偏愛的プレミアリーグ見聞録

最前線にマルシアル、2列めはアントニー、ブルーノ・フェルナンデス、ラシュフォード。中盤センターにカゼミーロとエリクセン…と、ここまではベストメンバーですが、最終ラインはワン＝ビサカ、ヴァラン、ルーク・ショー、マラシアという急造4バックです。

プレミアリーグ17節、マンチェスター・ユナイテッドの相手は暫定19位のノッティンガム・フォレスト。ワールドカップを制したリサンドロ・マルティネスを欠き、ハリー・マグワイアはベンチスタートです。立ち上がりから攻め続ける赤いシャツは、ラストパスが味方につながりません。

アントニー、エリクセン、ワン＝ビサカと右につながった6分のチャンスは、ファーでクロスをトラップしたラシュフォードの一撃がDFにヒット。拾ったマラシアの強打は、GKヘネシーとポストに当たって外に流れていきました。10分過ぎから徐々に押し返したフォレストは、セットピースを活かせず、再度自陣に引かされています。

19分の右からのCKは、完璧なサインプレー。左からまわり込んだラシュフォードがエリクセンのグラウンダーをニアで合わせ、ゴール左に突き刺しました。22分のカウンターは、自陣左サイドからのブルーノの縦パスが見事。抜け出したラシュフォードが中央に転がすと、待ち構えていたマルシアルのダイレクトショットがヘネシーの右手を弾き、サイドネットに届きました。

あっという間の2-0。ノッティンガム・フォレストのアタックは単調で、サイドで勝負してクロスという形しかありません。32分のイエーツの強烈なミドルは、左に反応したデ・ヘアが胸でセーブ。37分にカゼミーロのパスを受け、ノーステップで放ったアントニーのミドルは、クロスバーを越えていきます。

39分のFKをイエーツがヘッドで押し込むと、VARはオフサイドポジションのボリに当たったとしてノーゴール。マンチェスター・ユナイテッドは、2点のリードをキープしてハーフタイムを迎えました。後半の立ち上がりはイーブンの展開。49分にセルジュ・オーリエがニアにグラウンダーを入れると、マンガラのワンタッチはポストの外です。

55分、左からカウンターを仕掛けたのはラシュフォード。中央のブルーノに素晴らしいロングフィードが通り、右でフリーだったアントニーに優しいラストパスが転がります。しかし左足のシュートは、コースを読んだヘネシーがビッグセーブ。雨のオールド・トラフォードには、選手を鼓舞するチャントが鳴り続けています。

59分、左でキープしたブルーノが、ボックス左に走ったマルシアルをフリーにする縦のスルーパス。左足のシュートは、ヘネシーが体を張ってセーブしました。マルシアルとアントニーが下がったのは64分。前線はガルナチョ、ラシュフォード、ブルーノで、トップ下にファン・デ・ベークという布陣でしょうか。

67分に左から上がったのはガルナチョ。前に流れてきたファン・デ・ベークにパスが通り、折り返しがニアに入ると、ラシュフォードの一撃はヘネシーが足でセーブしました。72分のCKが右に流れ、折り返しを受けたカゼミーロは、ワン・ビサカとのパス交換からループシュート。これもヘネシーがぎりぎりで上に弾き出し、希望をつないでいます。

77分にヴァランとエリクセンが下がり、フレッジとマグワイア。96分にラシュフォードと代わったのはエランガです。その1分後、カゼミーロが敵陣でインターセプトし、左で空いていたフレッジにきれいなラストパス。GKと1対1になったMFは、落ち着いて右隅に決めました。

マンチェスター・ユナイテッド、3-0快勝。1ゴール1アシストのラシュフォードとともに、攻守ともに貢献度が高かったカゼミーロと、パスワークを活性化させたエリクセンにも拍手を送りたい一戦でした。タックル成功3回、インターセプト2回、デュエル勝率60%のカゼミーロは、最後のアシストに加えてチャンスクリエイト3回を記録しており、「もうひとりのMVP」に推したいパフォーマンスでした。

コーディー・ガクポをリヴァプールに持っていかれたのは残念ですが、ラシュフォードとマルシアルにトップをまかせて、ガルナチョのブレイクに期待するという布陣でもいいような気がしてきました。さらにファン・デ・ベーク、サンチョ、ワン＝ビサカが持てる力を発揮できれば、チャンピオンズリーグの出場権奪還という目標はクリアできるのではないでしょうか。

次節はウルヴス、年明けはボーンマス。ラシュフォードとマルシアルが好調な今は、引いた相手を崩せずに足をすくわれることはないと信じましょう。1月14日のマンチェスターダービーが楽しみになってきました。オールド・トラフォードの熱きサポーターの前で、6-3で大敗した前回の借りを返していただければと思います。