偏愛的プレミアリーグ見聞録

キックオフから自信たっぷりに攻めていたチームは、1分50秒で最初の決定機を創りました。ティーレマンスとのワンツーで左サイドを突破したハーヴィー・バーンズがラッセルズを抜き去ってグラウンダーをフィード。中に走り込んだアヨゼ・ぺレスのボレーはGKドゥブラフカにキャッチされますが、ブレンダン・ロジャース率いるレスターが、迷えるニューカッスルを圧倒する展開になるのは決定事項です。プレミアリーグ5位チームは、その後も前線でプレスをかけ、ゼブラのシャツを自陣に押し込んでいます。

Gkシュマイケル、DFリカルド・ペレイラ、ジョニー・エヴァンス、ソユンチュ、チルウェル。アンカーにエンディディ、中盤にはアヨゼ・ペレス、デニス・プラート、ティーレマンス、ハーヴィー・バーンズが並び、最前線は今季プレミアリーグ3ゴールのジェイミー・ヴァーディーです。マグワイアが抜けた穴はソユンチュが埋め、リヴァプールと並んでプレミアリーグ最少の5失点。エンディディやティーレマンスは、ビッグクラブでプレイしていてもおかしくないハイパフォーマーです。ロジャース監督の采配によってカウンター一辺倒から脱却したレスターは、ショートパスで攻撃のリズムを創りながら、引いて構えるニューカッスルの隙を窺っています。

12分、アウェイチームの反撃の起点はアイザック・ヘイデン。右足のシュートが中央へのラストパスとなり、武藤嘉紀がラインの裏に飛び出すも無念の空振りでチャンスを逸しました。攻め続けたホームチームは、19分に先制します。アヨゼ・ペレスをポストに使ったリカルド・ペレイラは、ハーフライン付近から斜めにドリブルで進み、あっという間にボックスの手前へ。迷わず放った左足の強烈な一撃は、ドゥブラフカの指先を抜けてサイドネットに突き刺さるスーパーショットでした。

18分、ティーレマンスのスルーパスでチルウェルがドゥブラフカと1対1。コースがなく、シュートはGKに足でセーブされてしまいましたが、早くも3つめの決定機です。28分、ハーヴィー・バーンズのクロスをドゥブラフカがパンチでボックスの外に押し出すと、デニス・プラートの強烈なシュートはダメットが必死のブロック。猛攻をしのぎながら、何とか追いつきたかったニューカッスルにとって、43分のアイザック・ヘイデンの1発レッドは激痛でした。デニス・プラートの脛をスパイクの裏で削ったMFがロッカールームに消えると、スティーヴ・ブルース監督は武藤を下げ、キ・ソンヨンで中盤の底を埋めようとしました。しかし…。

1-0で折り返したレスターは、54分にほしかった追加点をゲットします。デニス・プラートが左サイドのハーヴィー・バーンズにきれいなロングフィードを入れると、21歳のウインガーはニアに走ったヴァーディーに浮き球を通しました。エースが得意のボレーでドゥブラフカのニアを破って2-0。10人のニューカッスルは、直後の3点めで完全に切れてしまいました。中盤でアヨゼ・ぺレスが奪われたボールをデニス・プラートが取り返し、中に絞っていたリカルド・ペレイラがドリブルで前へ。ラストパスをもらったデニス・プラートがボックス右に侵入して打ったシュートは、ダメットに当たってドゥブラフカの逆を突き、ニアに飛び込んでしまいました。

4点めは64分、ハーヴィー・バーンズと代わったばかりのオルブライトンが左から仕掛け、ファーに絶妙なクロスを上げると、フリーだったヴァーディーは頭に当てるだけでした。最後のゴールは90分のショートコーナー。チルウェルが入れたクロスをジョニー・エヴァンスが頭でスライドし、ダメットを背負っていたエンディディが振り向きざまに右足でねじ込みました。レスター、5-0圧勝。得失点差を8に伸ばしたチームは、マンチェスター・シティとの2ポイント差をキープし、プレミアリーグ3位にジャンプアップしました。

厳しいプレスとショートカウンター、そして時折見せるヴァーディー活用の正統派カウンター。新戦力のデニス・プラートが完全にフィットし、ジェームズ・マディソンを欠いてもこのクオリティかとワクワクしました。4位につけているウェストハムは、これから落ちてくるかもしれませんが、今季のレスターは本物でしょう。

次節はいよいよアンフィールド。古巣相手にロジャースがリベンジを果たすのか、プレミアリーグのホームゲームで43戦連続無敗のリヴァプールが若いチームを叩きのめすのか。シェフィールド・ユナイテッドの善戦を見た指揮官は、チルウェルとハーヴィー・バーンスでアーノルドをいじめる戦い方を考えているのではないでしょうか。今季プレミアリーグ最少失点対決が、今から楽しみです！