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相次ぐ誤審、しかしUEFAはビデオ判定導入を否定。実際問題、どうなのでしょうかビデオって!

FIFAに続き、UEFAもNG。火付け役はプレミアリーグだったのだと思われますが、UEFAのジャンニ・インファンティーノ事務局長が、サッカーにおけるビデオ判定導入にあらためて否定的な見解を示しました。

チェンバレンとギブスの「レッドカード人違い事件」が起こったときは、アンドレ・マリナーさんが100年に1度のとんでもないミスジャッジをしてしまった、ぐらいに捉えていたのですが、どうやらレフェリーを信頼し過ぎていたようです。今季のプレミアリーグは、例年にもまして判定に関するトラブルが続出。「自分たちのPKが少なすぎる」とチェルシーが抗議した件については何ともいえませんが、カードを出す選手を間違えたとFAが認めたトラブルが、1シーズンで複数回、発生しています。

2月28日のマンチェスター・ユナイテッド対サンダーランドで、ファルカオを倒したとウェズ・ブラウンが決定機阻止でレッドカードを受けましたが、その後、実際にファールを犯したのはその前に足に触れていたオシェイだったと訂正。3月21日のマンチェスター・シティ対WBA戦はさらにひどく、前半2分にウィルフリード・ボニーの決定機を後ろからストップしたドーソンにカードを出すべきところを、その後ボニーをチェックしにいった、全く真っ白のマコーリーに出してしまうというミスが飛び出しました。この調子では、100年に1度どころか、年に2~3回、われわれは何ともいえない気まずさを味わわなければならなくなります。いやいや…。

そしてもう1件、人違いではありませんが、これも残念。日曜日のマンチェスター・ユナイテッド対リヴァプール戦の終了間際。ゴール前に突進したシュクルテルがGKデ・ヘアを踏みつけてしまい、怒ったデ・ヘアがシュクルテルに抗議したことから一触即発ムードとなりましたが、試合中にはイエローカードは出ず。その後、FAの調査が入り(ビデオをチェックした、ということですね)、3試合の出場停止処分がなされる見通しと伝えられています。こうなると、事実上「後出しビデオ判定」が運用されている状態。「ビデオ判定導入推進派」のみなさんが盛り上がるのも無理はありません。しかし、インファンティーノ事務局長は「テクノロジーが必要だと口で言うのは簡単だが、短絡的すぎる」と主張。追加レフェリーを入れるなど、他にも方法はあると反論しています。

ビデオ判定の話になると、私はついつい口が重くなってしまいます。ここから先は、そんなに強く主張するつもりはなく、「どうですかねぇ」ぐらいのニュアンスですので、それを前提にお読みいただければと思います。結論からいえば、私は「ビデオ判定導入」は、難しいのではないかと思っています。理由は大きく、2つ。「別のデメリットが発生すること」、そして「最善の方法を取ると結構なお金がかかりそうなこと」です。

別なデメリットの話をする前に。この話でよく出てくる「テニスにおけるチャレンジみたいな仕組みを導入すればいいじゃないか」という意見については、スポーツが違うので単純にトレースできないという見解です。テニスのチャレンジシステムがスムーズなのは、「ラインを出たか出ないか」というデジタルな二択しかないからだと思います。しかし、サッカーの場合は、「ゴールに入ったかどうか」の二択には既にテクノロジーが入っており、トラブルのほとんどはテニスにはない接触プレー。足に触ったか触らなかったか、ボールにいっていたかどうか、どちらが先に触ったか、決定機だったかどうか…。観点が多いだけでなく、ファールかどうか、カードは出すか出さないか、赤か黄色かと、ワンプレーに複数のジャッジが必要です。

これをビデオで確認し、デジタルという言葉に近いジャッジをしようとすると、さまざまな角度からのビデオをチェックする作業が必要です。さすがにテニスと同じようにはいかないでしょう。チャレンジシステムかどうかは置いておいたとしても、サッカーの場合は、ビデオ判定を入れると結構な長さの時間がかかり、試合が止まります。

さて、ここからがデメリットのお話ですが、1試合に何回もピッチ上が動かなくなる状態を、私たちは許容するのでしょうか。また、劣勢でDFが混乱しているチームにとっては、「ちょっと待った!」といって作戦会議ができるのは非常にありがたいので、プロレスにおけるロープのような「微妙じゃないけどチャレンジ」「休むためにチャレンジ」「時間稼ぎになるかもしれないからとりあえず…」などのワザが流行るかもしれません。うーん。今イチですね。「回数制限のあるチャレンジシステム」にしても、問題は解決しません。モウリーニョ監督は、前半に規定の回数を使ったとしても、後半不利なジャッジを受けたと判断すれば、両手を上げてアピールするでしょうし、試合後のコメントは変わらないと思われます。これでは、「正しい判定」「トラブル回避」のいずれも満たしていないことになってしまいます。

とはいえ、こんなやり方なら、あるかもしれません。相撲でいうところの「物言い」に近い方法です。モニタールームで、さまざまな角度からのビデオを見ているレフェリングチームが、主審の判定に異議があるときにはボタンを押して知らせます。主審は「ちょっとタイムね」のジェスチャー。その後、チームは見解をまとめて主審にレポート。そこで初めて最終ジャッジが示される、という運用。この方法の懸念点は、システムと人件費がかなりかかりそうなことと、「最終的な責任の所在と判断の主体をどうするか」です。ビデオチームの意見を最終的に主審がジャッジとするなら、自分の眼を信じて流してしまうのもありですので、現在の主審と副審の関係と変わりません。インファンティーノ事務局長のおっしゃる追加レフェリーも、「結局誰か(今でいえば主審)が最終的に決める、ということが必要なら、精度は上がってもミスはなくならない」ということになります。そうなると、あとはクオリティとかかるコストが見合うかどうか、ですね。

というわけで、私は「審判のクオリティを上げる努力を続けてください。多少の微妙な判定なら、人間がやることだからこれもサッカーの一部、と流しますので」というところに着地してしまうわけです。自動化・ロボット化は画期的な技術が生まれない限り無理でしょう。ちょっとユニフォームを引っ張っただけでデジタルに鳴る、というのもそれはそれでどうなのか、と思いますので。

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“相次ぐ誤審、しかしUEFAはビデオ判定導入を否定。実際問題、どうなのでしょうかビデオって!” への5件のフィードバック

  1. 爪楊枝 より:

    まぁビデオ判定は難しいでしょうね。
    単純な2択に落とし込めないものは厳しいと思います。
    ただ、オフサイド位はなんとかならないものですかね…。

  2. オーファーマネスル より:

    今シーズンの誤審はあまりに多いと思います。
    管理人さんは、ラグビーはご覧になりませんでしょうか?
    ラグビーはビデオ判定がかなり進んでいます。シンビンとなるファウルのジャッジや、オフサイド、ノックオン、トライなど、あらゆるプレーでビデオが使われています。ラグビーの方がコンタクトが多く、激しく、微妙なプレーの判定が求められますが、ビデオ判定に掛かる時間は1分ほどです。特にプレーが妨げられる、アクチュアルタイムが少なくなるという印象はありません。であれば、ラグビーとサッカーを愛する欧州でビデオ判定が導入されるのも当然だと思います。

  3. アーセナル より:

    プレーが止まるのが好ましくないっていうけど
    誤審があったら選手が抗議してどっちにしろ止まるのになあ・・・

  4. リッキー より:

    止まり方の違いではないですか?
    抗議で止まるのとビデオ判定してるから待っててね、というのは試合の進行上もだいぶ違うと思います。
    個人的にはそういった抗議や、その後のヒートアップした試合展開も含めて楽しく見てるので選手がビデオ判定だからしょうがない、という進み方をしてしまうのはちょっと嫌かも。。。
    管理人さんの言うように審判も人なので許容範囲はそれぞれあると思いますが、ある程度のミスジャッジは目を瞑るべきだと思ってしまいます。
    結局のところ勝敗に関わるようなミスジャッジをどこまで減らせるかだと思います。
    ↑にあるようにオフサイドのジャッジをビデオ判定に取り入れるのは個人的には賛成です!

  5. うーむ より:

    そもそも現状として主審を囲んだり文句を言って試合が止まりまくってるんで抗議権を監督だけにつけて選手の抗議を一切禁じて何回かビデオ判定へのチャレンジありにしたらむしろ今よりスムーズな気がしますけどね
    結局何で最近誤審が問題になるかって審判のレベルが急に下がったわけではなくテクノロジーの進歩でスーパースロー再生とか出来るようになり誤審に周りが気付くからであってそもそも昔から誤審って気付かれないだけで連発してたはずなんですよね
    主審が一人であの広いピッチを走り回っててまともに試合が見れるわけないんですよ
    まず単純に主審を二人にしてハーフコートを担当するだけでだいぶ負担は減りますよ
    でも結局伝統とかで根本的なことは何も出来ないんでしょう

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