パーデュー監督が「奇妙なシステム」と批判…VARの課題と今後について「BBC」がさっそく特集!
最初は前半20分、右からのCKをクレイグ・ドーソンが頭を突き出して押し込んだ際に、GKミニョレを腕で押さえていたギャレス・バリーのポジションがオフサイドだったのではないかという疑惑です。映像を見ると、最終ラインの裏に出ていたベテランMFは明らかに関与しており、主審のクレイグ・パーソンさんはゴールを認めず。2回めはその3分後、右からクロスが出た瞬間にジェイク・リヴァモアがモー・サラーの腕を引っ張って倒したようにみえたシーン。しばらく無線でやりとりをしていたレフェリーは、ピッチサイドのモニターを自ら確認し、3分のどよめきの後にPKを宣告しました。
47分のWBAのゴールシーンは、浮き球でボックス右から抜け出したドーソンのオフサイドをチェックしたのか、クロスに飛び込んだ選手たちのポジションが気になったのか。エムレ・ジャンの「チャレンジ(=このルールはありません)」を受けて2分間止めたようにも見えたこのジャッジは、リヴァプールに利するものにはなりませんでした。一連の運用に対してパーデュー監督が違和感を表明した理由は、1点です。「スタジアムにいると、起こったことの証拠を手に入れることができない」。アンフィールドの雰囲気の素晴らしさを何度も感じてきたプレミアリーグファンとしては、「スタンドの空気に影響を与えた」という現場の指揮官の指摘には納得です。テレビ観戦であれば、何度も繰り返す映像を見ていれば間が持ちますが、ライブで観ているサポーターにとっては、負傷者の応急処置が済むのを待っているような時間が7~8分あったという感覚でしょう。
「There’s no screen for us. So it’s not like tennis, when the ball’s in or out. We’re completely in the dark. Everybody’s in the dark. Is it a goal? Isn’t it a goal?(私たちのためのスクリーンがない。ボールはインかアウトかというテニスのようにはいかない。みんな闇の中だ。ゴールなのか?ゴールじゃないのか?)」
「BBC」の記事は、さざまざな評論家の意見を載せてメリット、デメリットと今後に向けての課題を浮き彫りにさせています。メリットは言わずもがなですが、プレミアリーグで導入するうえで課題となるのは、この3点ではないでしょうか。「ジャッジまでの時間をいかに短縮して、サポ-ターの盛り上がりを阻害しないようにするか」「スタジアムに詰めかけたサポーターに、ジャッジのポイントをどう伝えるか」「選手の抗議という実質的なチャレンジ行為をどう仕切るか」。あえて厳しい見方をすれば、ドーソンのヘディングシュートはビデオに頼らずオフサイドを取ってほしかったシーン。サラーの転倒時は、ピッチの真ん中でやりとりをしてからいくのではなく、迅速にモニター確認に走っていただければと思いました。
とはいえ、多くの方が「こういうことを始める際は、調整のための時間が必要」というように、現場のスタッフが慣れていけばスムーズに的確なジャッジを下せるようになるでしょう。導入すれば、プレミアリーグの試合の結果がより納得感の高いものになるのは間違いなく、今回の試験的な導入の結果をふまえて改善すべき点を明確にしていただければと思います。一方で、VAR導入はレフェリーのクオリティがより重要になるということでもあります。ビデオへの依存度の高まりが瞬間的なジャッジの質を落とすことにつながる可能性があり、レフェリーがしっかりしなければ、1試合に7~8回も微妙な時間を過ごすことになってしまうかもしれません。
「おそらく、彼は手を使ってゴールを決めたはず。VARが使われなかったことに驚いている」。新システムが導入されていたFAカップ3回戦のブライトンVSクリスタル・パレスで、グレン・マレーの微妙なゴールがビデオを介さずに決勝点となったことを、ロイ・ホジソン監督が残念がっていました。VARが導入されたとしても、活用してジャッジするかどうかを決めるのは人間です。これですべてが変わるといった過剰な期待をせず、「誤審やジャッジに対する不満はなくならないが、今までよりは格段に減る。それだけでもいいことである」というぐらいに捉えておいたほうがいいでしょう。アンドレ・マリナーさん、マレーのゴールは腕でプッシュしてます。いや、この競技は主審は絶対ですので、あくまでも「ビデオで見ると」ですが…。
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プレミアリーグしか見ないVAR初見の私には中々にストレスのたまるものでした。本格的に導入となるとプレミアリーグ特有のゲームスピードの速さという魅力が半減してしまうかもですね、興味深いレポートでした