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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

1超1強18弱…プレミアリーグのビッグ6を崩壊寸前に追い込んだ「補強締め切り前倒し」総括!

昨日の午前中より、ブログプロバイダーの管理画面に障害があり、2本めの記事をUPすることができませんでした。夜になってようやく復旧しましたので、本日は3本お届けいたします。

2019年の春、プレミアリーグのクラブはわが世の春を謳歌していました。チャンピオンズリーグではリヴァプールとトッテナムが欧州の頂点を争い、ELの決勝はチェルシーVSアーセナルのビッグロンドンダービー。スペイン勢の不振もあり、ファイナルを独占したプレミアリーグが復権を果たしたかに見えたのですが、CLやELでの華々しい成果の裏で、静かに崩壊が始まっていました。あらためて、昨季プレミアリーグの終盤戦の戦績を並べてみましょう。マンチェスター・ユナイテッドが2勝2分5敗、チェルシーはラスト5試合を1勝3分1敗と停滞。トッテナムは2月末からの12試合を3勝2分7敗で終えており、アーセナルも4月に入ってから2勝1分4敗と苦しみました。

マンチェスター・シティは14連勝、リヴァプールは9連勝と2強はハイレベルなデッドヒートを展開していたのですが、彼らを追うはずだった4つのクラブが同時に崩れてしまったのはなぜでしょうか。マン・ユナイテッドとトッテナムは、夏のデッドラインデーの前倒し初年度における補強の不調が響き、チェルシーとアーセナルは新しい指揮官と選手との間に溝ができてしまったのが最大の理由だったと思われます。

補強ゼロだったスパーズは、中盤とSBの綻びを埋められる選手を欠き、マン・ユナイテッドはフレッジとジオゴ・ダロトがフィットしませんでした。前者はデル・アリ、後者はデ・ヘアと主軸のスランプの影響も厳しく、チームを立て直すことができずに不本意なシーズンを終えることになりました。ポゼッション重視のサッリボールにはジョルジーニョつぶしという対策が浸透し、サポーターの不人気に耐えることができず。エジルとミキが機能しなくなり、ラムジーが負傷でひと足先にシーズンを終えたアーセナルは、ムスタフィの混乱やルーカス・トレイラの停滞も手伝って、収穫なきままにオフシーズンに突入しています。

2019年の夏も、マーケットの締め切りがプレミアリーグの開幕前に設定されていました。既にチームが出来上がっていたリヴァプールを除く5クラブは、ルール改変2年めも的確な補強ができずに本番を迎えることになりました。マンチェスター・シティはコンパニの代役を獲れず、トッテナムもトリッピアーが抜けた右サイドを強化できずにシーズンイン。最終ラインにマグワイアとワン=ビサカを加えたマン・ユナイテッドは、ルカクやアレクシス=サンチェスが去った前線には的確な答えを出せませんでした。チェフ、コシールニー、モンレアル、ラムジー、ミキ、イオビ、ウェルベック…キャプテンシーと経験値がごっそり抜け落ちたガナーズは、若手のブレイクという不確定要素を頼りにするしかありませんでした。

フランク・ランパードを招聘したチェルシーは補強禁止のペナルティを受けており、アザールを手離し、プリシッチが合流という心もとない状態でスタート。弱点強化がままならなかった5チームと、完成度が高まっていたレッズのバトルは想像以上の差が開きました。現在、プレミアリーグ3位に食い込んでいるレスターと、ELでグループステージ突破を果たしつつ9位につけているウルヴスは、2018-19シーズンに的確な補強をリスペクトされていたチームです。

昨季はモウリーニョとサッリがクラブを追われ、今季はエメリとポチェッティーノが解任の憂き目に遭っています。マンチェスター・ユナイテッド、チェルシー、アーセナルは、若きOB監督という新機軸で長期的な強化を図っていますが、彼らが名将と呼ばれる存在になりえるかは誰にもわかりません。プレミアリーグは、3年前とは全く違う景色となりました。

リヴァプールは盤石、マン・シティは6敗を喫しながらも、今まで積み上げてきた貯金を活かして2位をキープ。残りの4チームは全部足しても7つしか勝ち越していないカオスのシーズンです。最強ユースの成長株を次々とブレイクさせたランパード監督のチェルシーは、次の夏に補強を成功させれば優勝争いに復帰する可能性がありますが、スパーズ、ガナーズ、マン・ユナイテッドはもうしばらく時間がかかりそうです。

ビッグ6、崩壊寸前。今いえるのは、「プレミアリーグのみ補強締め切り前倒しという理不尽なルールが、2年で終わってよかった」のひとことです。2015年の夏にチェフしか獲らなかったヴェンゲル監督が、2016-17シーズンからCL出場権を獲得できなくなったのを思い出します。夏に10代の原石しか加えなかったレッズは、冬の新戦力は南野だけでよかったのでしょうか。戦い続けているうちに生じた弱点を解消し、チームにフレッシュな風を送り込む補強という施策に失敗すれば、強いチームも1年でダメになることがわかった貴重な2シーズンでした。輝きを取り戻してほしいクラブたちの夏の巻き返しに期待しましょう。

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