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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

均等か、傾斜か…膨らみ続けるテレビ放映権料を巡って、プレミアリーグの20クラブが激論中!

2017年10月4日、プレミアリーグ全20クラブの代表がロンドンに集結し、テレビ放映権料に関する会議が行われました。議題は、国外における放映権料の分配方法について。現在は100%均等分配となっており、プレミアリーグ2016-17シーズンに参加したクラブは、等しく3900万ポンド(約57億3000万円)を受け取っています。

これに異を唱えるのは、マンチェスター・ユナイテッド、マンチェスター・シティ、リヴァプール、トッテナム、アーセナル、チェルシーのTOP6を中心とした経済力のあるクラブです。彼らは、世界的な市場性と投資額に沿った分配がなされるべきだと主張しています。平たくいえば、「海外でのプレミアリーグ人気は、自分たちの企業努力によって高まったものなのだから、その分の恩恵を受けるのは当然だろう」ということです。これに対して、下位クラブの多くが反対しているのですが、その主張は「自分たちの取り分を減らすな」というエゴイスティックなものではなく、「上下格差が広がり競争性を失うから」。現在、プレミアリーグ6位と健闘しているバーンリーのショーン・ダイチェ監督は、「均等にするべきかといわれれば、イエスだ。理由は競争の観点のみ。元より不均衡な争いだとわかっているが、さらに傾斜をかければ、今以上に金がトップレベルのサッカーの競争力を支配することになる」とコメントしています。

傾斜配分派は、TOP6に加えてエヴァートン、レスター、ウェストハム。残りの11クラブは均等配分を主張しており、全体の70%にあたる14クラブの支持がなければ、ルールを変更することはできません。この議論について、プレミアリーグは「35%を順位テーブルに基づく傾斜配分とし、残りの65%は均等分配」という案を提示。会議の前週にTOP6を除く14のクラブが集まり、プレミアリーグのエグゼクティブチェアマンのリチャード・スクーダモア氏を招いて、リーグからの提案内容を説明する場が設けられました。これを受けて開催された4日の会議では結論は出ず、全会一致で決議したのは引き続き討議するということだけでした。次の会議は、10月下旬に開催されることになっています。

一部のメディアが、「この議論が決裂すれば、TOP6がプレミアリーグを脱退して欧州スーパーリーグ構想に加わる可能性がある」とセンセーショナルに報じていますが、カタルーニャの独立問題が欧州のリーグ再編の呼び水になることはあっても、国外限定の放映権料配分がトリガーになることはないでしょう。「スカイスポーツ」は、プレミアリーグの国際放映権料の価値は今後10年にわたって年間15%の伸びを見せ、3年後には現在の額から40~45%UPする見通しがあると報じています。南アフリカの「SuperSport」は、2016年~2019年に年間8400万ポンド(約123億円)だった放映権料について、2019年~2022年には1億6800万ポンド(約247億円)まで上げることに合意。中国では、現在SSMGが支払っている年間1300万ポンド(約19億円)が、2019年~2022年のPPTVとの契約で年間1億8000万ポンド(約265億円)に膨らむ可能性があるといわれています。今後も価値が上がり続けるプレミアリーグとチャンピオンズリーグのセットに対して、残留争いやマージーサイドダービーがない欧州スーパーリーグと参加クラブがかぶる新CLが、より収益性が高いといえるかどうかは微妙です。

現在はプレミアリーグで優勝を争っているマンチェスター・ユナイテッドが、欧州スーパーリーグに参加して中位~下位の常連クラブとなり、負け試合ばかりを見ることになれば心がついていくかどうか不安です。地元クラブを応援するサポーターがチャントをがなり合う国内リーグと、各国を代表する強豪クラブが激突するチャンピオンズリーグがある現状の欧州のシステムは、絶妙によくできていると思うのですが、いかがでしょうか。ともあれ、放映権料を巡る議論については、しばらくは経過観察です。

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“均等か、傾斜か…膨らみ続けるテレビ放映権料を巡って、プレミアリーグの20クラブが激論中!” への4件のフィードバック

  1. ホタ より:

    私はプレミアリーグの放映権料均等配分こそ、欧州内でプレミアリーグが最も競争的であり、最もエキサイティングなリーグで選手も資本も呼び寄せている現状の基礎にあると考えているので、傾斜配分には反対です。

    もちろん、TOP6クラブを中心とした言い分も理にかなっているし、個人的にはスパーズを応援しているので、そちらの方が腑に落ちます。

    ですが、欧州の大部分のリーグのように、プレミアリーグが「一部のメガクラブ」と「その他有象無象」に極端に二分化してしまったら、魅力が薄れ、いずれはヒトもカネも遠のいてしまうのではないかと危惧します。

    それでも私は

  2. グッチ より:

    トップリーグの中でも別格に優勝や残留が読めないから面白いプレミアで、放映権料の傾斜を強めるのは個人的には意味不明です。上位チームが「自分たちのおかげでPLが人気なんだ。」と言うのは真逆です。むしろここ数年欧州で低迷しているにも関わらず何故リーグは成長しているかを一度考えてほしいです。

  3. sini より:

    ユナイテッドやチェルシーをはじめとするビッグクラブの功績は評価さるべきと思いつつも、プレミアを盛り上げてくれているのは中小クラブであると思っていますので放映権料の均等配分派に同意です。寡頭支配のリーガのようにはなってほしくないなあと思うのです。
    ここにアストンヴィラがいたら、きっと傾斜派だったろうなあ、などとも妄想してしまいます。
    ニューカッスルが均等派なのが一番の驚きかもしれません。

  4. makoto より:

    ホタさん>
    「全体の何割かを順位テーブルベースでの傾斜配分」であれば、フェアなので悪くないあんだなとは思います。ただし、既に上位下位の差が開きつつあるので、傾斜がきつくなりすぎないようにしていただいたほうがいいですね。

    グッチさん>
    その視点は重要ですね。欧州スーパーリーグ云々の話になれば、特に。

    siniさん>
    私も、ニューカッスルはエヴァートンやハマーズの仲間だと思ってました。

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