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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

「チームの得点王を除いた場合のプレミアリーグ順位」なんて、思いつくイギリス紙はすごい!

イギリスのタブロイド紙の記者は、相当プレミアリーグが好きなんでしょうね。「メール・オンライン」がプレミアリーグのベスト&ワーストストライカーを発表する一方で、「デイリー・ミラー」が、チームのトップスコアラーの記録を除いたときのプレミアリーグの順位を掲載しています。これを見たとき、よくまあこんな切り口をひねり出したな、と思いました。上記いずれも、リサーチに相当パワーがかかる企画。プレミアリーグのことをいつも考え、読者にウケるおもしろいテーマなら面倒な調査も厭わないという情熱がなければ、こんな記事は創れないでしょう。

さて、デイリー・ミラーのお話です。トップスコアラー除外というデータを示す前提には、「特定の選手の得点力に依存しているチームはリスクが高い」「どこからでも点が獲れるチームがいいのである」「トップスコアラーを除外してみると、総合力の高さが浮き彫りになるはずである」という考え方があるのだと思われますが、実際の順位をみてみると微妙です。プレミアリーグで得点王を争うような選手が所属しているチームは、この計算をすると順位が下がるのですが、チェルシーやマンチェスター・シティは総得点が多いので、そもそもゴールが少ないストークやリヴァプールと比べて「ストライカー以外のゴールも多いチーム」なのです。

トップスコアラーのゴールも総得点も少ない「低値&分散」のチームは、どこからでも点が奪えるチームではなく、どちらかといえば「決められる選手がいないから勝てないチーム」でしょう。理想は「トップスコアラーのゴール数は多いが、チーム全体のゴール数におけるシェアが少ない」。これを満たしているチームは、総得点数がおのずと高くなります。前置きが長くなりすぎました。順位表を見てみましょう。

【トップスコアラーのゴールを除いたプレミアリーグTOP6】
1位:サウサンプトン        勝ち点27(グラツィアーノ・ペッレ=6ゴール)
2位:チェルシー          勝ち点27(ジエゴ・コスタ=11ゴール)
3位:マンチェスター・ユナイテッド 勝ち点21(ウェイン・ルーニー=4ゴール)
4位:スウォンジー         勝ち点21(ウィルフリード・ボニー=5ゴール)
5位:マンチェスター・シティ    勝ち点20(セルヒオ・アグエロ=12ゴール)
6位:ストーク           勝ち点19(マメ・ビラム・ディウフ=3ゴール)

7位が6ゴールのサコが絶好調のウエストハムで、8位にシャドリが6発決めているトッテナムと続きます。アレクシス・サンチェスが8ゴールのアーセナルが10位、トップスコアラーのスターリングがわずか3ゴールのリヴァプールは14位です。うーん、どうなんでしょう。これを見ると、トップスコアラー以外で18ゴールを奪っており、首位に立ったサウサンプトンは総合力が高いというようにも読み取れますが、チェルシーは、ジエゴ・コスタを抜いても19ゴールを奪っており、サウサンプトンよりもゴール数が多いのです。このデータは、サウサンプトンをリスペクトするよりも、「どこからでも点が獲れるうえに、エースストライカーのゴール数が乗っかった分、2位に6勝ち点差をつけたチェルシー。ジエゴ・コスタと、そこにパスを出せるセスクの獲得は大成功ですね!」というほうが実態に近いと思いますが、いかがでしょうか。

ちなみに、トップスコアラー以外のゴール数でいえば、3位はルカクの5発を除いても17ゴールを決めているエヴァートンです。それでも彼らが上位に来ない理由は、下から4番目という、プレミアリーグ降格ゾーンレベルの失点の多さ。デイリー・ミラーの記者さん、視点はおもしろいのですが、ストライカー依存度に特化してチームの善し悪しを分析するのは、やはり少し無理があるようです。とはいえ、「リヴァプールは、ストライカーのゴールが少なすぎるのが苦戦の要因のひとつ」「アーセナルはアレクシス・サンチェスを獲っておいてほんとうによかった!」といったあたりはいえそうですね。データ集計、おつかれさまでした。

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