偏愛的プレミアリーグ見聞録

ニューカッスルはTOP4に進出し、アストン・ヴィラとブライトンはEL出場権争いにエントリー。その一方で、上位をめざしていたはずのウェストハム、レスター、エヴァートンが残留を巡るバトルに引きずり込まれています。この1年で、プレミアリーグの中堅クラブの勢力図は大きく書き換えられました。

最大のサプライズは、プレミアリーグ2015-16シーズンの優勝以来、戦力とインフラを増強していたレスターの凋落でしょう。財政難で夏の補強が足りなかったとはいえ、ジェイミー・ヴァーディー、ジェームズ・マディソン、ティーレマンス、ハーヴィー・バーンズ、イヘアナチョ、エンディディを擁するチームが、ここまで崩れる姿は想像できませんでした。

そしてもうひとつ、プレミアリーグから降格したことがないエヴァートンも、最終盤で19位というポジションは想定外でした。こちらの失敗は前線の補強です。今季プレミアリーグの27ゴールは最下位。昨シーズンに獲得したデル・アリ＆サロモン・ロンドンは機能せず、リシャルリソンの穴はモペイとマクニールでは埋まらなかったということでしょう。

マンデーナイトのプレミアリーグは、何としてもトップリーグに残りたい彼らの直接対決でした。15分に先制したのは、アウェイのエヴァートン。右からのクロスを受けたカルヴァート＝ルーウィンがカスターニュに倒され、自らPKをゴール左に叩き込みました。負傷に悩まされたエースのプレミアリーグ14試合2ゴールというスタッツも、名門が低迷した理由のひとつです。

本拠地キングパワーで負けるわけにはいかないレスターは、すかさず反撃。22分に右からのFKがファーのハーヴィー・バーンズに届き、逆サイドに振ったボールをファエスが中に折り返すと、ソユンユのスライディングボレーがピックフォードの手を弾いてネットを揺らしました。33分の逆転ゴールは、センターサークルで奪ったティーレマンスが起点となるカウンターでした。

脇でボールをもらったジェームズ・マディソンは、迷わず縦に走るキラーパスをフィード。マイケル・キーンとピックフォードを抜き去ったストライカーが無人のゴールに流し込みました。43分のエヴァートンの決定機は、左からのグラウンダーに走り込んだカルヴァート＝ルーウィンが、ゴール前1メートルからGKがいるほうに打つという大失敗でつぶしてしまいました。

この直後、カウンターで裏に飛び出したジェイミー・ヴァーディーが再度マイケル・キーンをかわし、ピックフォードと1対1。左足で浮かしたフィニッシュはバーを叩き、エヴァートンの希望がつながりました。最大のターニングポイントは、前半終了間際のPKです。ヴァーディーにやられていたマイケル・キーンがクロスを手でカットしてしまい、絶体絶命のピンチを招きます。

ピックフォードが動くとみたジェームズ・マディソンの選択はど真ん中。ステップを踏んでいたGKは読み切り、両手で前に弾き出しました。3-1で終えられたはずの前半は1点差で終了。トフィーズが追いついたのは54分です。左サイドのマクニールのアーリークロスをソユンチュが頭でクリアすると、右から落下点に走り込んだイオビがダイレクトで押し込みました。

59分にチームを救ったのはタルコフスキー。ジェームズ・マディソンが右からファーに浮かすと、ボックス左にいたハーヴィー・バーンズの折り返しが高くバウンドしてフリーのヴァーディーに届きます。枠に送るだけだったヘッドは、左隅を狙うべきでした。右にいたCBが冷静にクリアし、ホームチームはまたもチャンスを逃してしまいました。

レスターが、4度めの決定機を活かせなかったのは80分。ヴァーディーに出たボールを追って、右サイドで先着したピックフォードは、強引なドリブルをハーヴィー・バーンズにカットされてしまいます。こぼれ球を拾ったのはヴァーディー、ゴールはガラ空き。しかし右足で蹴ったボールは力が入っておらず、ニアポストの外を抜けていきました。

シュート数15対23の攻め合いは、2-2ドロー。この結果、15位レスターから19位エヴァートンまでが1ポイント差の激戦となりました。リーズ、ノッティンガム・フォレストを含む4チームから2つがアウト。最も厳しいのは、マンチェスター・シティ、ニューカッスル、ウェストハム、トッテナムを残しているリーズですが、レスターもエヴァートンもなかなかの難関です。

フラム、リヴァプール、ニューカッスル、ウェストハムのレスターに対して、エヴァートンはブライトン、マン・シティ、ウルヴス、ボーンマス。エヴァートンのほうがラクに見えますが、直近のウルヴスは3勝2敗で、ボーンマスは4勝1敗と絶好調です。残るのはディーン・スミスか、ショーン・ダイクか。両者の守備を見ると、ダブルで落ちるという結末もないとはいえません。