りました。相変わらずフィルミーノは神出鬼没で、流動的な中盤の3人は安心して見ていられましたが、最終ラインは安定感を取り戻すまでもう少し時間が必要でしょう。とはいえ、今日は欧州王者に正面から戦いを挑んだノリッジをリスペクトしたい気分です。アーノルドを手こずらせたジャマル・ルイスと、ジョー・ゴメスとの駆け引きを制したプッキは、プレミアリーグの上位クラブを苦しめるのではないかと思われます。

アリソンの足の状態が気になりますが、リヴァプールは上々のスタートを切りました。チェルシーとぶつかるUEFAスーパーカップと次節のセインツ戦は、今日は出番がなかったナビ・ケイタ、チェンバレン、シャキリのプレイに注目したいと思います。フィルミーノ、サラー、ファン・ダイク、アーノルド、オリギ…オウンゴールの後の3発はいずれも完璧でした。新シーズンも、ハイレベルな優勝争いの主役になっていただければと期待しています。素晴らしい！