首位のレスターが最下位⁉プレミアリーグのパス成功率ランキング
ポゼッション率が50%を超える10クラブは、見事にパス成功率のTOP10に入っており、後ろでボールをまわす時間が長ければ、パス成功率もポゼッション率も高まるということを示しています。一方で、ポゼッション率がいちばん高いマンチェスター・ユナイテッドは、パス成功率でもアーセナルに引けをとらない83%という数字を出しているのですが、彼らのゴールは32発しかなく、リヴァプールと並んで9位。下から2番めとなるゴール数24のスウォンジーは、パス成功率ではTOP10に入っています。もしかしたら、こういう式が成り立つのかもしれません。「ポゼッション高×パス成功率高×ゴール少=チキン」。あるいは、これはいかがでしょう。「ポゼッション高×パス成功率高×ゴール少=サポーター満足度低」。マンチェスター・ユナイテッド戦の前に会見に臨んだチェルシーのフース・ヒディンク監督が、このことについて率直に語っていました。
「ゲームについて、異なるアプローチと見方がある。4バックとGKでボールをまわし、外へ開くばかりで縦へ行こうとしないのであれば、この国ではそれは許されない。まずは縦にいくことを考えるべき。ポゼッション率を過大評価するべきではない。大事なことは、ポゼッションを活かして何をするかだ。ボールを持っていたいチームは多いが、安全にプレイするのか、行けるときは速く攻めに行くのか? 私は後者の方が好みだ」(フース・ヒディンク)
オールド・トラフォードでブーイングをかましている赤いチームのサポーターたちは、チェルシーの指揮官の言葉には諸手を挙げて賛成でしょう。レスターの「パス成功率最下位×ゴール数最多」が物語っているのは、ボールを奪ったらとにかく速くシンプルに攻めるサッカーは効果的であるということ。片や、アーセナルとマンチェスター勢のパス成功率TOP3が見せているのは、パスを成功させ、マイボールの時間を増やすことは失点の少なさにはつながるということです。最少失点のトッテナムはサイド攻撃と速攻を数多く仕掛けるチームで、パス成功率では7位ですが、ポゼッション率は4位。ポゼッションでTOP3に入っているアーセナルとマンチェスター・ユナイテッドはスパーズに次ぐ失点の少なさで、マンチェスター・シティは5位です。TOP3と同等の55%台を出しているリヴァプールは…彼らがなぜ失点が多いかは、サポーターのみなさんがよくご存じでしょう。ボールの所有権に負けず劣らず、CBの安定やGKにミスが少ないことも大事です。
【プレミアリーグ2015-16 パス成功率ランキング】
1位/ アーセナル 84.0%(55.4%)
2位/ マンチェスター・シティ 83.6%(55.4%)
3位/ マンチェスター・ユナイテッド 82.9%(55.8%)
4位/ エヴァートン 82.2%(51.5%)
5位/ チェルシー 82.0%(54.5%)
6位/ スウォンジー 81.7%(52.5%)
7位/ トッテナム 80.2%(55.1%)
8位/ ボーンマス 79.8%(51.6%)
9位/ ストーク 79.5%(50.1%)
10位/リヴァプール 79.2%(55.1%)
11位/アストン・ヴィラ 78.2%(49.8%)
12位/ウェストハム 77.9%(48.4%)
13位/サウサンプトン 77.6%(49.7%)
14位/ニューカッスル 77.3%(47.1%)
15位/ノリッジ 75.6%(46.7%)
16位/クリスタル・パレス 75.0%(46.6%)
17位/サンダーランド 72.8%(42.8%)
18位/ワトフォード 72.4%(45.9%)
19位/WBA 71.2%(42.3%)
20位/レスター 69.3%(43.7%)
※プレミアリーグ25節終了時。カッコ内はポゼッション率
いいとこ取りをすると、「パスを成功させることで相手ボールになる頻度と時間を減らし、マイボールとなったら速い攻撃でゴールを積み重ねる」となりますが、そんな都合のいいサッカーを実現できるチームはあるのでしょうか。ポゼッションが高く、ゴール数も多いペジェグリーニ監督のチームは、これに近いのかもしれませんが、その上をいくとなると…もしかして、バイエルン・ミュンヘン?来季のマンチェスター・シティの数字が、今から楽しみではあります。
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この議事、本当に興味深いものでしたね!パス成功率最下位のレスターが首位なのはまさにカウンターでの速攻と縦へのダイレクトパスが冴え渡っているからなんでしょうね!もし、これにボール奪取数をみたら恐らくレスターはかなり上位に来るのではないでしょうか。カンテとドリンクウォーターのカバーリングは本当に運動量豊富でしつこいですから!
ポゼッション率は毎ゲームのスタッツでみますが、特にガナーズ的には率が高いことが必ずしもナイスゲームには繋がっていないと思います。昨シーズンのシティ戦、今シーズンのCLバイエルン戦はまさにポゼッションを捨ててのカウンターが冴え渡ったゲームでした。
週末のガナーズ対レスター戦、ガナーズがポゼッションを捨ててレスターにボールを持たせ、ボール奪取後、エジルの一発キラーパスにかけるなら、好ゲームになるかと思います。
これは興味深い記事ですね。シーズン初めのレスターは攻撃はヴァーディとマフレズの個人技頼みで、守備もしょっちゅう最終ラインが抜かれて失点するシーンが多かった。岡崎が一人中盤までもどって守備しているってシーンもよく見ました。でもシーズンが進んでくると中盤からの守備が固くなりました。カウンターが活きるのはヴァーディの決定力のおかげなのかもしれませんが、ヴァーディが抑えられると岡崎が点を取り始めるという好循環になっています。強いわけだ。
それに比べると我らがマン・ユナイテッドはmakotoさんの仰る通りチキンですよね。ビビって外でボール回しすればボールを保持する時間は長くなるかもしれませんが、ボールを奪われると縦に速い攻撃にやられるというのがユナイテッドに限らずプレミアにおいてポゼッションにこだわるチームが嵌る落とし穴になっています。
ポゼッションを高めて失点を減らしながら攻撃スタイルを確立しようとしたファンハールに対して、守備組織を確立することを優先したラニエリのほうが良い結果を残している辺り、あまり難しいことをやろうとしないほうが良かったのかもしれません。
ヤンガナ大好きさん>
成功率が高い=勝負していない、というケースもあるわけで、このデータはレスターのアグレッシブさを表しているのかもしれませんね。
「ガナーズがポゼッションを捨ててレスターにボールを持たせ、ボール奪取後、エジルの一発キラーパスにかけるなら、好ゲームになる」
→賛成です。これをやったらどうなるかが観たいです。
Uボマーさん>
そうですね。選手間の距離に気を配っているのは、ラニエリとファン・ハールは一緒なのですが、ボールを奪ったら失敗してもいいから一気にいけというか、ボールを奪われるなというかの差が、彼我のゴール数に出ているように思います。マンチェスター・ユナイテッドこそ、速攻上手の集まりなんですけどね。マルシアルやデパイ、ルーニーはもちろん、元来、マタも結構ドリブラーですし。