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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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アーセナルの提訴は却下…PK、1発レッド、出場停止の三重罰とした2つのジャッジに思うこと。

Arsenal’s David Luiz red card appeal fails but Southampton’s Jan Bednarek sees ban overturned(ダヴィド・ルイスのレッドカード取り下げのアピールは失敗したが、ヤン・ベドナレクの出場停止は覆された)」。イギリスメディア「BBC」の短い記事が、2つのクラブと2人のCBの明暗を伝えています。プレミアリーグ22節、ウルヴス2-1アーセナル、マンチェスター・ユナイテッド9-0サウサンプトン。2試合連続で、9人で戦うチームを見るのは初めてでした。アーセナルは、ダヴィド・ルイスとベルント・レノという守備の主軸が1発レッド。セインツのほうは、プレミアリーグデビューのヤンケヴィッツと最終ラインを統率するベドナレクが忌まわしいカードを突き付けられました。

縦に入ったロングフィードを見てボックスを飛び出し、右手でクリアしてしまったレノと、開始90秒でマクトミネイの膝をスパイクの裏で削ったヤンケヴィッチは議論の余地はないでしょう。話題になっているのは、PK、1発レッド、3試合の出場停止という三重のペナルティを喰らった2人です。何人かの元レフェリーが、それぞれのジャッジについて「レッドカードは妥当ではない」と異議を唱えています。当日、試合を観戦していたプレミアリーグファンのなかにも、ジャッジに違和感を覚えた人がいるのではないでしょうか。

問題のシーンを振り返ってみましょう。モリニューの事件は、ニコラ・ペペの先制ゴールでアーセナルが1点リードの前半終了間際。ポデンスがカウンターを仕掛け、ラインの裏に抜けようとしたウィリアン・ジョゼの前方にスルーパスを走らせると、後方から追いかけたのがダヴィド・ルイスでした。2人の接触は、後ろに振り上げたウィリアン・ジョゼの左足と、ダヴィド・ルイスの膝。同郷のストライカーに迫ろうとしたCBが距離を詰めすぎ、走っていた足に触れてしまった格好です。

ウィリアン・ジョゼは前のめりに転倒し、少し遅れてダヴィド・ルイスもピッチに倒れ込みました。主審を務めていたクレイグ・ホーソンさんは、PKを指示してレッドカードを差し出した後、VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)のジョン・モスさんとやりとりしたものの、無情の判定は覆すことなくすぐにプレイを再開させました。

オールド・トラフォードでベドナレクがピッチを去ったのは83分。開始2分から10人で戦っていたセインツは6-0で負けており、シビアな攻防が必要とされる状況ではありません。ブルーノ・フェルナンデスのパスがDFに当たってマルシアルの前にこぼれ、タッチした瞬間にCBと交錯したように見えました。PKを指示したマイク・ディーンさんは、VARのアドバイスを得て自ら映像をチェックすると、ベドナレクが決定機を阻止したとして赤いカードを付け加えました。

これらのジャッジに対して、プレミアリーグで長年レフェリーを務めた2人がミスジャッジと主張しています。「デイリー・メール」で、「ウルブス戦のダヴィド・ルイスは誤った退場処分を受けた」と指摘したのは、マーク・クラッテンバーグさんです。「アーセナルのDFが、ボールに向かって走っていたのは明らか」「ウィリアン・ジョゼとの接触は偶発的で、彼は結果的に倒れただけだ。ペナルティは正しいけど、故意でなければ選手がレッドカードから守られる規則が存在する」と説明した専門家は、PKとイエローが妥当だったと結んでいます。

同じくプレミアリーグで笛を吹いていたダーモット・ギャラガーさんは、ダヴィド・ルイスについては「接触を確信していた主審に対して、VARは接触はなかったと証明できなかったため、最初のジャッジを支持した」としてレッドと認定。ベドナレクのほうは、「チャレンジしようとしたが、間に合わないと気づいて体を引いた。マーシャルは足を引きずり込もうとした」と見ており、誤審という見解を示しています。妥当なジャッジか、誤審か。ピッチで目撃していた別の当事者、指揮官たちのコメントも確認しておきましょう。

「5つの異なる角度から、リプレイを10回見たけど、コンタクトは見られなかった。VARには、違うビューからも見てもらいたい。接触があったとすれば、ジョゼからダヴィドだ。ダヴィドに対する印象が影響したとは思いたくない」(ミケル・アルテタ)
「ペナルティによってすべてが変わった。ゲームのダイナミクスが変わったね。ペナルティもルイスのレッドカードも、レフェリーには他の選択肢はないと思う」(ヌーノ・エスピーリト・サント)

「(ウルヴスVSアーセナルで)ダヴィド・ルイスが退場するべきだったとは思わなかったので、試合前にレフェリーにどう思うか聞いたんだ。ベドナレクも、間違いなく退場ではなかった」(オーレ・グンナー・スールシャール)
「2枚めのレッドカードは最も残念なことだ。彼を失えば、もはや選手はいない。ヤン・ベドナレクはレフェリーを殺したりはしないだろうけど、レフェリーについて話したくない。先週、彼はわれわれに対するVARのジャッジで話題になったばかりだ」(ラルフ・ハーゼンヒュットル)

アルテタ監督に倣って、2つのシーンのリプレイをコマ送りで30回以上チェックしてみました。私の見解は、「ダヴィド・ルイスはウィリアン・ジョゼにコンタクトしておらず、ストライカーが蹴り上げた足が当たっただけ。ボールを追っていたCBはノーファールが妥当」「マルシアルが体勢を崩した瞬間、ベドナレクの体は接触していない。足が引っかかったのはその後で、こちらもノーファール」です。

「マンチェスター・イブニング・ニュース」が配信したレポート「What Anthony Martial said to Jan Bednarek after red card vs Manchester United(マンチェスター・ユナイテッド戦でレッドカードが出た後、マルシアルがベドナレクにいったこと)」によると、ドレッシングルームに向かうトンネルのなかで、セインツのスタッフを見たベドナレクは「マルシアルはファールじゃないっていっていたよ」というひとことを残したそうです。マンチェスター・ユナイテッドのストライカーは、どんなジャッジが正しかったのか、わかっていたのでしょう。

「私たちは、ダヴィド・ルイスのレッドカードを覆すために、懸命に働きかけた。FAにわれわれの所見を示して提訴したが、失敗に終わったことに失望している。私たちはFAの決定を受け入れ、土曜日のアストン・ヴィラとの試合に向けて準備を続ける」(アーセナル公式サイトのステートメントより)

ダヴィド・ルイスの出場停止処分も、なくなってほしかったのですが…。ファールかどうかは意見が分かれるところで、私は少数派だと思われますが、レッドカードに相当しないのは明らかでしょう。時間に余裕がある方は、接触の前後をコマ送りで確認してみてください。私の見解が賛同を得られなかったとしても、的外れではないと受け止めていただけるのではないかと思います。

選手の素晴らしいプレイを伝えたいので、話が盛り上がってしまうきわどいジャッジについては「レフェリーが絶対」という原則を貫いているのですが、今回はさすがにスルーできず、ツッコミを入れてしまいました。VARはダヴィド・ルイスが引っかけた瞬間を確認できなかったにも関わらず、「疑わしい、ゆえに罰す」という着地になってしまった今回のジャッジにモヤモヤ感を拭えずにいる次第であります。…もう1回、見ます。

※当初の原稿で、「ダヴィド・ルイスがレッドカードを出された際にオンフィールドレビューがあったと記載しておりましたが、私の誤認でした。誤審の試合の記事で誤認とは…。大変申し訳ありません。指摘してくださったおんやさいさん、アイスマンさん、ありがとうございます。訂正させていただきました。

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“アーセナルの提訴は却下…PK、1発レッド、出場停止の三重罰とした2つのジャッジに思うこと。” への3件のフィードバック

  1. おんやさい より:

    オンフィールドレビューは
    主審がピッチ脇のモニターでリプレイを見ることではないんですか?

  2. アイスマン より:

    DAZNでみたところ主審のポーソンは即座にレッドカードを提示し、イヤホンでVARでやりとりしてるのなわかりますが、自ら画面で確認している→ピッチでリプレイを確認しているようには見えないですね

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