偏愛的プレミアリーグ見聞録

逆転優勝をめざすマンチェスター・シティと、何としてもTOP4に食い込みたいリヴァプール。プレミアリーグ再開初戦は、1年前にトロフィーを争った2強の対決です。ハーランドの起用を匂わせていたペップは、ベンチ入りも断念したようで、最前線はフリアン・アルバレス。サラー、ジョッタ、ガクポがフロントに並ぶレッズの4-3-3の顔ぶれは、多くのサポーターの予想通りでしょう。

ホームのマン・シティからスタメンを紹介しましょう。GKエデルソン、DFジョン・ストーンズ、アカンジ、ルベン・ディアス、ナタン・アケ、MFロドリ、デブライネ、ギュンドアン、FWマフレズ、フリアン・アルバレス、グリーリッシュ。ペップの手元にある攻撃のカードは、ベルナルド・シウヴァとコール・パルマーだけです。

対するクロップ監督は、フィルミーノとダルウィン・ヌニェスをベンチに置いています。GKアリソン、DFアーノルド、コナテ、ファン・ダイク、ロバートソン、MFファビーニョ、エリオット、ヘンダーソン、FWサラー、ジョッタ、ガクポ。マン・シティ戦で3試合連続ゴールのサラーは、シーズンダブル達成となるゴールを決められるでしょうか。

立ち上がりから、両者ともにハイプレスを敢行。レッズの前線を見ると、サラーとジョッタがチェイスし、ガクポは中央で下がりめのポジションを取っています。丁寧にパスをまわすマン・シティ。5分のFKから、デブライネのロングフィードが右のマフレズに通りますが、落としを受けたフリアン・アルバレスのキックはアリソンが落ち着いてキャッチしました。

ルベン・ディアスのロングフィードがグリーリッシュに届いたのは9分。逆サイドのデブライネにボールがまわり、ファーで呼んでいたギュンドアンにクロスが入ると、ゴール前に出した右足のダイレクトタッチはアリソンが読んでいました。11分に右から突破を図ったデブライネの折り返しは、ファン・ダイクがクリア。マフレズのパスを叩いたロドリの一撃は、GKの正面です。

14分のマフレズのFKは、惜しくもファーポストの外。1分後のレッズの速攻は、右から仕掛けたサラーとエリオットの連打がブロックされました。17分、アーノルドの浮き球で裏に抜けたのはジョッタ。ボックスに持ち込んだアタッカーがアカンジと競って後ろに落とすと、走り込んできたサラーのダイレクトショットが左隅に突き刺さりました。

21分にカットインしたグリーリッシュが、前にいたデブライネに浮き球を通すと、折り返しはギュンドアンに合わず。デブライネからギュンドアン、マフレズと右につながった22分のチャンスは、フリーのレフティが打ち上げてしまいました。グリーリッシュはアーノルドには勝つものの、中に入ってからシュートコースを塞がれています。

27分のCKのクリアから、サラーがドリブルで左サイドをスプリント。必死に戻ったグリーリッシュがラストパスをカットし、事なきをえました。同点ゴールは28分、起点は右サイドのマフレズ。ボックスの入り口で受けたギュンドアンが左のグリーリッシュに展開すると、優しいグラウンダーに走り込んだフリアン・アルバレスが右足で流し込みました。

ジョッタとガクポを後ろからつかんで倒したロドリは、イエロー1枚で済んでいます。左右にロングボールが入るとチャンスになるマン・シティに対して、レッズの中盤は余裕がなく、カウンター以外に活路を見出せません。追加タイム1分、マフレズの右からのCKをファーで合わせたロドリのボレーはミスキック。ハーフタイムのポゼッションは、61%対39%です。

後半開始から50秒、グリーリッシュの脇でパスをもらったフリアン・アルバレスがサイドチェンジをマフレズに通しました。ロバートソンの対応が遅れ、グラウンダーが中央へ。飛び出したアリソンは触れず、マフレズに出たときはオフサイドポジションにいたデブライネが無人のゴールに押し込みました。

攻めなければならないレッズは、ナタン・アケのサイドを崩そうとしています。しかし53分、カットインしたマフレズのパスがフリアン・アルバレスに通ると、前が空いています。左足のシュートはアーノルドがブロック。こぼれ球がゴール左にいたギュンドアンの足元に入り、右足のフィニッシュが左隅に決まりました。

59分にガクポとのパス交換で、ロバートソンがオーバーラップ。左からの折り返しはカットされ、こぼれ球を拾ったガクポの転倒に笛は鳴りません。直後、ボックス左手前から放ったグリーリッシュのコントロールショットは、アリソンが左に飛んでセーブ。ホームチームが次のゴールを決めたら、勝負ありでしょう。

レッズのプレスはペースダウンし、マン・シティは余裕をもってキープしています。クロップ監督は、69分に4枚代えを敢行。ロバートソン、ジョッタ、サラー、エリオットが下がり、ダルウィン・ヌニェス、フィルミーノ、チェンバレン、ツィミカスです。74分、右からのサイドチェンジを収めたグリーリッシュがボックス左に縦パスを出すと、デブライネは完全にフリーでした。

左からのグラウンダーを右隅にプッシュしたのは、斜めに走り込んだグリーリッシュ。アーノルドはデブライネへのコースを切れず、10番にも着けず、振り回されただけです。レッズの最大の敗因は、グリーリッシュとマフレズを自由にさせたSBの不調でしょう。守備で後手にまわるシーンが多かったロバートソンは、攻撃においてもミスキックが目立ちました。

クロップ監督の最後のカードは、82分にガクポをミルナー。その1分後、ペップはロドリを下げてベルナルド・シウヴァを投入しました。前線がプレスでコースを切っても連動せず、背後に入った選手にパスを通された中盤も敗因のひとつでしょう。終わってみればシュート数は17対4、オンターゲットは8対1。エース不在のマン・シティが4-1で完勝しました。

グリーリッシュとデブライネが1ゴール1アシスト。チャンスクリエイト5回のプレーメイカーより、アーノルドを無力化した10番をMVPに推したいと思います。中盤と最終ラインの間に入った選手を使い、左右に展開するアタックは狙い通りだったのでしょう。幾度となくSBの背後を取ったチームは、ラストパスも精度が高く、4発圧勝は納得のひとことです。

レアル・マドリードとボーンマスにも敗れたレッズは、公式戦3連敗。チェルシーとアーセナルに連勝できなければ、目標はEL出場権争いにスイッチします。プレスのクオリティ、中盤のパスワークとポジショニング、サイドの守備…修正すべきポイントが多々あるチームは、強かった頃のパフォーマンスを取り戻せるのでしょうか。チェルシー戦は火曜日。時間はありません。