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イングランド代表の新指揮官候補にサム・アラダイス!?…ホントにいいんですか?

これはびっくりしました。イングランド代表監督候補として、サンダーランドを率いる「ビッグ・サム」ことサム・アラダイス監督に白羽の矢が立ったとのこと。いや、いい監督だと思います。ただしそれは、「プレミアリーグの中堅・下位クラブにとって」です。事実、昨季プレミアリーグで17位に残ったサンダーランドは、ビッグサムの手腕への信頼を表明しており、代表監督として話題になること自体、困ると抗議しています。

「彼はわれわれのプランにおけるキーマンです。われわれはチャレンジ続きだったシーズンを終え、ピッチ内外で安定性を確保しようとしており、彼が残ることを望んでいます。シーズン開幕前のこの時期に、アラダイスのイングランド代表監督就任が噂となり、サンダーランドは被害を受けています。われわれはFAに、被害に対して理解したうえで、早急に問題を解決するよう要求します」(サンダーランド公式サイトより)

前任者ロイ・ホジソンは、ユーロ予選を全勝したものの、本大会では微妙な最終メンバー選考と不調選手にこだわる采配ミスで、アイスランドに敗れてベスト16敗退。結果は出せなかったものの、彼にはスイス、UAE、フィンランドの代表チームを率いた経験、インテルやリヴァプールで一流どころの選手を御した実績に加えて、フラム時代にヨーロッパリーグ決勝に進出するなど代表監督にふさわしい履歴はありました。対するアラダイスは、前任者より7つ若い61歳はいいとして、率いたクラブはボルトン、ニューカッスル、ブラックバーン、ウェストハムと「中の上」止まり。プレミアリーグ最高順位はボルトン時代の6位で、それなりの戦力を携えていたニューカッスルやウェストハムでもTOP10に引っかかるのが精一杯の「ミスター10」です。ワールドクラスの選手をマネジメントしたことがない監督に、2年の任期でワールドカップベスト8以上に食い込めるチームを創れというのは、さすがに酷でしょう。

ウェストハムのサポーターが納得しなかったロングフィードを多用するクラシックな戦術で、イングランドのファンを満足させるのは至難の業。ヨルダンからハリー・レドナップを引き抜く以外にそれなりの実績があるイングランド人でまかなう手立てはなさそうで、ここは腹をくくって外国人監督に命運を託すという選択がベターではないでしょうか。プレミアリーグ優勝経験があるペジェグリーニやマンチーニ、自らが一流選手だったミカエル・ラウドルップ、ワールドカップを知るフース・ヒディンクなど、イングランドとプレミアリーグを把握している指揮官はいるではありませんか。今の主力選手の顔ぶれをみると、フィットしそうなのはマンチェスター・シティを率いていた2人ではないかと思います。インテルのマンチーニ監督を口説くのは難しいとしても、ロシア代表の話が決まる前ならペジェグリーニさんを振り向かせることはできるのではないでしょうか。

「デイリー・メール」が、「FAが要求しているのはペップ・グアルディオラのようなポゼッションサッカーで、アラダイスはそれができることを証明しなければならない」と書き、これに対して日本のサッカーファンが「できるわけがない」と憤慨しておりましたが、タブロイド紙の記事は多分に当てつけですので、目くじらをたてることはないと思います。ともあれ、中盤の頭上をロングボールが飛び交うサッカーをしようものなら、デル・アリやロス・バークリーは自らの存在意義を疑い始めるでしょう。ビッグ・サム就任は、2年後を考えてもその先の発展を見据えても得策ではなく、国民、選手、ご本人の誰も幸せにしないでしょう。外国人監督に照準を絞っていただければ、少なくともサンダーランドのみなさんの納得感は得られそうです。

マンチェスター・ユナイテッドサポーターとしていわせていただければ、サー・アレックス・ファーガソンとの名コンビで知られる聡明なるデヴィッド・ギルFA副会長は、イングランド人にこだわるあまりの無謀な賭けには出ないものと信じております。8月13日のエティハドで、ビッグ・サムがアウェイチームのベンチに泰然と座っている姿が見られることを、切に祈ります。

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“イングランド代表の新指揮官候補にサム・アラダイス!?…ホントにいいんですか?” への6件のフィードバック

  1. プレミアリーグ大好き! より:

    イングランドサッカーの歴史については尊重するつもりです、ただ自国監督にこだわりすぎるのは流石に時代錯誤でしょ…と思います。国際大会で勝つためには古きよきイングランド魂ではなくモダンな若手たちを生かせる戦術ですFAさんどうか早まらないで!!

    —–
    更新ご苦労様です。
    FA早まってはいけないかと思うのです。ドライに見れば他国の代表監督なので高みの見物なのですが、プレミアファンであり、近年ない質の高いメンバーが揃っているイングランドなので、監督人選を残念な形で決定して欲しくないですね、、、。

  2. nyonsuke より:

    更新お疲れ様です。

    FAは何を考えているのでしょうか?
    まったく読めません。
    カッペロからのホジソンも疑問だったのに、ここにきてビッグサムとは…。
    私も管理人様と同じように英人にこだわらず、ぺジェやブランを招聘したほうがいいと思います。
    ここまで英人にこだわった報道をみるとエリクセンやカッペロと何かあったのですかと聞きたくなります。
    なんにせよ今は楽しみな選手がそろっているイングランドなのです。
    監督さえ間違えなければW杯はいけると思います。
    ジェラード、ランパード、ベッカム、ルーニーを擁した時代の繰り返しにならないことを希望します。

  3. おハム より:

    アラダイス笑

  4. グローリーグローリー より:

    ファーガソン監督はサムしかいない!みたいに仰ってましたね。イージーな決断だと。ただFAが望んでるポゼッション型より、ロンクボール主体のカウンター型の方がイングランド代表にはハマるんじゃないかなと思わなくもないですが。イングランド代表ってゲーム作れる選手いませんからね

  5. queen より:

    クリンスマンのイングランドを見てみたかったんですけどね。
    彼が就任したらやたらと他国のアンダーの選手を引っ張ってきそうですが。

  6. makoto より:

    残留請け負い人として定評のある彼ならユーロで台頭したしぶといチームができるような気がしたので好意的に思ってましたが、ポジションをしたいなら話は別ですね。

    —–
    プレミアリーグ大好き!さん>
    共感します。デル・アリやロス・バークリー、エリック・ダイアー、ハリー・ケイン、ラシュフォード、スターリングといった選手をもう一段上のレベルに引き上げられる、戦術性に富んだ監督がいいですね。

    プレミアリーグ大好き!さん>
    そうなんです。メンバーがいいので、もったいないです。中盤より前の個人力では、イタリアにも充分勝てるレベルです。

    nyonsukeさん>
    ブランさんもひと頃、名前が出てましたね。ヴェンゲルさんの名前が出ていたということは、フランスの方でも抵抗なしということですよね。マンチェスター・ユナイテッドOBでもあるので、いいと思います。

    おハムさん>
    厳しいですよね。

    グローリーグローリーさん>
    ポゼッションサッカーにする必要は感じませんが、ワールドカップや欧州のトップレベルの戦いを知っている方にしないと厳しいのではないかと思います。サー・アレックス・ファーガソンさんは、「モイーズがいい!」といった方なので、監督とチームの相性を見る目はあまり信用していないのですが(笑)。もしかして、イングランドには負けたくないスコットランド人目線でいっているとか…。

    queenさん>
    おもしろそうではあります。任期中はイギリスに住んでくれれば、ですが…。

    プレミアリーグ大好き!さん>
    トップクラブ所属のプライドの高い選手たちを御せるのか?という不安もあります。ここぞというところで選手をコントロールできないと、世界大会は厳しいのではないか、と。

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