偏愛的プレミアリーグ見聞録

リヴァプールが、ロストフに所属する「イランのメッシ」ことサルダル・アズムンの獲得に向かっているという記事を読んで、「アフリカ・ネーションズ・カップか!?」と、事の重大さに気づきました。クロップ監督の采配が冴え、プレミアリーグ首位に立ったレッズからは、サディオ・マネとジョエル・マティプというガチガチのレギュラーが最大3週間もチームを離れてしまう可能性があります。イラン代表で22試合16ゴール、チャンピオンズリーグではアトレティコ・マドリードからゴールを奪っている21歳のアタッカーは、マネの不在を埋める選手として考えているのでしょう。

ライバルクラブを見てみると…チェルシーとトッテナムは影響ゼロ。今季のヤヤ・トゥレはプレミアリーグ出場ゼロで、グアルディオラ監督を悩ませるほどの存在感はありません。エルネニーがいなくなるアーセナルは、ジャカ、カソルラ、コクラン、ラムジーと頭数も質も揃っています。マンチェスター・ユナ…エリック・バイリー！これは痛い。従前わかっていたことなのですが、連携がなく守備が不安定な今のチームから、最終ラインの中心を抜かれるのはやはり激痛です。

イギリスメディア「デイリー・メール」が、「Premier League clubs are set to lose to Africa Cup of Nations in Gabon」と題された記事で、1月14日～25日に開催されるガボンのアフリカ・ネーションズ・カップに出場見込みの選手をリストアップしてくれています。リヴァプ―ルとマンチェスター・ユナイテッド以外に、厳しい状況になりそうなクラブはあるのでしょうか。なるほど。エヴァートン、レスター、ウェストハム、サンダーランドですね。最も戦力ダウンになりそうなクラブをひとつ選べといわれれば、昨季プレミアリーグ覇者のレスターでしょう。

【プレミアリーグ2016-17　アフリカ・ネーションズ・カップ参加の可能性がある選手】
リヴァプール：マネ (セネガル)、マティプ (カメルーン)
チェルシー：なし
マンチェスター・シティ：ヤヤ・トゥレ (コートジボワール)
アーセナル：エルネニー(エジプト)
トッテナム：なし
マンチェスター・ユナイテッド：バイリー (コートジボワール)
エヴァートン：ボラシェ (コンゴ)、グイェ(セネガル),、ニアッセ (セネガル)
ワトフォード：アムラバト (モロッコ)、グエディウラ (アルジェリア)、ジェジェ (コートジボワール)
バーンリー：なし
サウサンプトン：ブファル(モロッコ)
WBA：ニョム (カメルーン)
ストーク：ボニー(コートジボワール)、ディウフ(セネガル)、ソブヒ (エジプト)
ボーンマス：アフォベ(コンゴ)、マックス・グラデル (コートジボワール)
レスター：マフレズ (アルジェリア)、スリマニ (アルジェリア)、シュルップ、アマーティ (ガーナ)
ミドルズブラ：アダマ・トラオレ (マリ)
クリスタル・パレス：バカリ・サコ(マリ)
ウエストハム：ディアフラ・サコ(セネガル)、クヤテ (セネガル)、フェグリ、 (アルジェリア)、アイェウ (ガーナ)
ハル・シティ：ムボカニ(コンゴ)、エルモハマディ (エジプト)
スウォンジー：なし
サンダーランド：エンドング (ガボン)、コネ (コートジボワール)、ワビ・ハズリ (チュニジア)、ジロポジ (セネガル)

昨季プレミアリーグで17ゴール11アシストのマフレズは、10試合1ゴールと数字を落としているものの、ゴールに向かって鋭く曲がってくるクロスは健在。このボールを決めてくれるスリマニもいないとなると、ラニエリ監督の選択肢は限られます。アマーティはカンテ離脱の穴を埋める選手で、シュルップを含む総勢4人は、サンダーランド、ウェストハムと並ぶプレミアリーグNo.1です。最下位から抜け出せないサンダーランドは、エンドングとハズリを欠いたら中盤がスカスカです。ジロポジはともかく、計算できるラミーヌ・コネの離脱も痛く、モイーズ監督は補強に走らざるをえないでしょう。ウェストハムは、今季プレミアリーグで全試合フル出場のクヤテのポジションをどうするかが最大の悩み。やっとケガが癒えたアイェウがチームになじむ頃にいなくなるのも、ビリッチ監督を悔しがらせるのではないでしょうか。

エヴァートンのボラシェとグイェ、WBAのニョムも、持っていかれたくない選手。リヴァプールはララナを右にまわし、中盤にエムレ・ジャンを置いてCBはクラヴァンかジョー・ゴメスにまかせることになるのでしょう。2年連続でリーグカップの準決勝に進出する可能性が高いクロップ監督は、初のタイトル獲得のために、初年度以上に負傷者を出さないように気をつけなければなりません。監督のマネジメント力が問われる1月。少し先の話ではありますが、抜けた選手の穴は埋まるのか、新しい選手の台頭はあるのか、注目してまいりたいと思います。