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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

弱体化したプレミアリーグ~2005年のアーセナル、チェルシーを想う

今季、17年ぶりにチャンピオンズリーグのベスト8に1チームも進めなかったプレミアリーグ。アーセナルのアーセン・ヴェンゲル監督は、バイエルン・ミュンヘン戦の直後にプレミアリーグ弱体化の懸念を表していました。彼が語っているニュアンスと同じかどうかはわかりませんが、私も懸念している者のひとりです。

ポイントは2つ。「各国リーグのレベル、ポテンシャルは、その国のトップチームのクオリティによって決まる。近年、プレミアリーグのトップは欧州のそれではなくなってきている」「各チームの選手層が薄い。プレミアリーグで激戦を繰り広げながらチャンピオンズリーグを勝ち抜ける布陣ではない」ということです。前者は、スペインの2強・バルセロナとレアル・マドリードがどんどん強力になり、スペイン以外でもバイエルンなど他国のトップが資金を投じて強化を推進し、アンジ・マハチカラやパリSGに代表されるようなオイルマネーや投資グループによって選手をかき集めるチームが出てきたことでいい選手が分散し、プレミアリーグにトップクラスの選手が集まりにくくなったということ。後者は、プレミアリーグの各クラブが予算を抑え始め、必要最小限の戦力すら保持していないということなのです。

特に気になっているのは、選手層の問題です。昨日の記事で「チェルシーが過密日程で大変!」と騒ぎましたが、なぜ大変なのかといえば、彼らが3つのタイトルを追うための十分な戦力を保持していないからです。下記は、2005年のアーセナルとチェルシーのメンバーです。当時はどんな状況だったかといえば、アーセナルはチャンピオンズリーグ決勝をバルセロナと戦った年であり、チェルシーはプレミアリーグ連覇の2年め。前年はFAカップとのW制覇を達成し、この年もコミュニティーシールドとリーグを制しています。

【2005-2006アーセナルメンバー】
GK
レーマン
DF
エブエ、コロ・トゥーレ、アシュリー・コール、キャンベル
MF
フレブ、ジウベルト・シウバ、ピレス、セスク・ファブレガス、リュングベリ
FW
アンリ
控え
アルムニア (GK)、センデロス、クリシー、フラミニ、レジェス、ベルカンプ、ファン・ペルシ

【2005-2006チェルシーメンバー】
GK
チェフ
DF
デル・オルノ、テリー 、ギャラス 、パウロ・フェレイラ
MF
マケレレ、ランパード 、エッシェン、ロッペン 、ジョー・コール
FW
ドログバ
控え
クディチーニ(GK)、リカルド・カルバーリョ、フート、ジェレミ、マニシェ、ダフ、
グジョンセン、クレスポ

見るべきところは、「スタメンにおける代表中心選手の比率」「控え選手のクオリティ」です。残念ながら、現在のアーセナルにおいて、代表チームの中心選手はヴェルマーレンだけです(カソルラは、あまりにも選手層の厚い世界一の国なので、入れてあげてもいいかもしれませんが)。しかし、当時のメンバーたるや。逆に、中心じゃないメンバーを挙げたほうが早いくらいです。チェルシーもしかり。控えもいいメンバーが揃ってますね。リカルド・カルバーリョ、クレスポ…。控えといえば、アーセナル控えリストの後ろのふたりは「どういうこと!?」と突っ込みたいぐらいです。

マンチェスター・ユナイテッドは、最近締まり気味のプレミアリーグ(マンチェスター・シティ除く)のなかで、選手層の厚さを唯一、キープしてきたクラブです。しかし、彼らもひと頃の「CL決勝常連状態」ではなくなってしまいました。バルサ型のポゼッションサッカーを多くのチームが取り入れたなかで、マン・ユナイテッドが得意とする直線的なサイド攻撃だけでは崩せないチームがヨーロッパに増えたからです。香川獲得、ワントップ導入は、ヨーロッパを制するためにはサッカー改革が必要、というサー・アレックス・ファーガソンの危機感の表れでもあったわけです。

そういう意味では、今季はターニングポイントになりえるかもしれませんね。プレミアリーグを独走したマンチェスター・ユナイテッドが、チャンピオンズリーグであっさり敗退したというシーズン。2位以下のチームは、「何かを大きく変えなければ、国内も欧州も絶対に勝てない」と思い知ったことでしょう。既にアーセナルは、「移籍市場で使う予算を増やす方針」とヴェンゲルが語っています。チェルシーもマンチェスター・シティも黙ってはいないでしょう。プレミアリーグの逆襲が、水面下で始まっているであろうと期待しています。今が正念場。しかし、来季はさらにおもしろくなる!

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“弱体化したプレミアリーグ~2005年のアーセナル、チェルシーを想う” への2件のフィードバック

  1. Your article was excellent and erudite.

  2. www.sifehku.net より:

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