「最も利益を上げているユースアカデミー」欧州No.1は何とサウサンプトン!
とはいえ、最近のセインツをほめるべきは、育成力の素晴らしさもさることながら、つい先日までプレミアリーグ4位につけていたことのほうかもしれません。このランキングが示しているのは、「いい選手をどれだけ育てているのか」だけでなく、「生え抜きの主力をどれだけ抜かれているのか」でもあるわけですね。ちなみに、ランキング2位以下はリール、レアル・ソシエダード・サンセバスチャン、セビージャ、ボルシア・ドルトムントと続きます。セインツが「プレミアリーグ主力選手ファクトリー・イギリス本社」だとすれば、アザール、ドビュッシー、オリギを出したリールがフランス支社、ヘスス・ナバス、アントニオ・ルナ、アルベルト・モレノらのセビージャがスペイン支社といった趣です。3位のレアル・ソシエダは、最近はセビージャにプレミアリーグのお得意様の座を奪われつつありますが、以前はバスク人のアルテタとシャビ・アロンソをいただいていますので、こちらもなかなかのものです。
【最も収益性の高いユースアカデミーランキング】
1位/サウサンプトン(プレミアリーグ) 9020万ユーロ
⇒主な育成選手:ララナ、チャンバース、ルーク・ショー
2位/リール(リーグ・アン) 7600万ユーロ
⇒主な育成選手:ドビュッシー、アザール、オリギ
3位/レアル・ソシエダ(リーガ・エスパニョーラ) 6220万ユーロ
⇒主な育成選手:グリーズマン、イジャラメンディ
4位/セビージャ(リーガ・エスパニョーラ) 5150万ユーロ
⇒主な育成選手:ヘスス・ナバス、ルイス・アルベルト、アルベルト・モレノ
5位/ドルトムント(ブンデスリーガ) 4350万ユーロ
⇒主な育成選手:ゲッツェ、ギュンター、ギンチェク
6位/レアル・マドリード(リーガ・エスパニョーラ) 4300万ユーロ
⇒主な育成選手:カルバハル、モラタ、グラネロ、カジェホン
7位/バルセロナ(リーガ・エスパニョーラ) 3880万ユーロ
⇒主な育成選手:チアゴ・アルカンタラ、ボージャン・クルキッチ
8位/レンヌ(リーグ・アン) 3360万ユーロ
⇒主な育成選手:バカヨコ、ブラヒミ、テオフィル=カトリーヌ
9位/モンペリエ(リーグ・アン) 3350万ユーロ
⇒主な育成選手:レミ・カベラ、スタンブリ、ヤンガエムビワ
10位/サンテティエンヌ(リーグ・アン) 3280万ユーロ
⇒主な育成選手:ゴーラム、クル・ズマ、ギラヴォギ
11位/スウォンジー(プレミアリーグ) 3160万ユーロ
⇒主な育成選手:ジョー・アレン、ベン・デイヴィス
12位/バイエルン・ミュンヘン(ブンデスリーガ) 3110万ユーロ
⇒主な育成選手:トニ・クロースエムレ・ジャン、コンテント
13位/マンチェスター・ユナイテッド(プレミアリーグ)2870万ユーロ
⇒主な育成選手:ウェルベック、マイケル・キーン、マット・ジェームス
14位/パリ・サンジェルマン(リーグ・アン) 2520万ユーロ
⇒主な育成選手:サコ、シャントメ、アントワーヌ・コント
15位/ジェノア(セリエA) 2450万ユーロ
⇒主な育成選手:エル・シャーラウィ、ボアチェ、ラザレヴィッチ
このランキングにおいても、レアル・マドリードとバルセロナはちゃっかり上位に居座っています。TOP15のうち、フランスが5クラブ、スペインは4クラブ。プレミアリーグは3つ入ってはいるものの、サウサンプトン以外は売った選手の顔ぶれが地味です。ホームグロウン制度が敷かれてからというもの、イングランド人、ウェールズ人の選手が実力以上に高値になっている感があり、いい選手を海外に出しているスペインやフランスに比べると、国内取引を積み上げているプレミアリーグは迫力不足。お金を儲ける話と使う話では、いつも上位の半分はプレミアリーグなわけで、これで強くなければカッコ悪いですね。メッシ、クリスティアーノ・ロナウド、スアレス、ハメス・ロドリゲスなど、超大物を獲得しているスペイン2強は別格だとしても、ブンデスリーガやリーグ・アンのクラブには負けられない状況です。
先日、パリ・サンジェルマンにチェルシーが負けたのは、欧州のTOP5に入る実力があるクラブが早期にぶつかってしまっただけで、今回はあちらのほうがいいサッカー、いい戦術だったという見立てですが、問題はチェルシー以外のクラブです。スペイン3強とバイエルン・ミュンヘンがTOPグループ、パリ、チェルシー、ユヴェントス、ドルトムント(彼らは復活するはず)あたりがセカンドグループだとすると、アーセナルやマンチェスター・シティはさらにその下。プレミアリーグの上位クラブは、今のままではセビージャ、バレンシア、ビジャレアル、シャルケ04、レヴァークーゼンにも勝てないのではないかと思われます。
話がそれました。戻しましょう。これからプレミアリーグが巻き返すためには、若い選手の育成が大事だと思います。スペインのクラブが育てた自国のいい選手は、一流は国内のトップクラブへ。その下の選手と、トップクラブでゆえあってあぶれた「お下がり」がプレミアリーグに流れており、逆にプレミアリーグでトップクラスに駆け上がった選手は、国籍問わずスペインに持っていかれています。これでは、勝てません。時間はかかりますが、数年後には、イギリス各地のアカデミーから欧州トップクラスのイングランド人選手が輩出され、プレミアリーグの層が厚すぎるのでやむなくスペインに修業に出る選手が続出、といった状況になっていることを願います。
2006-07シーズンから3季連続でチャンピオンズリーグのベスト4に3クラブが残っていたプレミアリーグの凋落は、イングランド代表の頭打ち感と無縁ではないでしょう。ウォード=プラウズら若手がまだまだ控えている本家セインツはもちろん、最近、アカデミーに力を入れているチェルシーとマンチェスター・シティ、そして以前はいい選手を育成していたマンチェスター・ユナイテッド、リヴァプールなどトップクラブには、ぜひ次世代育成をがんばっていただきたいものです。
おもしろいと思っていただけた方は、お時間あれば、下のブログランキングバナーをクリックしていただけると大変うれしいです。所要時間は5秒です。何とぞよろしくお願いいたします!
昨年夏のツール・ド・フランスはイギリスでスタートし三日間レースが行われましたが
関係者が「これほどの観客が押し寄せた過去に例がない」という盛況ぶりで、近年の
イギリスでの自転車人気の高さを伺わせます(三日間で500万人が沿道で観戦したとか)。
それというのもイギリスが国を挙げての選手育成が大成功し、イギリスが世界的な
自転車強豪国へと上り詰めた結果です。
イタリアでも「セリエAの人気が落ちたのは外国人選手ばかりになったからだ」と
言われていますし、アメリカや日本の女子ゴルフは上位にアジア人選手がズラリと
並ぶようになった頃から人気が急落しています。
もし今後プレミアリーグから英国人選手の姿が消えていき、イングランド代表が凋落したら
イギリスでのサッカー人気が落ち、英国国内の放映権料が暴落しプレミアの放映権
バブルが終わる可能性も十分考えられます。
前にも書いたかと思いますが、プレミアもドイツに習って英国人枠&自前育成枠を創設し
どんなクラブも英国人の育成&自前育成無しではやっていけない様にすべきだと思います。
現在はホームグロウンが該当する制度なのだと思いますが、今、いきなり制度改革を先に立てれば、プレミアリーグのクラブはより弱くなるだけのように思います。FAが、国内の選手の育成強化により力を入れるなり、国全体として取り組まないと難しいでしょうね。