レスターの2度めの戴冠はあるのか?「BBC」がラニエリとロジャースのチームを徹底比較!
2015-16シーズンの最強チームは、10節までで得点20失点17。半分の5試合で2失点以上を喫しており、この後の28試合を21失点で終える堅守の予兆はありませんでした。ラニエリ監督の最大のお手柄は、当初レギュラーだったデリートとシュラップのSBコンビを見限り、守備に長けたダニー・シンプソンとクリスティアン・フクスを抜擢したこと。5節までサブの選手だったエンゴロ・カンテは、運動量と守備力を評価されてトップ下からセントラルMFにコンバートされ、堅守速攻のチームが完成しました。
ブレンダン・ロジャースの2019-20モデルは、マン・シティに次ぐプレミアリーグ2位の25ゴールを挙げており、8失点は首位レッズやシェフィールド・ユナイテッドと並んでリーグ最少です。ベグレイさんは、両者の対戦相手についてもデータを取っています。2015年のチームが最初の10試合で当たったチームは、10節終了時の平均順位が11位。今季は10位で、ビッグ6に対しては1勝1分2敗ですが、どの試合も互角に渡り合っています。大きく違うのは、首位に立っているチームの強さです。2015-16シーズンは、1位のマン・シティから5位まで3ポイント差のダンゴレースでしたが、2019-20シーズンのリヴァプールは未だ無敗で8ポイント差をつけられています。
「BBC」の記事は、ここからがメインテーマ。ラニエリとロジャースの戦術分析です。ジェイミー・ヴァーディーと岡崎慎司を前線に固定した4-4-2のラニエリに対して、ロジャースのスカッドは4-1-4-1と4-1-2-3を併用する流動的なスタイル。イタリア人はポゼッション42%のカウンターサッカーで、北アイルランド出身の若き指揮官はリーグ3位の59%を占有するパスサッカーです。無名の選手をかき集めた4年前のチームは、ショートパスが2630本、ロングパスは696本。ショートパスの本数はプレミアリーグ最少で、21%がヴァーディーやマフレズを走らせるロングボールです。
これに対して、現在のチームのショートは4872本でリーグ4位。ロングは559本と10%に留まっています。優勝したシーズンまでにプレミアリーグ通算5ゴールという数字しか残せてなかったヴァーディーは、今や絶対的なエース。アヨゼ・ぺレス、ハーヴィー・バーンズ、ジェームズ・マディソン、ユーリ・ティーレマンスの手厚いサポートで9発を決め、得点王争いのTOPに立っています。
ラニエリのチームは、ボールを奪われるとすぐさまリトリートし、低いブロックでクロスを回避するスタイルでした。両サイドやカンテがカットしたボールは、岡崎慎司やマフレズを経由してヴァーディーに届きます。「クリーンシートを達成したらピザをおごる」と公言した指揮官はひたすら守備重視で、10節のクリスタル・パレス戦の後に約束を果たしました。「目標は40ポイント」が口癖で、降格回避がミッションであるという姿勢を崩しませんでした。
ロジャースのチームで左サイドを担うベン・チルウェルは、「TOPになるためにここにいる」と強気なコメントを残しています。カンテより展開力があるエンディディが前方にボールを散らし、551本のパスを記録しているティーレマンスが攻撃にリズムをもたらしています。マフレズやオルブライトンのような正統派のウインガーではなく、中央志向で流動性が高いジェームズ・マディソン、ハーヴィー・バーンズ、アヨゼ・ぺレスが活躍しているのも特徴のひとつです。
守備のスタッツも、ロジャースとラニエリの違いを表しています。2015-16シーズンのフートがチーム最多のタックル17回だったのに対して、リカルド・ペレイラは46回、チャグラル・ソユンチュは24回。現在のチームには、フートのシュートブロック9回とクリア80本に届く選手はおらず、「スペースを埋めてパスをカットするラニエリVS積極的に獲りにいくロジャース」という図式が成立しています。
無名の選手たちに守備戦術を徹底させ、無欲の優勝を遂げた4年前より今のチームのほうが強そうに見えますが、レスターは2度めの戴冠に届くのでしょうか。イアン・ライトさんは「後ろから前まで、すべて素晴らしい。マンチェスター・シティとリバプールが滑り落ちたら、一貫性が高い彼らが勝つ可能性がある」。クリス・サットンさんは否定的で、「最大の違いはおそらくカンテだ。ここまではよくやっているけど、たった10試合でその話は時期尚早。彼らは今年リーグに勝つつもりはない」と語っています。
優勝といわれると「相手が悪い」と及び腰になりますが、4年前よりエキサイティングでおもしろいチームであることは間違いありません。どこまでいけるか、ブレンダン・ロジャース。週末のクリスタル・パレス戦が、今から楽しみです。
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アーセナルファンとしては歯がゆい気持ちもあるのですが、レスターを含めウルブス、パレスなど「今まで格下だと思っていたチーム」がとても魅力的なサッカーをしていることが当たり前になってきました。
レスターに至っては、アーセナルよりも“塩試合”と呼ばれる試合は少ないでしょう。
「どうせ優勝できないのならば」という仮定なら魅力的なゲームを演出してくれるチームを応援したくなりますよね。
そんなレスター戦がアーセナルに迫っていて戦々恐々としております。。。。