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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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【Leicester×Arsenal】後半に感じた明確なレベル差…不振のアーセナルがレスターに完敗!

エメリ監督の布陣は、3-4-1-2でしょうか。プレミアリーグ12節、レスターVSアーセナル。7勝2分2敗で3位に食い込んでいるロジャース監督のチームに、4勝5分2敗で5位のガナーズが胸を借りるという構図です。さっそく、アウェイチームのスタメンを見てみましょう。GKレノ、3バックはチャンバース、ダヴィド・ルイス、ホールディング。中盤センターにグエンドゥジとルーカス・トレイラ、WBはベジェリンとコラシナツ。トップ下がエジルで、前線はオーバメヤンとラカゼットです。ロジャース監督の最前線はプレミアリーグ得点王のヴァーディー、その後ろにアヨゼ・ぺレス、ハーヴィー・バーンズ、ジェームズ・マディソン、ティーレマンスと、ベストメンバーでガナーズを迎え撃ちます。

キックオフからボールを支配しているのはレスター。4分、ティーレマンスが右からアーリークロスを入れると、ジェームズ・マディソンのボレーはレノがキャッチします。ダヴィド・ルイスが攻め上がった6分、ボックス右脇からのオーバメヤンのクロスは中に合わず。相変わらずビルドアップが不安定なガナーズは、ジェームズ・マディソンに奪われかけてFKを献上してしまいます。10分にチルウェルが左から蹴ったボールは、ファーに走り込んだソユンチュをグエンドゥジが手で遮りますが、PKを示す笛は鳴りません。

14分、左のエジルからルーカス・トレイラ、オーバメヤンと右にまわると、ベジェリンの折り返しをオーバメヤンがプッシュ。中央でこぼれ球を叩いたラカゼットは、惜しくもファーポストの右に外してしまいます。20分にオーバメヤンが右サイドを突破し、ファーにいたラカゼットに合わせると、ボレーはリカルド・ペレイラがブロック。リバウンドを拾った9番の2発めは、複数の青いシャツがコースを塞いでシュマイケルがキャッチしました。

26分、またもビルドアップでベジェリンがパスミス。拾ったアヨゼ・ぺレスが左足を振り抜くと、ボールはレノが挙げた手を越えていきました。右サイドを何度も攻略しているレスターですが、ラストパスがことごとくゴール前を横切り、敵陣で奪って仕掛けるショートカウンターもボックス手前で止められます。35分に左サイドでコラシナツ、エジル、オーバメヤンとつながり、ボックス右に入ったボールをラカゼットが中に落としますが、外からスプリントしてきたベジェリンに合いませんでした。

ジェームズ・マディソンが左隅を狙った42分のFKは、30センチほど左にずれてしまいました。ポゼッションは55対45、シュート数は9対6と、プレミアリーグ3位と5位という現状をそのまま反映させたようなスタッツです。0-0で折り返した試合は、後半もレスターペースです。48分、リカルド・ペレイラがルーカス・トレイラを抜いてゴールラインから折り返すと、フリーのエンディディが左足で合わせたボレーはクロスバーを叩きました。51分にボックス手前まで上がったダヴィド・ルイスの左足シュートは、思うように曲がらず左のポストの外に消えていきます。

グエンドゥジが粘って前につないだ53分のアタックは、自陣からドリブルで進んだベジェリンのシュートが惜しくもクロスバーの上。ロジャース監督は60分にアヨゼ・ぺレスを下げ、デマライ・グレイにサイドを託します。62分、ダヴィド・ルイスのロングフィードが前線のオーバメヤンにピタリと合いますが、リカルド・ペレイラが間に合ってCKに逃れました。66分、デマライ・グレイの左足ミドルはレノの正面。均衡が崩れたのは、68分でした。リカルド・ペレイラが中央に転がしたボールをハーヴィー・バーンズがダイレクトで右につなぐと、ティーレマンスがファーに出したラストパスがノーマークのジェイミー・ヴァーディーに届きます。今季プレミアリーグ11発めは、右足のインサイドで左隅に流し込んだお手本通りのボレーでした。

1-0となった73分、ハーヴィー・バーンズとパス交換したデマライ・グレイが中央を上がり、右のヴァーディーにラストパス。右足の強烈なシュートは、レノが膝に当ててブロックします。ロジャース監督の2枚めは、74分にハーヴィー・バーンズをデニス・プラート。75分、エンディディが右サイドで粘り、内側に入ったリカルド・ペレイラにつなぐと、ファーで待っていたヴァーディーがジェームズ・マディソンに落とし、ベジェリンの股間を狙った一撃が左隅に突き刺さりました。77分、ホールディングが下がってニコラ・ペペ。80分にはルーカス・トレイラに代わってウィロックが中盤に入りました。

マン・シティのように余裕をもってキープし始めた選手たちに、キングパワーのサポーターは「オーレ」の大合唱です。終わってみればシュート数は19対8、オンターゲットは7対1とレスターが圧倒。アーセナルが上回った主要スタッツはオフサイドの数だけで、90分を通じてリカルド・ペレイラを軸にコラシナツのサイドを執拗に攻めたホームチームの作戦勝ちでした。右からボールが入る際にジェイミー・ヴァーディーが外に開いたのは、ボールウォッチャーになりがちなガナーズのCBのクセをわかっていたからでしょうか。1点めは4対5、2点めは3対4と頭数は揃っていたガナーズは、速いパスワークでチェックが後手にまわり、致命的なフィニッシュを許してしまいました。

ボールを失ったらすぐに奪い返し、ダイレクトを駆使したアップテンポなパスまわしでボックス周辺のスペースを突くロジャースのフットボールは、クロップやペップに負けず劣らずモダンなスタイルです。彼我の間に横たわる9ポイントのギャップは、もはや実力差と認めるべきなのか、ガナーズが調子を上げてくれば埋まると信じていいのか。覚束ないビルドアップ、攻守の切り替えの遅さ…今日のゲームの後半だけを切り取れば、TOP4との間に明確なレベル差があるように感じられました。前線が連動する攻撃がなかったガナーズの巻き返しは、想像以上に難しくなっているのかもしれません。(ジェイミー・ヴァーディー/写真著作者/Кирилл Венедиктов ジェームズ・マディソン/写真著作者/@cfcunofficial (Chelsea Debs) London )

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“【Leicester×Arsenal】後半に感じた明確なレベル差…不振のアーセナルがレスターに完敗!” への8件のフィードバック

  1. プレミアリーグ大好き! より:

    アーセナルファンではないですが、こうなると後任が決まり次第、解任もやむを得ないかもしれませんね。
    レスターが強かったとはいえ、これ以上CL圏から離されるわけにもいかないし、もちろん二年連続EL優勝に懸けられるわけもない。
    今にして思えば、カリスマ性が最大の魅力だったベンゲルから、カリスマ性のなさが最大の欠点であるようなエメリというのは、あまり良くない人事だったのかもしれません。
    擁護するなら、エメリ政権になってもたらされた戦力も少なくないという点くらいか。(当然彼一人の功績というわけではないけど)
    2000年以降のアーセナル最高のGKであろうレノ、ベンゲルばりの無名発掘スマッシュヒットであるグエンドゥジ、一皮剥けたホールディング。
    前政権からの変わらぬ主力らしい主力は前の看板2枚とベジェリン、コラシナツくらいですか。ジャカは一応まだここに加えていいのかもしれませんが。
    それに夏に大型補強したとはいえ、結果的に先発スカッドに加わったのは守備に課題のあるD・ルイスだけというのもね…。
    と、弁護してみたもののアッレグリがうまく整理してくれたらすぐに復活しそうな気もするので、やはり早急に連絡すべきか(笑)

  2. プレミアリーグ大好き! より:

    エメリは解任するべきでしょうね。
    エジルとの確執に加えて、ジャカを一切かばわないというエメリのマネジメントから、選手からの信頼を失っていることが読み取れます。
    個人的に監督解任のタイミングは結果が伴わないことよりも、選手とうまくやっていけなくなったときが適切だと思っているので解任を決断するべきでしょう。
    ただ、解任してもガナーズはお金がないクラブなので後任に適切な監督を選べなければ(アンリ監督とかリュングベリとかはやばい)、更に状況が悪化することも十分に考えられますね。

  3. プレミアリーグ大好き! より:

    グーナーです。2ゴールとも「それ!うちらがやりたいゴールなんだけど!」と羨ましく観ていました。
    先制点を決められたあとは、同点は有りえても勝利は期待出来ない内容でした。つらい

  4. だしまる より:

    完全に力負け・レベル差という印象で、調子の良し悪しで鼻息がします。ソユンチュもエバンスもアーセナルに来るかもと言われた選手。取る気になれば、取れたと思います。

    エメリ監督を彼だからこそと擁護する選手の声も、ほぼ聞こえず。選手との間はやっぱり駄目なんでしょうね。

    希代の戦術家と謡われたエメリ。昨年度からxGに比べて、成績がよさすぎる点が危惧されていました。オーバとラカの決定力頼みだった。

    この後、クラブがどういう決断をするのか。どうなるか見てみよう です。

    執筆、応援しています!

  5. 海苔助 より:

    最終ラインがソユンクとエバンスでもバーディー獲得してても、監督がロジャーズでもなんならペップでも現状はあまり変わらないと思っております。

    1-2本パスミスして失点に絡めば、即座にブーイングだの殺害予告だの喰らう、選手から自信を根こそぎ奪い去り、キャリアを腐らせる事に特化したクラブに来たい選手など居ないのかなと

    ムスタフィは干され、ベンゲルは切られ、ジャカも干され、エジルトレイラは無事起用され、結果この有様です。連中の逆神っぷりにはほとほと呆れるばかりといいますか…

  6. プレミアリーグ大好き! より:

    アッレグリがシーズン途中からこんなあからさまな泥舟に乗ってくれるとは思えない
    チェルシーを見習ってアンリやリュングベリらレジェンドに任せればいいんじゃね?
    ランパードになるかスールシャールになるかはやってみないとわからんけれども
    来季以降への期待がまったく持てないようなら、夏にまた探せばいい
    今の体たらくでCLだの何だの言って上ばかり見てると本格的にすっ転ぶぞ
    チームとして、クラブとしてちゃんと改善するまで、しばらくは低迷する覚悟を持っといた方がいい

  7. エミリー より:

    レスター素晴らしいチームになりましたね。
    全員で戦う集団になり、ヴァーディはエースとしての自信に磨きをかけています。
    負けると予想した上で、更に上を行く完敗です。
    後半の、ポジションもクソもないアーセナルの規律の無さ、レスターファンの嘲笑が聞こえてきそうでした(泣)

    ていうか、エメリ監督解任して、エンリケだアルテタだと指揮官を変えたとして、アーセナルの選手達は戦う集団に変貌を遂げられるのか?はなはだ不安です。
    なんだか、天才肌揃いで、愚直なプレーとか、徹底した早いチェックとか、イメージすら湧いてこない。
    相手に自由を与えなかったアーセナルなんて、何年前まで遡るんだろう?
    シャツに袖を通す時、誇りを感じたのは、あれはいつだったっけか?

    辛いけど、現状は10位近辺の実力なのを、オーバメヤン大明神でしがみついてるという事がわかりましたね。
    11人がもれなく良くやってた!良く効いていた!っていうチームを見たいんだよなぁ。

  8. トマシュ より:

    レスター凄い。噂に違わず。見事。ロジャースはスアレスの件で大嫌いになったが、このレスターを作ったのだとすれば大したもんだね。

    アーセナル酷い。知ってたが。ある意味見事。ヴぇんがるの負の遺産の中で良くやってる、じゃなくてヴぇんがるの遺産があったから去年あそこにぶら下がっていられたんじゃないのか?で、それすら食い尽くした感あり。

    最初の30分は誇張でもなんでもなく、バルセロナに無茶苦茶にされた試合を思い出していた。

    細かいけど、やはりベジェリンが右サイドバックに入っても守備では全く効かないんだよね。最初の失点、自分のエリアを放棄してアーク付近まで上がった(釣り出された)のが印象的だった。チェンバースは、「えっ、居たじゃん!居ないのかよ!」と思ったことだろう。危険を察知したのかもしれないが、守備を選手の閃きでやってるのがよくわかるシーンだった。で、2点目は半端な寄せでブロックできずに股抜き食らう。レノは「ブラインドになるくらいなら退いてくれ」と思ったことだろう。

    まぁ、ベジェリンのせいで負けたわけではないから、こんなところ突いても栓のないことだろうが。

    今年はエメリで最後まで行けばいい。サンジェイも満場一致でエメリ選んだ3人の内の一人だよね。お前も責任取ってくれよ。

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