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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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4月に合意した3億ポンドの買収スキームがついに破談…どうするニューカッスル!

「BBC」「スカイスポーツ」をはじめとする現地メディアが、衝撃的なニュースを一斉に報じています。「サウジアラビアが、プレミアリーグの名門クラブの買収を断念」。総資産額2600億ポンド(35兆6000億円)といわれるサウジアラビアの政府系投資ファンド「パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)」、橋渡し役のアマンダ・ステイブリー氏が経営するPCPキャピタルパートナーズ、英国競馬にも投資の網を張るルーベン・ブラザーズの3社で構成するコンソーシアムは、4月に合意したニューカッスルへの投資スキームから撤退すると発表しました。

「われわれはファンのために打ちひしがれながら、ファンには感謝している」。自律性があり、純粋に商業的だった投資家(すなわち政治的な意図はない)と自らを称するグループは、後悔を伴う意志決定だったと語っています。「クラブ、ファンおよびコミュニティにおける長期的な価値の構築にフォーカスしていた。グローバルな不確実性があり、クラブとファンにとって困難かつ重大な課題を抱えている時期を通じて、このコラボレーションに対して現実的かつ積極的にコミットし続けた」。発表したステートメントのなかで、撤退の背景としてコロナウイルスの蔓延があったことを示唆し、最大の理由についてはこう表現しています。

「予測不能の長すぎるプロセスを経て、現在のクラブオーナーと投資グループの間の商業的合意は最終的に失効した。私たちは、投資のテーマを持続できなくなってしまった」

合意から16週間、結論が出る目処は立たず。プレミアリーグが3億ポンド(約411億円)の買収スキームを容易に認めなかったのは、サウジアラビア政府がクラブの経営に介入することはないという確信に辿り着けなかったからです。PIFの会長は、モハメッド・ビン・サルマン皇太子。イギリス政府は、スポーツ中継の違法なストリーミング放送に加担していたとサウジアラビアを非難しており、人権侵害問題も解決していません。この状況で、政府のプロモーションにクラブが利用されるという事態は、何としても回避しなければなりません。ゴーサインを出せないまま時は過ぎ、しびれを切らしたコンソーシアムが投資はリスキーと判断したというわけです。

プレミアリーグ、PIF、オーナーのマイク・アシュリー氏はノーコメント。頼みの綱だった資金源を失ったニューカッスルは、厳しい現実に直面しています。ファビアン・シェア、ドワイト・ゲイル、アイザック・ヘイデン、デアンドレ・イェドリン、フェデリコ・フェルナンデス、シャラン・クラーク、クリスティアン・アツ、アンディ・キャロルら10人を超える選手が2021年に契約満了。サポーターの97%が支持していたプランの代替案がなければ、クラブは転落の一途を辿る可能性があります。

「今回のスキームが破談になれば、3億5000万ポンドを投じる」といわれていたアメリカの大富豪ヘンリー・モーリス氏は、救いの手を差し伸べてくれるでしょうか。トランスファーマーケットが締まる前に、話をまとめなければならないニューカッスルは迅速に動くはずですが、最終的な答えを出すタイミングを決めるのはプレミアリーグです。


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