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攻撃か、守備か?「BBC」のスタッツ専門家が、ビッグクラブの不振の要因をデータで分析!

Premier League: Are Arsenal, Chelsea, Spurs & Man Utd more vulnerable than ever?(プレミアリーグ~アーセナル、チェルシー、スパーズとマン・ユナイテッドはこれまで以上に脆弱化したのか?)」。2018-19シーズンの終盤戦で突如崩れ、未だ立て直せていない4つのビッグクラブについて、「BBC」が混乱の理由を分析しています。思い出せば、前シーズンのプレミアリーグTOP4を巡るバトルは、3位になりたくないクラブが譲り合いをしているような低レベルの戦いでした。2月から不振に陥ったスパーズは、ラスト12試合を3勝2分7敗。守護神デ・ヘアのスランプが話題になったマンチェスター・ユナイテッドは、3月のアーセナル戦で敗れてから2勝2分5敗で6位に沈みました。4月に失速したアーセナルは2勝1分4敗でシーズンを終え、チェルシーも最後の5試合を1勝3分1敗と停滞しています。

欧州の大会でファイナルに進出したロンドン勢は、プレミアリーグとの両立がうまくいかず、バルサに惨敗したマンチェスター・ユナイテッドは戦い方に迷いが生じてしまいました。夏のトランスファーマーケットは、忌まわしい失速を忘れるチャンスでしたが、アーセナル以外の3チームはうまく立ち回ることができずに終わっています。補強禁止処分を喰らったチェルシーはアザールを失い、ランパード新監督による若手活用のモデルチェンジの真っ最中。トッテナムは新陳代謝がうまくいかず、移籍志願の選手たちを残したまま新シーズンに突入しました。

エレーラ、バレンシア、ルカク、アレクシス・サンチェス、ダルミアン、スモーリングと主力を次々に手離したマン・ユナイテッドは、前線の新戦力がダニエル・ジェームズだけでは得点力不足もむべなるかな。負傷者続出によってさらに弱体化し、2勝2分3敗でプレミアリーグ12位という苦しい戦いを続けています。「BBC」は、8節までに4チームが積み上げた勝ち点がプレミアリーグ創設以来最少の49ポイントに留まっていることを指摘し、気になるデータをピックアップしながらそれぞれの不振の原因に迫っています。

抱えている課題が最も明確なのはマン・ユナイテッド。シュートの質が低く、ゴールが期待できるショットの比率はプレミアリーグ19位の7.6%です。サンダーランドを愛するスタッツ分析専門家と名乗る「BBC」のクリス・コリンソン記者は、「攻撃陣はチャンスメイクできずに苦しんでいるが、守備はトップクラス。マグワイアとワン=ビサカを獲ってルカクを売ったのだから、驚くべきことではない」とレポートしています。

最もやっかいなのは、主要スタッツが軒並み低下しているトッテナムです。ショット数、ゴールが期待できるシュート率、失点数、失点を覚悟すべきシュート率、打たれたオンターゲットといった指標が、ポチェッティーノ監督が指揮を執った過去5シーズンよりも悪化しています。「確実なことはいえないが」と前置きしたコリンソン氏は、「マネージャーとプレイヤーが長い間一緒にいる弊害の可能性あり。2014-15シーズン、すなわちポチェッティーノの初年度にいた選手が8人も残っている。マンチェスター・シティは3人、リバプールには2人しかいない」とマンネリのリスクを示唆。これが事実なら、大型補強や指揮官チェンジなどの抜本的改革に打開策を求めるしかないのかもしれません。

マン・ユナイテッドとは逆に、守備に問題があるのがアーセナルです。ヴェンゲル時代の最後の3シーズンは、1試合あたりの打たれたシュートは10~12本でしたが、エメリ初年度は13.1と増え、プレミアリーグ2019-20シーズンは17本と激増しています。ワトフォードに31本、リヴァプールに25本、バーンリーに18本を許した責任を最終ラインのみに背負わせるのは酷でしょう。エメリ監督が中盤の守備をどう改善するかが、TOP4返り咲きのカギとなるのではないでしょうか。

ノリッジ、ワトフォード、サウサンプトンの次に多い14失点のチェルシーについて、コリンソン氏が着目しているのは守護神ケパのスタッツです。セーブ率48%はプレミアリーグのレギュラーGKのなかで最悪。失点に値するシュートと、実際にゴールを許した数とのギャップはマイナス3.1となっており、セインツのアンガス・ガンしか下にいないブービーポジションに沈んでいます。アブラモヴィッチさんが来てから、8節で2ケタ失点を記録したのは2回めで、「モウリーニョのメルトダウン」で混乱の極みにあった2015-16シーズンの17失点に次ぐ厳しい数字です。「BBC」のスタッツ専門家は、「フランク・ランパードは、若いチームがアリザバラガの仕事を少々ラクにしてくれることを望んでいる」と、最終ラインのクオリティに原因を求めています。

コリンソン氏のレポートをまとめると、チェルシーは若手の伸びしろに期待、アーセナルはエメリ次第、マン・ユナイテッドは前線の補強が必要、トッテナムは夏に着手し始めた改革を継続すべしといったところでしょうか。指揮官のマネジメントスキルと、若手の成長や負傷者復帰による改善余地を掛け合わせると、チェルシー、アーセナル、トッテナム、マン・ユナイテッドという並びになるのではないかと見ております。いかがでしょうか。やはりトッテナムが読みづらいですね。ポチェッティーノ監督が、停滞したまま終わるわけはないと思うのですが、果たして…⁉

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“攻撃か、守備か?「BBC」のスタッツ専門家が、ビッグクラブの不振の要因をデータで分析!” への1件のコメント

  1. プレミアリーグ大好き! より:

    今季に入ってからケパのセーブ率が気になっていましたが、数値として見てみるとやっぱり低い…というか予想以上でした。
    ケパにとってはCBの顔ぶれが去年と全く違う、ということで連携面の一時的な影響であると願っているのですが…

    逆にこれだけ守備が脆いながらもなんとか5位につけていることは評価したいですね!

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