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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

プレミアリーグも指揮官たちも大反対!「シンビン」「ブルーカード」は結局、導入されるのか?

「カードを1枚追加して何になる?対応策は既にある。人々が満足するレベルに達してないなら、やればいい。それは変化だ。しかし、あるチームが10分間10人になったら、ゲームに何をもたらすかわかってるのか?誰かが戻るのを待つ10分は、座り込んで時間稼ぎする。試合のスピードアップと時間短縮を図っているのに、変な理由で逆行しようとしている」(アンジェ・ポステコグルー)

「最初の瞬間から、素晴らしいアイデアには聞こえなかった。実際、彼らから最後に素晴らしいアイデアが出たのはいつだったか思い出せない。そんなこともあったのかもしれないけどね」(ユルゲン・クロップ)

「正直にいえば、ビッグファンではない。そのためにイエローカードがあるのだと思う。今のシステムはうまく機能している。ブルーカードの追加は、さらなる混乱を招くだけだろう。私は反対だ。いいやり方とは思えない」(エディ・ハウ)

1970年のワールドカップメキシコ大会で、イエローカードとレッドカードが導入されてから53年。フットボールに、「ブルーカード」が追加されようとしています。昨年の11月、国際サッカー評議会(IFAB)が提唱したシンビンは、戦術的なファールやレフェリーに対する抗議などで、対象となる選手を10分間ピッチの外に出すというルールです。

これは既に、イングランドとウェールズのユースやノンリーグで試験的に導入されており、プロフェッショナルレベルでのトライアルは合意済みです。同時に、「選手が揉み合った後のクーリングオフ・ピリオド」「CKの後にGKが遅延行為をした際のペナルティ」「キャプテン以外はレフェリーに近づいてはならない」といった新ルールも検討中と伝えられています。

4つのレギュレーションは詳細を詰めた後、3月2日にスコットランドのロッホ・ローモンドで開催されるIFABの年次総会で承認される見通し。プレミアリーグが断固反対の姿勢を崩さないため、来季のFAカップからの試験導入となりそうです。意見を求められた指揮官たちは、総じてNG。その理由は、ルールと運用の複雑化、10対11や10対10のシーンが増えること、黄色と青の混在による混乱です。

賛成派の論拠は、2018-19シーズンからノンリーグで導入されたシンビンによって、FA管轄の31リーグ全体でレフェリーに対する抗議が38%ほど減少したこと。罰則強化によって、ピッチに秩序がもたらされ、ゲームの進行もスピーディーになったといいたいのでしょう。これについては、私も反対。クロップやポステコグルー、エディ・ハウの肩を持ちたいと思います。

3色のカードが舞うピッチをNGとする最大の理由は、レフェリーの主観による重いペナルティが増え、試合のおもしろさを削いでしまうからです。現在も、ボックス内のハンドとダイブや、VARの微妙なジャッジがしばしば議論になっています。抗議かつぶやきか、不満の表明か否かを人間の瞬時の判断に委ねれば、影響を受けたチームの関係者のストレスは増大するでしょう。

元来、フットボールのファンが多い理由のひとつは、ルールがシンプルだからだと思っています。ボディコンタクトやハンドなどのファールは感覚的にわかるので、オフサイドの理屈さえ押さえれば、観戦は初めてという人でも戸惑うことはないでしょう。今のジャッジは?とざわざわする時間が増え、10人がゴール前にバスを停める…試合が盛り上がるイメージは湧きません。

さらに、よくあるシーンを想像すると、ツッコミどころが満載です。相手の足を引っかけた後、思わず「当たってない!」といったらイエロー+ブルー=レッド?3人で抗議したらシンビンは何人?レフェリーを守るためにルールを作ったら、却ってレフェリーが非難の矢面に立たされるという改悪になりかねません。

いっそのこと、「遅延行為はシルバーカード」「倒れた選手のためにメディカルチームをいち早く呼んだらホワイトカード」「3年間カードゼロならゴールドカードに昇格」などと景気よく増やしましょうか。いや、失礼。感情的になりすぎたようです。規制規制の世の中ゆえ、この世界ぐらいはできるだけ自由であってほしいという思いもあり、ムキになってしまった次第です。

私たちが観たいのは、選手たちの素晴らしいプレイとフェアな勝負です。「選手の抗議」を減らす最善策は、ジャッジの精度を高めること。微妙な裁定や誤審を減らすためには、レフェリングのクオリティを上げるとともに、ゲームを裁く担当者の主観が介在する要素を極力減らすことも必要なのではないでしょうか。

ピッチで選手たちが異議を唱えるシーンはあくまでも表層で、その向こう側にはTVの画面に向かって叫ぶサポーターや、頭を抱えるチームスタッフがいることを忘れないでもらえればと思います。ルールでレフェリーの絶対性を高め、現場の反論を抑えつけてもピッチの外の不満は減らないのです。フットボールがワクワクするスポーツであり続けるために、どうか再考を。


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