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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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バイエルン3冠達成!その一方ですべてを失ったベンフィカの無冠…。

プレミアリーグのお話ではありませんが、2012-13シーズン、ヨーロッパ全体で最大のトピックスであろう2つの出来事について、紹介したいと思います。ひとつは昨夜、バイエルン・ミュンヘンがDFBポカール(ドイツカップ)を制して3冠を達成したこと。そしてもうひとつはポルトガルでリーグ、カップ、ヨーロッパリーグの3冠にそれぞれあと1勝で手が届くところまで来ていたにも関わらず、すべてを失ったシルバーコレクター、ベンフィカの悲劇です。

バイエルンの強さについては、以前からたびたび本ブログで「欧州最強チーム」と紹介しておりましたが、ドルトムントに勝ち点25差という驚異的な独走でブンデスリーガを制し、チャンピオンズリーグではバルセロナにトータル7-0という圧勝。決勝ではドルトムントとの息詰まる接戦をロッベンのゴールでものにして、残すはドイツカップのみ。これを獲って3冠という偉業を達成すれば、彼らが現在のヨーロッパNo.1であるどころか、欧州サッカー史に残るほどの素晴らしいチームであることに異を唱える人はいなくなるのではないでしょうか。

3冠チャレンジとなるシュツットガルトとの決勝では、トマス・ミュラーのPKとマリオ・ゴメスの2発で61分までに3-0。勝負あったかに見えたこの直後から、日本人ふたりが投入されてシュツットガルトの逆襲が始まります。62分に入った酒井豪徳のアシストからハルニクのヘッドで3-1。81分には、酒井の5分後にピッチに入った岡崎のミドルシュートがポストに当たり、そのこぼれ球を再びハルニクが詰めて2点め。あと1点まで追いすがられたバイエルンでしたが、反撃をここまでに抑えてついに初めての3冠達成。バトシュトゥバー、トニ・クロースが長期離脱し、コンフェデレーションズカップの絡みでブラジル協会にダンテとルイス・グスタフォを抜かれ、DF陣が手薄な状態でしたが、それでもここぞというチャンスを逃さず勝ってしまうのが今季のバイエルンの強さです。

ドルトムントからのブンデスリーガタイトル奪還を合言葉に、ハビ・マルティネス、マンジュキッチなどの効果的な補強をしたこともさることながら、この3年、主要タイトルを獲れなかった時期にロッベンやリベリー、トマス・ミュラー、シュバインシュタイガーなどの主力がチームを離れなかったのもポイントですね。軸がしっかりしていることが継続性のベースとなり、積み上げ式にチームを強くできたことが、今季、形になったという感があります。来季、ここにゲッツェが加わり、噂されているレヴァンドフスキまで獲得したら、国内ではライバル不在。圧勝で連覇を果たすでしょう。バトシュトゥバーが来季いっぱい復帰できない見通しなので、あとはディフェンスを補強するのみですね。うーん、欧州王者にここまでアグレッシブに動かれると、監督すら発表されてないクラブがあるプレミアリーグ勢は大丈夫なのか、と思ってしまいます。

一方、ベンフィカは、悲劇としかいいようがありません。ヨーロッパリーグとポルトガルカップで順当に決勝進出を果たし、リーグでは無敗の首位。5月上旬にはわが世の春を謳歌していました。5月6日に、ホームでのエストリル・ブライア戦をドローとしたことで、次戦のポルト戦を落とすと順位が入れ替わることになり、うっすらと暗雲が垂れ込めますが、それでも5月10日まではジョルジ・ジェズス監督と選手たちは希望に満ちあふれていたのです。しかしそこから、たった16日間で、しかもこれ以上ない残酷な形で、ベンフィカはすべてを失うことになります。これまでほとんど負けること自体を知らなかったチームが、重要なゲームで3試合続けて1-2での敗戦を繰り返し、転落の一途を辿ったのです。

5月11日、FCポルトのホーム、エスタディオ・ド・ドラゴン。19分に先制するも追いつかれ、91分、アディショナルタイムに決勝ゴールを奪われて1-2。ポルトガルリーグで2位に陥落。
5月15日、EL決勝、アムステルダム・アレーナ。対チェルシー。F.トーレスに先制されるもすぐに追いつき、延長戦かと思われた93分、またもやアディショナルタイムにイヴァノビッチのヘッド、1-2。
5月26日、エスタディオ・ナシオナル。ポルトガルカップ決勝の相手はリーグ9位の中堅クラブ、ヴィトリア・ギマランエス。前半に先制して圧倒的にゲームを支配するも、80分、82分に悪夢のような2ゴールを決められ、1-2。

かくしてベンフィカ、今季無冠。主要大会をすべて2位でシーズンを終えることになりました。さすがに、ポルトガルカップで負けることはないだろうと思いましたが…。ただ事実を羅列しただけのジョルジ・ジェズス監督の敗戦の弁には、却ってその悔しさがにじみ出ています。「後半は前半ほどよくなかった。1-0で十分だと思ったがそうではなかった。最終ラインでの意思の疎通を欠いてしまった。前半で勝利を決められたかもしれないが、反撃を許し、1-1から1-2にされた。それ以上何も言うことはない」。

勝者と敗者のコントラストがこれほどついたチームが並ぶシーズンは、なかなかないでしょう。両者に共通することは、すべての大会で勇気を持ってチャレンジし、戦いぬいたことです。欧州を盛り上げてくれたバイエルンとベンフィカに、惜しみない拍手を捧げたいと思います。ナイス・トライ!

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