2026.10.12 プレミアリーグ観戦記2026-27プレミアリーグ観戦記
【Chelsea×Bournemouth】開始3分で2発、後半は3発!好調チェルシーの潜在的な課題とは?
ボーンマスの守備陣がペースをつかむ前に、次なるアタックが始まっています。左からドリブルで仕掛けたのはモーガン・ロジャース。3人を引き付けて中央のコール・パルマーにグラウンダーを通すと、10番は右にいたペドロ・ネトに打たせました。左足の強烈な一撃は、GKペトロヴィッチがセーブ。こぼれ球を拾ったクリスティーは、カイセドに奪われてしまいました。
ヘンダーソンが左にいたモーガン・ロジャースに流すと、ノーステップのコントロールショットが右隅へ。アントニオ・シウヴァの頭に当たったボールは、右のサイドネットに飛び込みました。キックオフから2分30秒、あっという間の2-0。今季のチェルシーは、ブレントフォード戦を除く4試合で、開始から10分以内にゴールを決めています。
シャビ・アロンソの新チームがプレミアリーグで最強かどうかは、7ヵ月後にわかります。しかし「最高に楽しいチームか」という問いには、今すぐイエスといってもよさそうです。前節まで、10ゴールで12失点。1試合あたりで4つのゴールと失点を披露してきたチームは、いきなり2発という極上のエンタメの後、さらに4発(ただしひとつはボーンマス)を重ねました。
遅ればせながら、シャビ・アロンソ監督の11人を紹介しましょう。GKエミ・マルティネス、DFアチャンポン、ラクロワ、コルウィル。WBはペドロ・ネトとチャバリア、センターはヘンダーソンとカイセド。2列めのモーガン・ロジャースとコール・パルマーの前に、ジョアン・ペドロです。ハイアンに左からの突破を許した6分のピンチは、3バックの課題が露呈したシーンでした。
ウイングバックが高低のバランスを誤ると、背後を突かれてCBがサイドに引っ張り出されます。本職がウインガーのペドロ・ネトは、相手のSBとサイドアタッカーを見ながらポジションを修正するタスクについては、経験豊富とはいえません。10分過ぎからは、アウェイチームがボールを持つとチャバリアが下がり、4-4-2でスペースを埋めています。
コール・パルマーが右サイドのネトに預けたのは23分。カットインからの強引なシュートはジェームズ・ヒルにブロックされ、こぼれ球に反応したヘンダーソンのボレーは、左のポストすれすれを抜けていきました。カイセドとヘンダーソンは同時に上がらず、縦の関係になるシーンが多く、どちらかがCBの前のエリアをケアしています。
トリュフェのロングスルーパスで、ハイアンがラクロワの裏を取ったのは35分。飛び出してシュートをブロックしたエミ・マルティネスは、こぼれ球を叩いたクリスティの一撃もセーブしました。追加タイム2分のCKの二次攻撃から、トリュフェがゴール前に浮かすと、アントニオ・シウヴァのヘッドはエミ・マルティネスがダイビングキャッチ。前半は2‐0のままで終わっています。
ボーンマスの逆襲は51分。左からのCKをニアのクリスティーがフリックし、混戦からのカイセドのクリアがエヴァニウソンに当たってゴールに飛び込みました。再び2点差になってからも、チェルシーの中盤と最終ラインはダイレクトアタックをケアしており、ギャップが埋まる気配はありません。67分に、ヘンダーソンの縦パスを受けたのはモーガン・ロジャースです。
カットインしようとしたイングランド代表FWは、囲まれる気配を感じて外にいたチャバリアに流しました。高速のアーリークロスをタップしたのは、アントニオ・シウヴァの背後にスプリントしたジョアン・ペドロ。2ゴールをゲットした絶対的エースは、開幕から5試合5ゴール3アシストと絶好調です。さらに70分、勝負を決めたのはヘンダーソンの美しいFKでした。
コール・パルマーが蹴ると見せかけても、ペトロヴィッチは動かなかったのですが、外からポストをかすめて右隅に飛び込む弾道にはお手上げです。シャビ・アロンソ監督は、2つのゴールを待っていたかのようにカイセドとジョアン・ペドロを下げ、パレストラとラヴィアを送り出しました。前線、中盤、サイドの先発メンバーでゴールもアシストもないのは、カイセドだけです。
ラスト20分のボーンマスのシュートは2本のみ。ウェルベック、エステヴァン、マロ・グストに慣らし運転をさせたチェルシーは、ポゼッションが50%を切っており、オンターゲット6本というコスパ抜群の圧勝でした。5ゴールなのに、xG(ゴール期待値)が1.1とは…!なるほど、ヘンダーソンの2発はスーパーショットで、モーガン・ロジャースのゴールも個のアイデアの勝利でした。
今季プレミアリーグで15ゴールのチェルシーは、xGはトータルで8.4しかなく、アーセナルやマンチェスター・ユナイテッドを下回る13位です。ジョアン・ペドロ、モーガン・ロジャース、コール・パルマーの「決める力」はトップクラスですが、ビッグチャンスを創出する力は高いとはいえず、再現性の低いゴールシーンが多いようです。これは、先々の課題になるかもしれません。
気になるスタッツではあるものの、選手層は厚く、改善のための選択肢は豊富です。カイセドとヘンダーソンのコンビが経験値を積めば、攻撃力がさらに高まる可能性があり、ラヴィアやバルコの抜擢、リース・ジェームズのWB起用、エステヴァンやペドロ・ネトを活かす4-2-3-1の併用なども有力な策といえるでしょう。シャビ・アロンソ監督がもたらす進化に注目しましょう。(ジョーダン・ヘンダーソン 写真著作者/Bryan Berlin)
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