イングランドのプレミアリーグ(ときどきチャンピオンズリーグ)専門ブログ。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプールetc.

偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

「スカイスポーツ」が過去22年を分析!プレミアリーグを制するのは攻撃力か、守備力か?

プレミアリーグ3節の注目は、マンチェスター勢が登場する土曜日よりも、チェルシーVSエヴァートン、リヴァプールVSアーセナルが行われる日曜日です。「スカイスポーツ」が、このタイミングで「Does attack or defence win Premier League titles?(プレミアリーグのタイトルを制するのは、攻撃か守備か?)」という企画をもってきたのは、魅力的なアタックと脆い守備陣という共通項があるクロップ監督とヴェンゲル監督のチームが激突するからでしょう。「サー・アレックス・ファーガソンはかつてこういった。”攻撃はゲームの勝利を呼び、守備はタイトルをもたらす”。これは本当か?」と、迫力ある前説で記事は始まります。この問いに対して、アダム・スミス記者は結論から明示しています。「Yes they can」。リヴァプールとアーセナルは、プレミアリーグのタイトルを充分めざせる、と。興味深いその論陣を追いかけてみましょう。

当然のことながら、過去のプレミアリーグ王者は攻守ともに強いチームが多いのですが、攻撃が優れているクラブがより多かったというのが、1995-96シーズン以降のチャンピオンの数字を分析した記者の主張です。優勝したクラブのゴール数ランキングは、平均で1.42。22クラブのうち14がゴール数第1位でシーズンを終えているのに対して、失点数のランキングでは2.41。最高のディフェンス力を誇ったチームは9つしかありません。チェルシー、レスター、チェルシーと守備力が高いチームがトロフィーを手にしているここ数年からプレミアリーグを見るようになった方は、意外に思われるかもしれません。攻撃力優位のカルチャーをリードしていたのは、2013年に表舞台から去ったサー・アレックス率いる赤いクラブでした。

1995-96シーズンは失点の少なさは3位、ゴール数は1位。翌シーズンは失点7位、1999-2000は6位、2010-11は3位、ラストシーズンとなった2012-13は5位と、名称が指揮を執ったマンチェスター・ユナイテッドは、5シーズンをゴール数1位&失点数は3位以下で優勝しています。「Sir Alex was the master for winning titles with an inferior defence(サー・アレックスは、劣った守備力でタイトルを制する名人だった)」。過去22年間で、攻守ともにリーグTOPの数字を残したクラブは5つしかありません。2003-04を無敗で制した「ザ・インヴィンシブルズ」アーセナル、2005-06のモウリーニョチェルシー、2001-02とCLを制した2007-08の2回記録したマンチェスター・ユナイテッド、最終節の追加タイムに決めた奇跡的な2ゴールでプレミアリーグ創設以来の初優勝を遂げた2011-12のマンチェスター・シティ。こうして並べてみると、最多ゴール&最少失点のチームはどれもスペシャルだったと思い知らされます。

「スカイスポーツ」のレポートとデータを見て気になったのは、ここ2年のリーグチャンピオンであるチェルシーとレスターが、ゴール数も失点数もリーグ1位ではないことです。2009年から2014年までは5シーズン連続で最もゴールが多いクラブが優勝しており、「守ってカウンター」を基本とするモウリーニョ監督第二次政権のチェルシーが頂点に立った2014-15シーズンから、明らかに潮目が変わっています。ポゼッションからカウンターへ。中堅・下位クラブの強化で「取りこぼさないこと」の重要性がUP。守備戦術に長けたモウリーニョ、ラニエリ、コンテのチームはいずれもレギュラー固定で勝負強く、12試合以上連続無敗と勢いに乗った季節を過ごしたチームでもありました。対して、この時期の攻撃力を売りにしたチームは、昨季リーグ・アンを制したモナコのように圧倒的な得点力を誇示するほどではありませんでした。クロップ監督とヴェンゲル監督のチームは、攻撃的ではあっても「攻撃力No.1」を数字で示すことはできませんでした。

日曜日にぶつかるアーセナルとリヴァプールには、共通する3つの興味があります。アレクシス・サンチェスとコウチーニョという絶対的エースを残留させられるのか。ラカゼット&コラシナツと、サラー&ソランケという補強で攻撃力は向上したのか。ファン・ダイクやアンカー獲得で守備力強化をめざすのか、さらなるアタッカーをゲットして破壊力UPをめざすのか。両者のサポーターの多くが、脆さが目立つ守備を懸念されているのだと思われますが、アラン・スミス記者が「Yes they can」と胸を張るのを見ると、彼らに必要なのは存外オーバメヤンやディ・マリアのような圧倒的な個人力なのかもしれません。日曜日は、どちらが勝つにしてもスリリングな殴り合いを期待したいと思います。プレミアリーグ制覇を予感させるような、素晴らしいアタックを。

おもしろいと思っていただけた方は、お時間あれば、下のブログランキングバナーをクリックしていただけると励みになります。所要時間は5秒です。何とぞよろしくお願いいたします!

おもしろいと思っていただけた方は、お時間あれば、下のブログランキングバナーをクリックしていただけると大変うれしいです。所要時間は5秒です。何とぞよろしくお願いいたします!


“「スカイスポーツ」が過去22年を分析!プレミアリーグを制するのは攻撃力か、守備力か?” への3件のフィードバック

  1. プレミアリーグ大好き! より:

    単純に総得点を攻撃力ととらえるのどはなく、シーズン20ゴール以上で得点王を狙える選手がいたか、とかの視点でみても面白そうですね
    あとは優勝チームの失点を比べて、何失点以下で優勝してるチームが多い、とかいうのも見えてきたとしたら、失点数の順位より、一定以上失点を重ねないある程度の守備のクオリティーが重要ということになり、ファーガソンの発言も納得できるものになる気がします
    データに関する記事を見ると色々考えさせれて楽しいですが、自分からはなかなか見にいかないという自分のものぐささを自覚させられます(笑)

  2. makoto より:

    プレミアリーグ大好き!さん>
    確かに!「勝ち点40が残留ライン」のように、失点20以下なら…、20点のストライカーと10点のMFが…などなど、「定説」が増えれば注目ポイントが増えますね。

  3. アイク より:

    いつも楽しく読ませていただいてます。
    この記事によく似た構成で少し薄めたようなヤフー記事を、先ほど見かけました。
    ご本人だと良いのですが。

    https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170827-00010014-theworld-socc

コメントを残す