偏愛的プレミアリーグ見聞録

ロドリが不在だったウルヴス、アーセナル、ヴィラの3試合は、トータル1ゴールで3連敗。ビッグ6との直接対決で3つのドロー。12節から4戦連続勝利なしと停滞し、4位に転落したマンチェスター・シティは、前節のルートン戦もアデバヨのヘッドで先制される苦しい展開でした。

エティハドで開催されるプレミアリーグ17節の相手は、9節から1勝1分6敗と不振のクリスタル・パレス。クラブワールドカップの浦和レッズ戦を控えたチームは、快勝でサウジアラビアに向かえるでしょうか。15位に後退したロイ・ホジソンのチームは、オドソンヌ・エドゥアール、シェイク・ドゥクレ、レルマを欠いており、エゼはベントスタートです。

ハーランドとデブライネを起用できないペップは、リコ・ルイスを中盤に配し、フリアン・アルバレスをトップに置いています。GKエデルソン、DFカイル・ウォーカー、ルベン・ディアス、ナタン・アケ、グヴァルディオル。中盤センターにロドリとリコ・ルイス、2列めはフォーデン、ベルナルド・シウヴァ、グリーリッシュ、最前線にフリアン・アルバレスという顔ぶれです。

最初の決定機は5分。右から上がったベルナルド・シウヴァが内側にいたカイル・ウォーカーに預けると、アーリークロスに走り込んだフリアン・アルバレスのヘッドは、ディーン・ヘンダーソンが右にダイブして弾き出しました。左からのCKを中に折り返したのはナタン・アケ。グヴァルディオルのボレーは窮屈で、右に逸れていきました。

当たり前のようにポゼッションを取った昨季プレミアリーグ王者は、ルベン・ディアスがロドリの脇に上がってボールを散らし、リコ・ルイスは2列めに上がっています。10分に右から上がったルベン・ディアスのミドルは、惜しくも左ポストの外。2分後、リコ・ルイスのパスを受けて中央を突破したロドリは、右足アウトにかけたシュートが枠にいきません。

16分のチャンスメイクも、右サイドのベルナルド・シウヴァ。斜めのパスでリコ・ルイスがボックス右を制し、ニアにグラウンダーを入れると、ロドリのダイレクトはグエイが足に当ててCKです。最終ラインと中盤がベタ引きのアウェイチームは、ボックス手前に上がってきたルベン・ディアスをフリーにしており、ラストパスが1本決まれば即、失点となりそうです。

マン・シティの左サイドにいるのはグヴァルディオルで、グリーリッシュはいつもより中にポジションを取っています。先制は24分、左にいたフォーデンにパスを出したのはルベン・ディアス。間合いを詰めたウォードの股を抜く絶妙なスルーパスがグリーリッシュに通り、ダイレクトで転がしたボールが右のサイドネットに収まりました。

1-0となった29分、ルベン・ディアスの浮き球でラインの裏に出たのは、左からスライドしてきたグヴァルディオル。胸トラップからのフィニッシュは、コースを狭めたディーン・ヘンダーソンが体に当てました。ジェレミー・ドクのように前線に張っている左SBは、36分にクロスのクリアを足元に収めて右足でミドルを放ちますが、好調のGKがニアに反応してCKに逃れました。

負傷したウォードをオゾに代えたクリスタル・パレスは、5-5-0の超守備的な布陣で耐え続けています。40分に左からFKを蹴ったのはフリアン・アルバレス。ファーで待っていたグヴァルディオルがキープして後ろに落とすと、フォーデンの鋭いミドルはニアポストをかすめました。42分、自陣右から出したオリースの縦のフィードで、ラインの裏に抜け出したのはマテタです。

両足を挙げたスライディングでマテタを倒したエデルソンは、危険なプレイあるいは決定機阻止で、レッドカードを差し出されても違和感はありません。ジャッジはイエロー、オリースのFKは右ポストぎりぎりを抜けていきました。1-0の前半はシュート数14対2、オンターゲット5対0と昨季王者が圧倒。後半のクリスタル・パレスは、より前で奪おうとしています。

オリースの突破を止めたマン・シティは、最初の45分と同じようにCBが敵陣中央まで上がって包囲網を形成。52分のボックス左脇からのFKを直接決めたフリアン・アルバレスは、コースに入ったロドリのオフサイドでゴール取り消しとなりました。追加点は54分。カットインしたグリーリッシュが中央のフォーデンに渡すと、ダイレクトの浮き球がゴール前に入りました。

最前線に飛び出して右足のボレーを叩き込んだのは、プレミアリーグ初ゴールとなるリコ・ルイス。2点のギャップを埋めたいアウェイチームは、前に展開できずにいます。ボックスの手前でキープしたフォーデンが右に流したのは63分。走り込んできたベルナルド・シウヴァが左隅を狙うと、ディーン・ヘンダーソンがかろうじて右手で触りました。

ペースをスローに落としたマン・シティに対して、詰められないクリスタル・パレス。弛緩していたエティハドの空気が変わったのは、76分でした。グエイが縦に出した柔らかいボールがシュラップに通り、ボックス左からルベン・ディアスの股間を抜いた折り返しがゴール前へ。内側にいたナタン・アケのスライディングは届かず、マテタのワンタッチがネットを揺らしました。

2-1となってもポゼッションをキープしているマン・シティは、3点めを取りにいくのか、このまま終わらせるのか。ペップ・グアルディオラが動く気配はありません。グバルディオル、リコ・ルイス、ベルナルド・シウヴァと右につながったのは87分。中に持ったレフティのシュートは、またもディーン・ヘンダーソンが右に反応してセーブしています。

ナサニエル・クラインに代わってエゼが出てきたのは91分。必死にサイドアタックを仕掛けるクリスタル・パレスは、93分の粘り強いプレスが実を結びました。フランサのクロスが左に流れ、キープしたベルナルド・シウヴァからマテタが奪取。ボックス左に入ったオゾは、強引なドリブルをカイル・ウォーカーとロドリに止められ、チャンスは潰えたかと思われたのですが…。

こぼれ球に走り込んだマテタと、クリアしようとしたフォーデンのバトルは、先着したアタッカーが脛を蹴られてPKという結末です。オリースが左隅に決めて2-2。残り時間は1分を切っています。リコ・ルイスをジョン・ストーンズは、2-1だったからこその策ではなかったか。97分の速攻で左サイドを突破したフランセは、グラウンダーをファーのオリーセに通せませんでした。

タイムアップの笛と同時にブーイング。マン・シティは、2-1になってからの戦い方が曖昧でした。希望を抱いた相手がサイドアタックに活路を見出そうとするのはわかっていました。フォーデンとグリーリッシュを下げ、コヴァチッチとマテウス・ヌネスで守備力と運動量を足し、リコ・ルイスをサイドに当ててリードをキープしにいったほうがよかったのではないでしょうか。

ホジソン監督のギアチェンジは81分。フランサとアハマダを投入し、オリースとともにサイドを突かせる采配が的中しました。先に2点をゲットしており、ハーランドの不在は問題にならなかったのですが、時折CBとSBの間に出るロングフィードに脆さを見せる守備陣が貯金を吐き出してしまいました。

激痛のポイントロスト。リヴァプールがマンチェスター・ユナイテッドに勝てば、その差は6ポイントに広がります。サウジアラビアから帰ってきた後は、10月末から5勝1分1敗と絶好調のエヴァートン。直近5試合で1勝の昨季プレミアリーグ王者は、スケジュールがタイトな今こそが踏ん張りどころです。