EL3回戦のエヴァートンはホームで1-0辛勝。積極補強の新チームを徹底チェック!
軽快なパスワークでデンジャラスアタック30回、シュート19本とフィニッシュには持ち込めていたエヴァートンは、枠を抑えることができずに苦戦。64分、クリアを拾ったレイトン・ベインズが思い切りよくミドルを放つと、相手の足に当たってコースが変わり、GKが逆を取られてようやく先制。ゴールシーンはこの1回しかなく、最少得点差でセカンドレグに向かうことになりました。ホームチームのスタメンをチェックしましょう。GKは34歳になったステケレンブルク、最終ラインのクコ・マルティナ、マイケル・キーン、アシュリー・ウィリアムズ、レイトン・ベインズは、8月12日の開幕節のストーク戦でもこの顔ぶれでしょう。中盤の底には、昨季プレミアリーグで最多のタックル数135を記録したグイェ。インサイドMFにはアヤックスから来たクラーセンとシュナイデルランが入り、中央とサイドをつなげます。トップにルーニー、両サイドにはカルヴァート・ルーウィンとミララス。試合開始から積極的にプレスをかけていたエヴァートンは、クラーセン、ミララス、ルーニーを中心としたテンポのいいパス回しが目立っています。
8分の攻撃は、クーマン監督が求める形のひとつでしょう。クラーセンがルーニーとミララスを連続でポストに使って中央に侵入すると、再度パスを受けたルーニーが右のカルヴァート・ルーウィンの走り込みに合わせます。切り返しから左足で上げたクロスはカットされますが、浮いたボールにクラーセンがヘッドで競り勝ち、ミララスがGKの前へ。慌てたクリジャリアクがあわやオウンゴールというミスキックをやらかしますが、ミララスに先着したGKマツィクが弾いてぎりぎりセーフ。速いパスワークからのサイドアタックというクーマン監督らしい戦い方が窺えたシーンでした。
この試合で目を引いたのは、ルーニーを除く3人の新戦力でした。既に王様のごとく中盤をコントロールしていたクラーセンは、同じアヤックスからプレミアリーグにやってきたひとつ年上の先輩エリクセンのようなパフォーマンスを見せてくれるかもしれません。ボールを前に運ぶ意識が強く、積極的に前線に飛び出す動きはエヴァートンの攻撃に厚みをもたらしていました。右サイドのクコ・マルティナは、セインツ時代にともに戦った指揮官の下で持ち前の攻撃力を活かせるのではないかと思います。この試合のようなオーバーラップを続けられれば、サポーターはシェイマス・コールマンの不在を忘れられるでしょう。最後方からの速い縦パスはマイケル・キャリックかと思いきや、同じマンチェスター・ユナイテッドでもマイケル・キーンのほうでした。視野の広いCBは、リトリートして自陣で奪うことが多いエヴァートンのビルドアップのクオリティを上げてくれるはずです。
圧倒的に押し込みながらもゴールが遠かったのは、左右からのクロスが単調だったからではないでしょうか。レイトン・ベインズ、クコ・マルティナ、カルヴァート・ルーウィンからのラストパスの多くは足元に届く高速グラウンダー。スペースに飛び込む選手を使うボールや空中で競らせるクロスが加われば、よりDFを困らせることができたのではないかと思います。ベンテケ、ジョレンテ、ジルーなどプレミアリーグでシーズン15発が期待できるターゲットマンを獲得できれば、三次元の攻撃によってオンターゲットを増やせるでしょう。とはいえ、ルーニー、クラーセン、カルヴァート・ルーウィン、クコ・マルティナが、ダイレクトを織り交ぜた速いパスワークでボックス脇を崩す攻撃は迫力がありました。この日は途中出場だったトム・デイヴィスのコンディションが上がれば、中盤のパス交換はさらに読みにくくなるはずです。
ストライカーを獲れれば、3-1-4-2もおもしろいと思います。前線にターゲットマンとルーニー、その後ろにクラーセンとトム・デイヴィスが並んでアンカーはグイェ、サイドを走るのはレイトン・ベインズとカルヴァート・ルーウィン。マイケル・キーンが、アルデルヴァイレルトのように前線とサイドに長短のボールを配してくれれば攻撃は多彩になります。プレミアリーグファンのみなさん、次のシーズンはぜひエヴァートンに注目してください。クーマン監督が掲げる目標は、もはやヨーロッパリーグ出場権ではないはずです。
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