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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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大物獲得派のコンテ監督VS若手育成派のレヴィ会長…移籍金の高騰を巡る舌戦は、実は奥深い!?

SBやレギュラーではなかった選手にも5000万ポンドというタグが付くこの夏のプレミアリーグについて、昨日「モウリーニョ監督とレヴィ会長が移籍金の高騰に危機感を表明!」と題した記事を書かせていただきましたが、スパーズの会長の主張に対してライバルクラブのマネージャーが疑問を投げかけています。「Chelsea boss questions Tottenham’s ambitions(チェルシーの監督はトッテナムの野心に疑問あり)」。イギリスメディア「BBC」の記事の主役は、アントニオ・コンテ監督です。レヴィ氏の「持続性がない移籍金による選手獲得が増えている。その総額が収益を超えれば、クラブに跳ね返ってくる」「違いを創れる選手がいなければ、アカデミーの選手にチャンスを与えたほうがいい」という見解に対して、就任初年度にプレミアリーグを制した指揮官は「タイトルを獲得したいなら、選手を獲らなければならないはず」「トッテナムは何を期待しているのか?」と疑問を呈しています。

まずは、コンテ監督のご意見に耳を傾けてみましょう。「トッテナムがすべての選手をキープできたらいいチームだ」「ハリー・ケインは世界的なストライカーのひとり。完璧だ。フィジカルが強く、ボールを持っていてもいなくても戦い続け、空中戦も強い。左右の足が使えてアクロバティックだ。ストライカーをひとり買えといわれれば彼だけど、1億ポンドはするんだろうね」。昨季プレミアリーグで優勝を争ったクラブとエースをリスペクトしたイタリア人指揮官は、ただほめたわけではなく、「彼にそんな値段がついていても、確かにビッグストライカーだと思うだけだ」と続けました。カイル・ウォーカーを買いにいったけど高かったと率直に語った指揮官は、それでもいい選手を獲らなければ競争の激しいプレミアリーグでは同じポジションにいられないと主張しています。

「トッテナムがチャンピオンズリーグに出場できなくても、それは悲劇ではない。チャンピオンズリーグの最初のラウンドで消えても悲劇ではない。ヨーロッパリーグにまわって最初のゲームでいなくなっても悲劇ではない」
「リヴァプールはよくわからないが、チェルシー、アーセナル、マンチェスター・シティ、マンチェスター・ユナイテッドなら悲劇だ。チームが置かれている状況を理解する必要がある」
「すべてのクラブが、自らの野望がどんなものなのか理解するべきだ。それがタイトル獲得だったりチャンピオンズリーグの勝利であれば、高価な選手を買わなければならないだろう。さもなくば同じレベルにいることはできなくなる。単純な話だ」(アントニオ・コンテ)

多くの日本のメディアが、「BBC」の記事をここまで紹介して、「高額選手獲得派VS安価な若手育成派」という図式にしておりましたが、実はイギリスメディアの解説はもう一段奥行きがあります。「Spurs waiting to make their move?」。直訳すると、スパーズは彼らが動くのを待っているのではないか?ですが、意訳はこうでしょうか。「レヴィ会長は腹黒いタヌキかもよ?」。記事にはおもしろいグラフが掲載されています。「最近数年の移籍市場で、トッテナムがいつ選手を獲得したか」。これを見ると、7月までに4人以上獲得した年はゼロなのに対して、2012-13シーズンは8月に4人、2013-14シーズンは5人獲っています。

「レヴィはしばしば動き出しに時間がかかることがある」「昨年の8月は、ウインドウが締まる最後の数時間でムサ・シソコの3000万ポンドをニューカッスルに支払っており、エンクドゥーとポー・ロペス獲得もその日の早い時間だった」。ソン・フンミン、エリック・ラメラ、ウーゴ・ロリス、クリント・デンプシーをすべて最終日に獲ったやり手の会長は、困ったフリをしてマーケットに揺さぶりをかけているだけであり、「8月に突然別人になってロス・バークリーをはじめ次々と大物ゲット」などと変貌するかもしれません。

と、こう書くと、コンテ監督がレヴィ会長の仕掛けにはまってコメントしてしまったようにもみえますが、私は、こちらも策士なのではないかと推測しています。プレミアリーグ王者の指揮官が異を唱えた相手は、スパーズの会長ではなく自クラブの経営陣なのではないか…⁉リュディガー、バカヨコ、モラタを獲ったとはいえ、層の薄いWBや前線にはさらなる新戦力を補いたいところ。優勝したからといって、財布の紐を締めるのはやめてくれ。プレミアリーグとチャンピオンズリーグを両立させるには頭数が足りない。マンチェスターを見ろ、彼らはまだまだ選手を獲ろうとしているじゃないか。…コンテ監督が、特段絡まなくてもよかった話にムキになった動機はこちらにあったと考えればすっきりします。いかがでしょうか?以上、推測ではありますが、なかなか味わい深い記事でございました。

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“大物獲得派のコンテ監督VS若手育成派のレヴィ会長…移籍金の高騰を巡る舌戦は、実は奥深い!?” への4件のフィードバック

  1. とあるチェルシーファン より:

    そうなんですよねー このタイミングでこのコメント。。ライバルをあおったり 否定しない善人キャラ(?)の監督が どうしてこんな発言をしたのか腑に落ちなかったですが管理人さんのコメントを聞くと納得してしまいます。
    でも。。。真意に気づくひとがどれだけいるか。。内部に対してはハッキリ言った方がいい気がします。
    スパーズも「ほっとけや!!」って思うでしょうし。んーーーなんか逆効果。。

  2. プレミアリーグ大好き! より:

    そんなに裏を読まず、ただ単に煽っただけ派の私です
    ダーティなイメージはないですが、別段善人というイメージもないですからね
    なんだかんだスパーズを警戒してて、つい余計なことを言っちゃったとかじゃないですか?

    —–
    それとなくディスられるリバプール笑

  3. シャーザー より:

    ユベントスでも補強のことでフロントと衝突した人間なので私もチェルシーフロントに対するプレッシャーだと思います
    勝つためには高価な選手も買わなければいけない→フロント金出せやってことにしか見えませんね

  4. makoto より:

    あるチェルシーファンさん>
    ポチェッティーノ監督は余裕の返しでしたね。ライトでユーモアある指揮官の舌戦は面白いので大歓迎です。

    プレミアリーグ大好き!さん>
    ここまで踏み込むことはなかなかない方なので、裏読みしました。

    プレミアリーグ大好き!さん>
    コンテさん、ひとこと多かったですね。

    シャーザーさん>
    ですよね。このトーンは珍しいです。

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