偏愛的プレミアリーグ見聞録

5月1日、マンチェスター・ユナイテッドVSレスター。5月2日、チェルシーVSトッテナム。今週末、プレミアリーグ2015-16シーズンの優勝クラブが決まるかもしれません。オールド・トラフォードのサポーターとファン・ハール監督のチームは、アーセナルのヴィルトールにゴールを決められた14年前のように、歓喜する優勝チームを目の当たりにする屈辱を受け入れることになるのでしょうか。ブックメーカーで1対5000のしんがり人気だったレスターが、クラブ創設132年めでようやく迎えたプレミアリーグ初優勝のチャンス。ラニエリ監督は「いつもと同じ準備をし、リラックスしてオールド・トラフォードに向かいたいと語っていました。

「It is important to finish the story like an American movie. Always in the final it is okay, a happy ending. It’s a good opportunity but for this reason we have to be focused.（大事なのは、ハリウッド映画のストーリーのように終わることだね。最後はいつもオッケー、ハッピーエンディングだ。そうなれるいい機会だが、われわれは集中しなければいけない）」

最終戦までもつれることなく、早く決めたいレスターですが、この試合は今季のプレミアリーグでいちばん難しい戦いになるのではないでしょうか。ジェイミー・ヴァーディの出場停止に加えて、ウジョアが負傷しており、間に合わなければラニエリ監督は最前線の人選に頭を使わなければなりません。岡崎慎司とマフレズを前に据え、プレミアリーグ初先発となるデマライ・グレイが右サイドか。あるいはシュラップを左、オルブライトンを右か。フォーメーションまでいじることはないと思われますが、いつもの選手交代ができないなかで、リードを奪えたときのゲームの畳み方に工夫が必要です。

一方のマンチェスター・ユナイテッドにとっては、プレミアリーグ4位奪取に向けて絶対に負けられないゲーム。目下4連勝中の好調チームは、シュヴァインシュタイガーとルーク・ショー以外に負傷者はおらず、先制点を獲りたいゲームの戦い方は明確です。ファン・ハール監督は、アグレッシブに攻めたFAカップ準決勝のエヴァートン戦と同じメンバーを選ぶのではないでしょうか。GKデ・ヘア、DFロホ、スモーリング、ブリント、フォス＝メンサー。ルーニー、フェライニ、キャリックの3センターに、リンガード、マルシアル、ラシュフォード。いじるとすれば、右SBにバレンシア、中盤の底にシュナイデルランを置くぐらいでしょう。ホームで11勝4分2敗と滅法強いマンチェスター・ユナイテッドに対して、アウェイで11勝4分2敗のレスターという「矛・盾対決」は、攻撃面が手探りの戦い方となるレスターよりも、ホームチームのほうが強い気持ちでゲームに臨めるのではないかと思います。

スタンフォード・ブリッジのトッテナムは、WBA戦のパンチを咎められたデル・アリが今季終了。ケーヒルとテリーを欠きながらもボーンマスに1-4と快勝したチームに勝つのは、かなり大変そうです。ヨーロッパリーグ出場権には届きそうになく、カップ戦も終わったチェルシーは目標こそないものの、「自ら負けられなくしたゲーム」といえるのかもしれません。最終節にレスター戦を残しているにもかかわらず、「トッテナムに優勝してほしくない」などと口走ってしまったセスク・ファブレガスにとっては、「レスターが負けてトッテナムが勝てばトッテナムが優勝」などという条件がついた状態で最後のゲームを迎えたくないはずです。WBA戦の痛恨のドローから気持ちを切り替えるのが難しいアウェイチームよりも、アザールがようやく2ゴールを挙げて連敗を止め、優勝の可能性を残すロンドンのライバルを叩こうと意気が上がるチェルシーのほうに分があるように思います。

サポーターとしての願望を込めて予想するなら、マンチェスター・ユナイテッド勝利、スタンフォード・ブリッジはドローで優勝決定はキングパワーのレスターVSエヴァートンに持ち越し。ブックメーカーに張るなら、両方ともドローで5月2日にレスターの初優勝が静かに決まるといった見立てですが、いかがでしょうか。オールド・トラフォードで行われる最初のゲームのキックオフは、日本時間で5月1日22時5分です。レスターの優勝を心待ちにしているみなさんは、お見逃しなく！