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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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【Chelsea×Everton】コール・パルマーのハットトリックの後…PKキッカーを巡ってバトル勃発!

コール・パルマー、怒涛の4発!スタンフォード・ブリッジにエヴァートンを迎えたチェルシーは、5本のシュートをすべて枠に収めたエースの活躍で6-0圧勝。1試合消化が多いニューカッスルとマンチェスター・ユナイテッドと3ポイント差に詰め寄っています。夏のトランスファーマーケットで、彼が移籍していなかったら…。

公式戦45試合22ゴール7アシストのフォーデンと、41試合25ゴール13アシストのコール・パルマーがマン・シティの右サイドを争うアナザーワールドがあったということです。怖ろしい。プレミアリーグを極上のエンタメにするためにも、イングランド代表の未来のためにも、チキとペップに感謝するべきでしょう(マン・ユナイテッドの未来を考えると微妙ですが…)。

さて、圧勝のチェルシーを見て、私が伝えたいのは、5ゴールに絡んだ地味なストライカーの存在です。まずは、順を追ってゴールシーンをレポートしましょう。先制は13分。GKペトロヴィッチからダイレクトパスが4本つながり、マロ・グストが右からオーバーラップ。中でパスを受けたコール・パルマーは、ブランスウェイトを股抜きでかわすと、オナナに体を寄せられました。

巧みなヒールパスに反応したニコラス・ジャクソンは、迷わず20番の進路にリターンを転がします。左足のダイレクトショットが、ピックフォードの指先を抜けて左隅へ。ここしかない!と叫びたくなるコースが空いたのは一瞬でした。2点めは18分。ノニ・マドゥエケのクロスに突っ込みすぎて、ボールを体に当てるしかなかったコール・パーマーが苦笑いを浮かべた直後です。

18分に左サイドでジェームズ・ガーナーをかわしたカイセドが、ボックス左に出たコナー・ギャラガ―に縦パスを送ると、ニアでグラウンダーを左足に引っかけたニコラス・ジャクソンのボレーはピックフォードがセーブ。浮いたボールに走り込んだコール・パルマーが、無人のゴールに頭でプッシュしました。

29分の3点めは、ブランスウェイトのバックパスをもらったピックフォードのミスです。ニコラス・ジャクソンに詰められたGKは、右に出せばセーフでしたが、オナナがこっちにくれといっているのを見て、前を選択します。MFの指示は、コール・パーマーが触れないコース。しかしGKのキックは右にずれてしまい、奪ったエースがGKの頭越しの浮き球でネットを揺らしました。

あっという間のハットトリック。4点めは前半終了間際の44分で、コール・パルマーのロングフィードで左から上がったククレジャのクロスがニアに入りました。つま先にかけたニコラスジャクソンのトラップも、振り向きざまのボレーもパーフェクト。ニアポストの内側に当たったボールに、ピックフォードは触れませんでした。

前半は4-0。ここまで読んだ方々は、既にお気づきでしょう。すべてのゴールに、ニコラス・ジャクソンが絡んでいること。2点めと3点めは、コール・パルマーにチャンスボールがまわってきた「ごっつぁんゴール」に見えること。ハットトリック達成となったループシュートは右足で、難易度が高いキックでしたが、「ラッキーだったね」といわれれば「そうかもね」のひとことです。

いよいよ、問題の5点めです。このゴールにもニコラス・ジャクソンが絡んでいますが、「ゴールを決めた選手に絡んだ」が正しい表現です。60分、ドリブルで中央を突破したノニ・マドゥエケがタルコフスキーにチャージされてPK。キッカーは当然、コール・パルマーでしょう。これまで8本をすべて成功させてきたスペシャリストを、代える理由は見当たりません。

ところが、ボールを脇に抱えているのはノニ・マドゥエケで、ニコラス・ジャクソンといい争っています。なだめているマロ・グストの手を振り払った15番は、蹴りたいのでしょうか。「コール・パルマーはハットトリックだし、(ちょっとラッキーな気もするし?)譲ってくれてもいいだろう」という権利があるのは、PKを奪取した11番だけでしょう。

ボールを手離さないノニ・マドゥエケを説得したコナー・ギャラガーが、コール・パルマーに渡すと、猛然とダッシュしてきたニコラス・ジャクソンが奪おうとして、20番に胸を突かれました。彼は何を主張したのでしょうか。「ノニが蹴るべき」「俺に蹴らせろ」…直前の口論の雰囲気から考えると、オレといったのではないでしょうか。

カイセドが2人を引き離し、コール・パルマーがゴール右に決めて5-0。この1発で、今季プレミアリーグで20ゴールとなり、得点王レースでTOPのハーランドに並びました。最後のゴールは、左からのチルウェルのシュートをGKが外に弾き、ギルクリストが右足ダイレクト。20歳の初ゴールにスタジアムが盛り上がっているとき、ニコラス・ジャクソンは既にベンチにいました。

今季のチェルシーは、PKを巡ってたびたびバトルになっています。10月のアーセナル戦で、コール・パルマーと口論となったスターリングは、FAカップのレスター戦で20番からボールを奪って失敗。ノニ・マドゥエケとニコラス・ジャクソンは、PKでゴールを積み上げながら評価を高めていくチームメイトを見て、複雑な思いを抱いていたのかもしれません。

「残念な話だ。選手たちには、このような振る舞いを受け入れるのはこれが最後だと伝えた。彼らは全員、この状況に巻き込まれた。次は全員アウトだ。ジョークではない。このようなパフォーマンスの後に、あんな振る舞いは見るに堪えない。大きな成果をめざして戦う素晴らしいチームになりたいのなら、集団としてものを考えられるように変わる必要がある」(マウリシオ・ポチェッティーノ)

コール・パルマーがペナルティテイカーであり、他の選手にボールを渡すかどうかは彼の選択と明言した指揮官は、「彼らは若い。まだ子どもだ。経験が必要だ」と付け加えています。これに対して、私にはニコラス・ジャクソンをフォローしてあげたい気持ちがあり、今回のレポートの趣旨を要約すると「最初の4ゴールすべてで重要な役割を果たしたニコラス・ジャクソンの手柄は、ちゃんと覚えているから、PKはパルマーね!」となります。

PKを巡る諍いについては、オチがあります。ニコラス・ジャクソンとノニ・マドゥエケにツッコミを入れたのは、「スカイスポーツ」で解説を務めていたデル・アリ。1月に手術を受け、復活をめざすエヴァートンのMFは、2-3で負けていたマンチェスター・ユナイテッド戦の追加タイムにおける目撃情報とともに、こう主張しています。

「最後の大一番、土壇場でプレッシャーがかかっているとき、あの2人がPKを取ろうと争う姿を見なかった。4-0になったから、スコアシートに載りたいというのはわかるけど、スコアシートに載りたいなら4-0というプレッシャーのない状況で争っちゃダメだろう」


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