偏愛的プレミアリーグ見聞録

ナイジェル・ピアソン監督が就任してからのプレミアリーグ7試合を4勝2分1敗。降格ゾーンから抜け出したワトフォードは、後半戦3試合未勝利のトッテナム相手に勝ち点をゲットするかもしれません。ハリー・ケインとシソコを失ったモウリーニョ監督は、前節のリヴァプール戦でプレミアリーグデビューのタンガンガを左SBとして起用し、4-1-4-1で戦うようです。GKガッサニーガ、DFセルジュ・オーリエ、タンガンガ、アルデルヴァイレルト、フェルトンゲン。ハリー・ウィンクスをアンカーに据え、中盤はラメラ、デル・アリ、ロ・チェルソ、ソン・フンミン。最前線にルーカス・モウラという布陣です。

立ち上がりからゴール前に殺到したスパーズは、シュートを打てずにカウンターを喰らいました。中央からドリブルで上がり、CBコンビを翻弄したデウロフェウのシュートは右ポストの外。7分に右からまわり込んで打ったラメラのミドルは、うまく当たらず右に切れていきます。ポゼッションは圧倒的にスパーズ。ワトフォードが9人で築く守備網に白いアタッカーたちは手を焼き、希望のないクロスがゴール前を横切ります。トップ下でプレイしているドゥクレが左から上がったのは17分。マイナスの折り返しがイスマイラ・サールに届くと、窮屈なシュートはガッサニーガの頭上を越えていきました。

サイドから仕掛けるデウロフェウとイスマイラ・サールに押され始めたスパーズは、ソン・フンミンやルーカス・モウラにロングフィードを入れる単調なアタックが増えています。30分にボックスの左手前から放ったソン・フンミンのミドルがDFに当たって左隅に飛びますが、フォスターが冷静にダイビングキャッチ。38分、デル・アリが縦に出した美しいスルーパスで抜けたルーカス・モウラは、飛び出したフォスターに右足のフィニッシュをぶつけてしまいます。

40分、アルデルヴァイレルトのロングフィードを直接叩いたソン・フンミンのボレーはタッチミス。直後に右から上がったマリアッパのクロスがクリアされると、拾ったチャロバーがディーニーに合わせまずが、ヘディングシュートはガッサニーガの守備範囲です。前半は0-0、シュート数は7対7と互角の展開。後半開始から執拗にサイドを攻めるワトフォードが、47分に決定機を創ります。右サイドを突破したイスマイラ・サールがグラウンダーを入れると、ディーニーがヒールで後ろに流し、ドゥクレがGKの前でトラップ。右に流れながら放ったシュートはニアに外れ、ヴィカレージ・ロードにどよめいています。

53分、右から上がったソン・フンミンのアーリークロスがデル・アリにピタリと合いますが、得意のヘッドは浮いてしまい、フォスターの頭上にアウト。ロングフィードがボックス左のディーニーに届くと、巧みなトラップで2人かわして打ったシュートは、アルデルヴァイレルトがかろうじて足に当てました。62分のスパーズのカウンターは、左からまわり込んでこぼれ球を持ち込んだソン・フンミンのシュートが枠にいかず。右サイド攻略を狙い続けたワトフォードは、69分に千載一遇のチャンスをつかみます。

イスマイラ・サールがボックスの脇に走ったチェロバーに斜めのパスを通すと、折り返しに反応したデウロフェウのボレーをフェルトンゲンが手に当ててしまいました。ジャッジはPK。しかしディーニーのキックはガッサニーガがストップ！モウリーニョ監督は、73分にデル・アリを下げ、エリクセンで勝負です。プレミアリーグ屈指のプレーメイカーは、これが見納めとなるのでしょうか。79分にチャロバーがロベルト・ペレイラに代わると、ロ・チェルソが下がってジェドソン・フェルナンデス。85分、ルーカス・モウラがボックス左に縦パスを転がすと、ラメラの左足シュートはバーを越えていきました。

イスマイラ・サールは臀部を痛めてしまい、89分にプッセートにチェンジ。90分、エリクセンが右に流した柔らかいパスをセルジュ・オーリエがダイレクトで中に入れると、DFと絡みながらラメラがプッシュしたボールは、プッセートがゴールライン上でクリアしました。PKを外したワトフォード、3度の決定機を活かせなかったスパーズ。シュート数は15対17、ドローは妥当な結果でしょう。ロ・チェルソは効果的とはいえず、エリクセンが頭からプレイしていれば違う結果もあったかもしれません。モウリーニョ監督のチームは、プレミアリーグでは3試合連続ノーゴール。ジョレンテとフィンセント・ヤンセンを手離した夏のマーケットで、代役を獲らなかったのが今さらながら悔やまれます。