2024.04.13 プレミアリーグ観戦記
現場で目撃した監督とコーチ、映像を分析したアナリストが証言「最も怖かったのはアーセナル」
「前半は残酷だった。トップチームに苦戦していても、いくつかの解決策を思いつくものだけど、彼らがあまりにアグレッシブにプレッシャーをかけてくるので、サイドラインで打開策を考えるのがとても難しかったのを覚えている。プレスをかいくぐられたとき、ああ、これはひどいことになるかもしれないと思った」
「低い位置でブロックするしかなく、長い90分になりそうだと感じた。アタックとディフェンスのトレーニングセッションになってしまい、アーセナルは次から次へと攻撃を仕掛けてきた。ベン・ホワイトがブカヨ・サカの外を何度もまわってくるので、ハーフタイムまでに100回はオーバーラップに対応しなければならなかった。そしてマンツーマンになると、混乱が生じた」
アーセナルの強さについて取材されたコーチは、匿名を条件に本音を吐露してくれたそうです。「アスレティック」のジョーダン・キャンベル記者のレポートのタイトルは、「Facing Arsenal: Managers, analysts and players tell us about ‘the toughest test’」。ピッチで、ベンチで、スタンドでアーセナルとの戦いを体感したプロフェッショナルたちのコメント集です。
冒頭で取り上げられたコーチは、「今年一番タフなテストだった。自分たちがゲームに参加しているという実感がなかった」と続けています。現場で最も感銘を受けた選手は、8番を背負ったキャプテン。その残像は、創造性溢れるチャンスメイクより、最前線でチェイシングし続ける姿だったようです。
「ボールを失ったときの反応が非常に速く、推進力を高めるのは難しかった。アーセナルはボックスの周囲に多くの選手を配していて、その中に閉じ込められてしまう。ラグジュアリーな選手はいない。マルティン・ウーデゴーアのような攻撃的な選手でさえ、守備の重責を担っている。ボールを持っていないときも、効率的にプレイする」
「ウーデゴーアは、左サイドのCBに執拗にプレスをかけてくる。何度も何度も繰り返す。パスが彼の脇を通り過ぎても、MFに追いつき、また上がってくる。プレスがうまくいかなくても、リセットしてやり直す。決して失望しない。疲れることもない。とにかく容赦ない」
2人めの匿名コーチも、プレミアリーグのファーストチームとだけ記されています。彼の推しはデクラン・ライス。経験が浅い選手たちを指導する際のテキストとして活用しているといいます。この記事を読んで最も震えたのは、ハマーズから来た41番が評価されているポイントです。正確なキックや運動量など、個の力が称えられているなら、すんなり読み進められたのですが…。
チームに対するコミットメントや戦術理解度をリスペクトされているMFは、アーセナルで8ヵ月しかプレイしていない選手です。メイソン・マウントやマテウス・ヌネスなど、未だチームの戦い方にはまっていないニューフェイスのいるなかで、これほど早いタイミングでアルテタのコンセプトにフィットしたことに驚かされます。
「若者たちと試合を振り返った。CKをクリアされた後の戻りの速さをクリップして見せたんだ。サイドラインから見ていると、監督のアイデアに対するコミットメントは驚異的だった。マインドセットされているね」
「アーセナルがボールを持っていると目を奪われるけど、他のチームとの違いはボールを持っていないときに何をするかにある。選手たちに、彼らのプレッシングとデクラン・ライスのインテリジェンスを見せた。ボールを持っていないシーンで、彼は何を求められているのか。プレスのために上がり、2人の選手の間に割って入り、常に適切にギャップを埋めている」
相手の動きを目の当たりにしてたじろいだコーチたちとは違う視点で、アーセナルの凄さを実感したスペシャリストの言葉も拾ってみましょう。さまざまな角度から映像をチェックし、彼らの弱点を探し続けたアナリストたちです。「彼らはすべてのトリガーをわかっている」という匿名のアナリストは、プレミアリーグのトップハーフのチームで任務を遂行しています。
「 4-4-2はとても練られており、タイトに組み上げられているので、ボールがこぼれてくるタイミングを見出すのは難しい。中央を締められ、ワイドに展開され、時には横にシャッフルされてキープされてしまう。マンツーマンになると向こうにいけるけど、アーセナルがうまくやれているのは、後ろの選手がモンスターだからだ。彼らは速く、後方のスペースを守り切れる」
ワールドカップロシア大会のフランスに似ているというアナリストは、「高い位置で密集しているので、縦パスをうまく入れられればチャンスを創れる」といっています。しかし実際には、プレスでコースを限定されるシーンが多く、それをわかっているからこそ「ロングボールを駆使して攻めると、パスで欺くのが難しくなるという別な問題が生じる」と嘆いているのでしょう。
もうひとりのアナリストは、昨季までの戦い方が通用しなくなったといっています。「サリバよりガブリエウのほうが状況判断が遅く、マルティネッリはサカほどプレイにメリハリがなくてコントロールしやすいので、左に出させようとしていた」。ウーデゴーア経由が多かったチームにはデクラン・ライスが加わり、ボールの流れはよりスムーズになっています。
アーセナルの強さを現場の生声で語りつくそうとしたジョーダン・キャンベル記者は、シェフィールド・ユナイテッドで指揮を執っていたヘッキングボトム、0-3で完敗したブライトンのデ・ゼルビ、CLで4発喰らったPSVのピーター・ボスなど、実名OKの指揮官のコメントも紹介しています。興味がある方は、元の記事のほうで彼らの言葉に触れていただければと思います。
「アスレティック」の記者は、取材を受けてくれたコーチ、選手、アナリストに、こんな問いかけをしたそうです。「対戦するときに、アーセナルから選手を1人外せるとしたら?」。結果はサカが2票、デクラン・ライス、ウーデゴール、サリバが1票。その答えを最もよくわかっているのは自分だと胸を張ったヘッキングボトムは、2人のCBとサカ、デクラン・ライスを称えた後…。
「このなかの3人から誰かだけど、正直にいうと、チャンスをつかみたければ3人全員」
「低い位置でブロックするしかなく、長い90分になりそうだと感じた。アタックとディフェンスのトレーニングセッションになってしまい、アーセナルは次から次へと攻撃を仕掛けてきた。ベン・ホワイトがブカヨ・サカの外を何度もまわってくるので、ハーフタイムまでに100回はオーバーラップに対応しなければならなかった。そしてマンツーマンになると、混乱が生じた」
アーセナルの強さについて取材されたコーチは、匿名を条件に本音を吐露してくれたそうです。「アスレティック」のジョーダン・キャンベル記者のレポートのタイトルは、「Facing Arsenal: Managers, analysts and players tell us about ‘the toughest test’」。ピッチで、ベンチで、スタンドでアーセナルとの戦いを体感したプロフェッショナルたちのコメント集です。
冒頭で取り上げられたコーチは、「今年一番タフなテストだった。自分たちがゲームに参加しているという実感がなかった」と続けています。現場で最も感銘を受けた選手は、8番を背負ったキャプテン。その残像は、創造性溢れるチャンスメイクより、最前線でチェイシングし続ける姿だったようです。
「ボールを失ったときの反応が非常に速く、推進力を高めるのは難しかった。アーセナルはボックスの周囲に多くの選手を配していて、その中に閉じ込められてしまう。ラグジュアリーな選手はいない。マルティン・ウーデゴーアのような攻撃的な選手でさえ、守備の重責を担っている。ボールを持っていないときも、効率的にプレイする」
「ウーデゴーアは、左サイドのCBに執拗にプレスをかけてくる。何度も何度も繰り返す。パスが彼の脇を通り過ぎても、MFに追いつき、また上がってくる。プレスがうまくいかなくても、リセットしてやり直す。決して失望しない。疲れることもない。とにかく容赦ない」
2人めの匿名コーチも、プレミアリーグのファーストチームとだけ記されています。彼の推しはデクラン・ライス。経験が浅い選手たちを指導する際のテキストとして活用しているといいます。この記事を読んで最も震えたのは、ハマーズから来た41番が評価されているポイントです。正確なキックや運動量など、個の力が称えられているなら、すんなり読み進められたのですが…。
チームに対するコミットメントや戦術理解度をリスペクトされているMFは、アーセナルで8ヵ月しかプレイしていない選手です。メイソン・マウントやマテウス・ヌネスなど、未だチームの戦い方にはまっていないニューフェイスのいるなかで、これほど早いタイミングでアルテタのコンセプトにフィットしたことに驚かされます。
「若者たちと試合を振り返った。CKをクリアされた後の戻りの速さをクリップして見せたんだ。サイドラインから見ていると、監督のアイデアに対するコミットメントは驚異的だった。マインドセットされているね」
「アーセナルがボールを持っていると目を奪われるけど、他のチームとの違いはボールを持っていないときに何をするかにある。選手たちに、彼らのプレッシングとデクラン・ライスのインテリジェンスを見せた。ボールを持っていないシーンで、彼は何を求められているのか。プレスのために上がり、2人の選手の間に割って入り、常に適切にギャップを埋めている」
相手の動きを目の当たりにしてたじろいだコーチたちとは違う視点で、アーセナルの凄さを実感したスペシャリストの言葉も拾ってみましょう。さまざまな角度から映像をチェックし、彼らの弱点を探し続けたアナリストたちです。「彼らはすべてのトリガーをわかっている」という匿名のアナリストは、プレミアリーグのトップハーフのチームで任務を遂行しています。
「 4-4-2はとても練られており、タイトに組み上げられているので、ボールがこぼれてくるタイミングを見出すのは難しい。中央を締められ、ワイドに展開され、時には横にシャッフルされてキープされてしまう。マンツーマンになると向こうにいけるけど、アーセナルがうまくやれているのは、後ろの選手がモンスターだからだ。彼らは速く、後方のスペースを守り切れる」
ワールドカップロシア大会のフランスに似ているというアナリストは、「高い位置で密集しているので、縦パスをうまく入れられればチャンスを創れる」といっています。しかし実際には、プレスでコースを限定されるシーンが多く、それをわかっているからこそ「ロングボールを駆使して攻めると、パスで欺くのが難しくなるという別な問題が生じる」と嘆いているのでしょう。
もうひとりのアナリストは、昨季までの戦い方が通用しなくなったといっています。「サリバよりガブリエウのほうが状況判断が遅く、マルティネッリはサカほどプレイにメリハリがなくてコントロールしやすいので、左に出させようとしていた」。ウーデゴーア経由が多かったチームにはデクラン・ライスが加わり、ボールの流れはよりスムーズになっています。
アーセナルの強さを現場の生声で語りつくそうとしたジョーダン・キャンベル記者は、シェフィールド・ユナイテッドで指揮を執っていたヘッキングボトム、0-3で完敗したブライトンのデ・ゼルビ、CLで4発喰らったPSVのピーター・ボスなど、実名OKの指揮官のコメントも紹介しています。興味がある方は、元の記事のほうで彼らの言葉に触れていただければと思います。
「アスレティック」の記者は、取材を受けてくれたコーチ、選手、アナリストに、こんな問いかけをしたそうです。「対戦するときに、アーセナルから選手を1人外せるとしたら?」。結果はサカが2票、デクラン・ライス、ウーデゴール、サリバが1票。その答えを最もよくわかっているのは自分だと胸を張ったヘッキングボトムは、2人のCBとサカ、デクラン・ライスを称えた後…。
「このなかの3人から誰かだけど、正直にいうと、チャンスをつかみたければ3人全員」
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