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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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レスター&ウェストハムから5人選出!今季プレミアリーグの「お買い得ベストイレブン」

イギリス紙「デイリー・ミラー」が、安い移籍金で獲得したにも関わらず、素晴らしい活躍を披露した「お買い得ベストイレブン」を紹介していました。今季の掘り出しものといわれて、真っ先に頭に浮かぶのはウェストハムのディミトリ・パイェとレスターのエンゴロ・カンテです。パイェはプレミアリーグデビューの開幕戦でさっそくアーセナルを苦しめ、何年も前からチームにいたかのような適応力を披露し、プレミアリーグ23試合出場で8ゴール8アシスト。カンテはタックル数とインターセプト数でプレミアリーグNo.1と、レスターの首位快走の原動力となっています。カンテの560万ポンド(当時のレートで約10億8000万円)は安い!安すぎます。とはいえ、今となっては何とでもいえるものの、実際にプレイを観るまでわからないのが補強の成功と失敗です。選手のスキルをレーダーチャートで見て判断できればいいのですが、監督の起用法、チームのスタイルや周囲の選手との相性など、天国と地獄の間にあるのはご本人の実力ばかりではありません。

「デイリー・ミラー」が選出したベストイレブンには、レスターから3人、ウェストハムから2人が入っており、今季好調の2クラブがいかにおいしい補強をしたのかが窺えます。ウェズ・モーガンとともに最終ラインを締めるフートは、ストークからたったの300万ポンド(約5億8000万円)で譲り受けた選手で、シャルケ04にいたフクスはフリーで獲得しています。ウェストハムでは、パイェに加えてマイケル・アントニオがお得でした。ノッティンガム・フォレストから加わったイングランド人のアタッカーは、スタメン定着は12月と遅かったものの、16節のストーク戦以降の16試合で6ゴールを挙げており、前線の一角に完全に定着しています。スウォンジーのアイェウは、負傷もあって2月以降は止まってしまいましたが、何しろフリーですので28試合8ゴールは御の字です。お買い得といえば、アーセナルのペトル・チェフを忘れてはいけません。1000万ポンドしかかからなかった世界有数のGKがチームに加わるとどうなるかは、私よりもグーナーのみなさんが情熱的に語ってくれるでしょう。

【デイリー・ミラーが選んだ プレミアリーグ2015-16お買い得ベストイレブン】
GK:チェフ(アーセナル/1000万ポンド)
DF:フクス(レスター/フリー)、フート(レスター/300万ポンド)、
  ヴォルシャイト(ストーク/275万ポンド)、ニョム (ワトフォード/フリー)
MF:カンテ(レスター/560万ポンド)、トム・クレヴァリー(エヴァートン/フリー)、
  アーロン・レノン(エヴァートン/400万ポンド)、パイェ(ウェストハム/1070万ポンド)、
  マイケル・アントニオ(ウェストハム/700万ポンド)
FW:アイェウ(スウォンジー/フリー)

リストを眺めていると、ちょっと待った!といいたくなるポジションがいくつかあります。年が明けてから5ゴールと、本来の切れ味を取り戻しつつあるアーロン・レノンの400万ポンドが安いのは確かですが、17試合出場のレノンよりも6試合多い23試合5ゴール、しかもフリーのジェームズ・ミルナーがここには入るべきでしょう。10月にプレミアリーグデビューを飾ったクロップ監督が、まずまず出足を見せられたのは、ミルナーが献身的なプレイで周囲を引っ張ってくれたからだと思います。そしてまた、16試合にしか出ていないクレヴァリーを入れるなら、同じフリーで28試合出場とチームの中心として活躍しているストークのイヴラヒム・アフェライではないでしょうか。クリスタル・パレスの信じられない失速がなければ、1000万ポンドのキャバイェは候補のひとりとなったかもしれません。フェルトンゲンの不在をカバーしたヴィマーは500万ポンドで、これもなかなかいいお買い物だったのですが、プレミアリーグ出場が9試合ではフート、ヴォルシャイト、ニョム、フクスらに割って入るのは難しそうです。

これを見てしまうと、初年度としては期待通りの活躍を見せてくれているマルシアルや、チャンピオンズリーグで死のグループ突破の原動力となったデブライネでさえも、やっぱり高いなと思ってしまいます。「どうしても欲しい。お金は払える」といわれれば、止める理由はなくなってしまうのですが、総額100億円を超えるような移籍は、欧州のトップクラブで数年実績を出している選手に限られるべきなのでしょうね。プレミアリーグ首位を走るレスターが費した移籍金が6人で50億円強でしかないという話を聞くと、なおのことその思いを強くします。

年間売上800億円程度の企業が、給与で300億円ほどかかっているうえに、さらに移籍金のマイナスが100億円以上出ていくとすると、いかにタレントで勝負している業界とはいえ人件費比率が高すぎやしないかとハラハラします。テレビ放映権バブルが弾ければ、それなりに収束していくのかもしれませんが…。今季のレスターとトッテナムの躍進は、トップクラブが膨らませた移籍金に対して「今はいいけど、この先もお金で勝負します?」と考えさせる機会なのかも…うーん、どうでしょう。話題性のある監督が揃うこの夏は、1年前以上に盛大な争奪戦が展開される予感もあります。いやー。

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“レスター&ウェストハムから5人選出!今季プレミアリーグの「お買い得ベストイレブン」” への4件のフィードバック

  1. だしまる より:

    クレヴァリー、レノン、ミルナーなど貴重なイングランド選手なのにフリーだったり安かったりなんですね。クレヴァリー・レノン辺りはかなり将来を嘱望されていたはず。
    お金で勝負はいい気分しないので、できればじっくりと育てて選手たちにもチーム愛を持っていて欲しいなあと思います。

    今季終了後の移籍市場はまたどうなるのやら。タックスヘイブンの闇が暴かれるパナマ文書の流出でサッカークラブのオーナーたちもお金使えなくなるかもしれません。

  2. ヤンガナ大好き より:

    面白い記事でしたね!加えてミルナーのエントリー、大賛成です。多くはプレミアリーグ内のフリーか、リーグアン、ブンデスリーガからのスカウティング成功例が多いですね。

    プレミアチーム間の移籍はある程度、成功確率読めますが、他国リーグからパイエ、カンテをスカウティングしたウエストハム、レスターはメジャーリーグベースボールで流行ったアスレチックスのマネーベースボールのサッカー版ですね!

    ガナーズのコシルニーもそうですがフランス系のフットボーラーは適応力が高いですね。リーグのフットボールに共通項が多いのかもしれませんが。逆にイングランド系は代表候補さえプレミアリーグから出たがらない傾向があり、ハングリーさにかけるといつも思ってしまいます。

    それを考えると中南米系の選手は本当に逞しいですね。これからは自国選手の育成とピンポイント補強で成功しつつあるスパーズのような経営がお手本になるかもしれないですね。

  3. queen より:

    ちなみに岡崎はいくらくらいでしたっけ?確か貴貢献はすごくしてるけど、数字がもう少しあればな、という感じですかね。
    強豪からの「おさがり」がチームに貢献してるとこはいいですね。
    ちなみに「お買い得」というのは移籍金に関してだけですよね。チェフは移籍金はそこまででもないですが、給料はかなりのものかと。

  4. makoto より:

    だしまるさん>
    クレヴァリーは思うように伸びず、レノンは峠を過ぎたと見做されたのでしょうね。古巣はそれぞれ若手が出てきているクラブなので、致し方なしかもしれません。

    ヤンガナ大好きさん>
    おっしゃるとおり、フランスの選手は適応力が高いですね。国内リーグが弱いので、「外国で絶対成功する」という意志が強いのかもしれません。

    イングランドの選手が外に出たがらないのは、私は仕方ないと思います。外国のほうがいいとすれば、バルサやバイエルンのほうがCL優勝には近そうというぐらいで、スタジアムやサポーターの素晴らしさ、給料のよさ、あるいはロンドンやその近郊の暮らしやすさは圧倒的に魅力ですので。

    queenさん>
    岡崎は13億ぐらいです。アイェウよりゴール数が多く2ケタにのせていれば、入れたかもしれません。これは移籍金だけです。意味合いが違う「移籍金+給与」としてしまうと複雑性が高く、計算するほうも読み手もわけがわからなくなってしまうので、シンプルにしているのだと思われます。

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