94分40秒、アダム・ララナ!執念のゴールが決まったビッグ・サムのイングランドが初陣を飾る!
ユーロ2016ではスコアレスドローに終わった対戦は、あの日と同じ神経戦になりそうな予感です。中央の守備を固めながら、速攻一発で勝利をもぎ取ろうとするスロバキアに対して、ボールを支配しながらサイドからの崩しでゴールを奪おうとするイングランド。ビッグ・サムのチームは、両サイドからのクロスが中に合いません。19分、右から上がったハイクロスをスターリングがGKと競りにいくと、コザーチクがファンブルするもこぼれ球はDFの足元へ。21分には、エリック・ダイアー、カイル・ウォーカー、ララナからのスルーパスに再度カイル・ウォーカーと、小気味よいパスが右サイドでつながりSBが抜け出しますが、最後のグラウンダーがハリー・ケインに合いません。トッテナムのエースは、昨季に続いてプレミアリーグではスロースタートですが、一発でれば量産体制に入るのではないでしょうか。
37分に、ハムシクが右に展開したスロバキアの攻撃は1点ものでした。ペカリークが浮かしたボールはダニー・ローズがカットしますが、もたつく間にペカリークに取り返され、寄せてきたペゴウスキーへ。GKとDFのすき間に入れたグラウンダーは、ドゥリスが触れば決まっていたでしょう。しかしわずかにタイミングが合わず、イングランドは命拾いします。この直後、エリック・ダイアーが右に展開し、縦に走ったハリー・ケインが落としたボールがスターリングへ。中央にいたルーニーに打たせたほうが確率は高かったようにみえましたが、好調のサイドアタッカーはひとりかわしてシュート。これは角度が厳しく、クロスに蹴ったボールは左のポストの脇を抜けていきます。40分には、ララナがペナルティエリアの手前にいたハリー・ケインにシンプルに渡すと、エースは振り向きざまに左足シュート。強烈な一撃はDFに当たりましたが、「ここからでも狙うぞ」という姿勢をときどき見せたほうがいいでしょう。前半は0-0。この試合もまた、夏と同じく1点勝負になりそうな雲行きです。
後半もペースメイクはイングランド。47分、縦に仕掛けたスターリングが左から入れたクロスはGKコザーチクがクリア。9人が下がってきたスロバキアのゴール前は大渋滞で、ミドルシュートを打とうにもコースがなかなか開きません。53分には左サイドから蹴ったルーニーのFKが、ファーにいたヘンダーソンの頭に合いますが、中に折り返したボールをGKがキャッチ。ひたすら耐えていたスロバキアは、57分に大黒柱を失ってしまいます。ハリー・ケインを倒して2枚めのイエローをもらったのは、プレミアリーグファンにおなじみのマルティン・シュクルテル。10人になれば、ますますスロバキアは前に出てこなくなるでしょう。勝ち点3を持ち帰りたいイングランドにとっては、必ずしもいい話ではなさそうです。
63分、カイル・ウォーカーのクロスをラインの裏に走り込んで受けたのは、ヘンダーソン。ダイレクトの落としを直接狙ったララナは、左足のシュートを打ち上げてしまいます。ビッグ・サムは、ヘンダーソンに代えてデル・アリを投入。65分に左サイドのダニー・ローズからパスを受けたルーニーは、デル・アリの足元にシュート性のボールを入れますが、コザーチクのセーブでこれも決まりません。71分にルーニーが蹴った直接FKは、落ち切らずバーの上。76分、ルーニーから柔らかいショートパスをもらい、フェイントでひとりかわしてすかさず打ったララナの左足はポスト直撃。ボールはスターリングと代わったばかりのウォルコットの足元に入りますが、焦ったシュートは左に逸れ、0-0は動きません。82分、アラダイス監督はプレミアリーグ得点王をついに諦め、ダニエル・スタリッジに勝負を託します。
ウォルコットが入れたクロスに反応したスタリッジは、ボレーを枠に飛ばせず。ジョン・ストーンズは中盤に上がってプレイしており、アグレッシブな姿勢を崩さないララナがミドルを狙うもうまく当たりません。残り5分を切りました。86分にルーニーのスルーパスで裏に出たウォルコットはオフサイド。90分、デル・アリの見事なパスで右からゴール前に突進したウォルコットが、中のスタリッジにラストパス。シュートを打とうとしたスタリッジの足元のボールをDFがプッシュすると、これがウォルコットに渡り、ポストとGKの間を抜いたシュートが決まりますが、何とオフサイドの旗が上がっています。スタリッジ、ルーニー、ララナがレフェリーに詰め寄るも、当然ジャッジは覆りません。ゲームは90分をまわりました。ビッグ・サムのデビュー戦はドロー濃厚です。
4分と表示された追加タイムは既に終わり、30秒ほどオーバー。スタンドは、早くタイムアップの笛を吹けとブーイングが鳴り止みません。左から上がったのはダニー・ローズ、ドリブルもクロスも強引です。グラウンダーはペカリークの守備範囲。しかし2番がつま先で触ったボールは、ララナの前にこぼれてしまいました。11番がワントラップして落ち着いてニアを狙うと、コザーチクは手に当てながらも外に出せず、ボールはゴールのなかに転がっていきました。歓喜のイングランド、座り込むスロバキア。フィニッシュに精度を欠き、苦しんだアウェイチームが最後の最後で勝ち点3をゲットしました。
ほめるポイントを探せば、「サイド攻撃が徹底された」。悪くいえば、「ユーロ2016とあまり変わり映えがしない」。とはいえここは、チームづくりに時間をかけられなかったことと、相手がベタ引きでゴール前を埋めてきたことを考慮して、勝利を手にしたチームに静かに拍手を送るべきなのかもしれません。おめでとう、ビッグ・サム。次戦以降は、目の覚めるような美しい崩しで、ファインゴールを決める強いイングランドを見せていただければと思います。
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