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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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どこまでいけるかユーロのイングランド、最大のネックは薄すぎるCB!

チャンピオンズリーグはレアル・マドリードが優勝し、2015-16シーズンの全日程が終了しました。月日の経つのは早いもので、ユーロ2016開幕まであと11日。プレミアリーグファンとしては、イングランド代表がどこまで勝ち進めるかが気になります。彼らの優勝への道のりを確認しておきましょう。グループBの相手は、ロシア、ウェールズ、スロバキア。英国対決となったウェールズ戦が楽しみな組分けです。プレミアリーグでおなじみのウェールズ人を紹介すると、欧州の頂点に立ったガレス・ベイルを筆頭に、アーセナルのラムジー、スウォンジーのアシュリー・ウィリアムズ、クリスタル・パレスの守護神ヘネシーとMFレドリー、リヴァプールのジョー・アレンあたりでしょうか。堅守を武器にラムジーとベイルでカウンターを仕掛けるレスターのようなチームですが、出会い頭の一発に注意すれば、イングランドは負けないでしょう。無事、グループ1位で突破となると、決勝トーナメント1回戦は、グループAかDの3位との対戦が濃厚です。

Aならスイスかルーマニア、Dはおそらくチェコかトルコ。ここを抜けると、「ポルトガルVSベルギーかイタリア」の勝者と当たり、難敵を下せば次はスペインです。順当ならベスト8まではいけそうですが、4強となると何ともいえません。26人の暫定メンバーを見渡すと、ハリー・ケインとヴァーディに、負傷が問題なければスタリッジ、ホジソン監督の英断があればラシュフォードの最前線は楽しみ。デル・アリ、ロス・バークリー、エリック・ダイアーなど、プレミアリーグで成長を遂げた若い選手が中心となりそうな中盤も期待できます。ウェイン・ルーニーは、どのポジションで起用されるのでしょうか。サウサンプトンのバートランドとトッテナムのダニー・ローズが鎬を削る左SB、カイル・ウォーカーとナサニエル・クラインならどちらでもOKの右SBもいいと思います。問題は、CB。ジョン・ストーンズ、ガリー・ケーヒル、クリス・スモーリングの3人で大丈夫なのでしょうか。

リオ・ファーディナンド、ソル・キャンベル、ジョン・テリー、ジェイミー・キャラガー、トニー・アダムス。昔はストロングポイントだった最終ラインの中央は、今は完全に人材難です。プレミアリーグの最後の1ヵ月を欠場したジャギエルカは、選ばなかったのではなく選べなかったのでしょう。昨季プレミアリーグのTOP10で、30試合以上出場したイングランド人CBはマンチェスター・ユナイテッドのスモーリングのみ。他にレギュラーといえるのはストークのショークロスぐらいですが、負傷がちだったハードマーカーは20試合しか出ておりません。ズマのリタイアがなければ、23試合出場だったケーヒルのプレイ機会は減っていたでしょう。QPRからリヴァプールにレンタルされたスティーヴン・コーカーは、ヘディングの強さを買われてゲームの終盤にFW起用された数試合で終了。フィル・ジョーンズは負傷で不本意な1年を過ごし、チャンバースは伸び悩みました。ボトム10に目を移しても、ボーンマスのタイロン・ミングスは、8月のプレミアリーグに11分間出場しただけで、シーズンを棒に振る重傷を負ってアウト。クリスタル・パレスのスコット・ダン?ボーンマスのクック?うーん…。

イングランドの問題はCBだけではありません。ランパードやジェラードなき後、セントラルMFも層が薄く、ポチェッティーノ監督がデル・アリ、エリック・ダイアー、ライアン・メイソン、トム・キャロルを育ててくれなかったら、ヘンダーソン、デルフ、ウィルシャー、ドリンクウォーター、シェルヴィぐらいしかおらず、全体的に小粒で、ナンバーワンは今だにマイケル・キャリック!?といった状況です。ストライカーはそこそこいるのに、なぜ、守備力と展開力を兼ね揃えた真ん中の選手が少ないのでしょうか。あくまでもCBについてではありますが、昨年、プレミアリーグの重鎮ヴェンゲル監督が、優秀なイングランド人が出てこない状況について、こんなことをおっしゃっていました。

「今の若手選手たちは質の高いピッチでスマートな練習をしているが、昔は泥だらけだったし、練習中に身を投げ出してタックルを仕掛けることもできた。DFはそうやって自然に技術をマスターしていた。今はピッチが改良され、接触プレイが減り、立って守備をする機会が多くなった。昔よりも高い技術を持つ選手が増え、サッカー界全体、指導者側が強引さを求めなくなったのかもしれない。おそらくそれが優秀なDFの減少につながっているのだろう」

これはこれで、ひとつの理由なのかもしれませんが、ことプレミアリーグ、イングランドに限っていえば、こちらのほうが妥当な解釈なのではないかと思います。

「スペイン、フランス、ベルギー、南米に素晴らしいセントラルMFとCBがあふれているから」

資金力がない大陸の中小クラブは、自国の選手をバルサやパリと戦わせて育て、やがて上位クラブに売ってクラブを維持しているわけですが、プレミアリーグのクラブは、降格候補でもお金があるので、海外から買ってきちゃう。そうすると、若い選手に成長の機会がなくなる。カンテ、キャバイェ、アルデルヴァイレルト、フェルトンゲン、コシールニー、カソルラ、コクラン、オタメンディ、コンパニ、フェルナンジーニョ、ズマ、セスク…。短期的にチームを強くしたいと考えたら、彼らに手が伸びるのはよくわかります。

当面は、ジャック・スティーブンス(元々右SBですが)やウォード=プラウズ、ハリソン・リードがいる「イングランド若手ファクトリー南支部」のサウサンプトンと「ポチェッティーノ道場」に何とかしていただきつつ、チャンピオンシップにいたミドルスブラでベン・ギブソンががんばったように、かなり下からの突き上げに期待するしかないのでしょうか。由々しき問題、深刻な課題ですが、解決には時間がかかるでしょう。ともあれ、目の前のユーロは、3人に体を張っていただくしかありません。

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“どこまでいけるかユーロのイングランド、最大のネックは薄すぎるCB!” への3件のフィードバック

  1. queen より:

    イングランド代表サポーターの友人が言うには、イングランドの優秀な若手は上位チームがほとんど青田買いしてしまう。それなのに、トップチームは他国の選手を補強するのでなかなか育たない。さらに、イングランドは給料が良いので、他国で育つ若手も少ない、ということが若手が不足する原因の一つではないかとのことです。
    個人的にも、例えば、ビジャレアル、シャルケ、ベンフィカ育ち(あるいはブレイク)のイングランド人!みたいな選手がいたら面白そうだと思うのですけどね。そういう意味ではダイアーは楽しみな選手です。

  2. yuto より:

    イングランド、フランス、ベルギーとプレミアリーグに所属する選手が多い国にはどうしてもひいき目でみてしまいそうです。
    イングランド代表についてはサウサンプトンとスパーズの若手の突き上げが頼もしいですね。
    サウサンプトンについてもルークショーやクライン、ララーナの起用などポチェッティーノ監督のイメージが強いですし、若いチームをまとめるなら世界でもベストの監督になりつつありますね。

  3. makoto より:

    queenさん>
    「イングランド人選手は、他国に出ない」というお話は、チェルシーによって逆に変わりつつあったりもするのかなと思ったりします。何人か、イタリアやオランダにいってますからね。ただし、そういう選手が特に才能を開花させるかといえば、そんな話でもなく。他国にいけばハングリー精神が磨かれてよい、みたいな話には懐疑的でして、スペインやドイツのホントのトップクラスはバルサ、レアル・マドリード、バイエルンにずっといて、とにかく素晴らしいプレイを披露しています。問題は、「所属するクラブで出番がなければ外(=国内外問わず)に出ていけばいいのに、経験を積めないまま時間を浪費して才能が朽ちてしまう」ことですよね。

    yutoさん>
    ポチェッティーノさんは、イングランド代表の二軍監督のような存在です。彼が他国にいってしまうのは国家的損失ではないか、と。

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