偏愛的プレミアリーグ見聞録

プレミアリーグ28節の延期試合は、モー・サラーのPKでフラムに1-0。今季初の5連勝を記録したリヴァプールは、残り4試合を3勝1敗で走り抜ければ、ヨーロッパリーグ出場権を獲得できます。もうひとつ上にいけば、チャンピオンズリーグが手に入るのですが、こちらの状況は厳しいといわざるをえません。

3位ニューカッスルは、3月のマンチェスター・シティ戦を落とした後、8勝1敗と絶好調。4位マンチェスター・ユナイテッドも、マグパイズとの直接対決で敗れてからは4勝1分と立て直しています。リヴァプールがラスト4戦を全勝で終えたら71ポイント。65まで積み上げたニューカッスルは2勝1分2敗、63のマン・ユナイテッドは3勝3敗で5位のチームを上回ります。

とにかく負傷者に悩まされたシーズン。コナテ、マティプ、チアゴ・アルカンタラ、カーティス・ジョーンズ、ジョッタ、フィルミーノはプレミアリーグの先発出場が15試合以下で、ナビ・ケイタとルイス・ディアスはシーズンの大半をピッチの外で過ごしました。優勝を争った昨季は95ゴール、今季は64ゴール。失点は26から42に増えています。

サラーの1発を守り切ったフラム戦は、シュート数は15対9と上回ったものの、守備はハラハラさせられました。開始5分の最後方からのロングフィードで、ハリー・ウィルソンがロバートソンの背後を取り、ボックス右でフリー。前にはアリソンしかおらず、中央へのグラウンダーではなくニアを狙われていたら、違う展開となっていたかもしれません。

15分のピンチも、2強といわれていた頃にはなかったシーンです。ハーフラインのアダラビオヨから、最前線のヴィニシウスに縦1本。ファン・ダイクの対応が遅れて左隅を狙われますが、アリソンが素晴らしい反応で右に弾き出し、先制を許しませんでした。最大にピンチは77分。ヴィニシウスとのワンツーで、左からラインの裏に出たのはウィリアンでした。

ヴィニシウスの上がりを待ったベテランウインガーがニアに転がすと、ヘンダーソンは簡単に抜かれ、コースを読んだ守護神が右手を出してCKに逃れました。ダニエル・ジェームズが左からスプリントした94分の決定機も、クロスを受けたボビー・リードにファン・ダイクは足を出すのが精一杯で、ボレーが浮いてくれて助かりました。

2023-24シーズンにレッズが巻き返しを図るためには、中盤と最終ラインの世代交代が急務となります。必須となる補強ポイントは、将来の主軸となるCBと中盤センター。ファン・ダイクとマティプはピークを過ぎた感があり、チアゴとヘンダーソンもこれまでのパフォーマンスを期待できなくなるかもしれません。

レッズ関連の移籍ニュースをチェックしてみると、1億ポンドともいわれるジュード・ベリンガムから手を引いて、マン・シティのカルヴァン・フィリップスやブライトンのカイセド、ガナーズと競合必至のデクラン・ライスらを狙うという報道があります。強化すべきポジションが複数あることを考えると、妥当な判断といえるでしょう。

さらに中盤は、ニコロ・バレッラ、メイソン・マウント、アレクシス・マック・アリスターといった攻撃力が高いタレントも候補になっているようです。ファビーニョより守備の強度が高くてプレーエリアが広いアンカーと、ワイナルドゥムのように攻守のバランスを取れるプレーメイカーを獲得できれば、来季の期待値が高まりそうです。

守備においては、アーノルドのポジションも注目ポイントです。偽SBは継続するのでしょうか。精度の高いクロスやシュート力を活かすなら、インサイドMFに上げるという選択肢もあります。名前が挙がっているアヤックスのユリエン・ティンバーは、ベン・ホワイトのようにユーティリティが高いDFで、レッズの右サイドにうまくはまりそうです。

コーディー・ガクポ、ダルウィン・ヌニェス、ルイス・ディアス、ファビオ・カルヴァーリョに伸びしろがある前線はOK。今季のように負傷者に悩まされなければ、TOP4はいけるでしょう。苦しいシーズンでしたが、ラスト4戦を勝ち切って、世代交代を進めていただければと思います。次節のブレントフォードですね。アンフィールドで負けることはないでしょう。楽しみです。