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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

プレミアリーグは2クラブ!? UEFA事務局長が会見「ファイナンシャル・フェアプレー抵触は76クラブ」(前篇)

UEFAのインファンティーノ事務局長が今週頭に会見し、ファイナンシャル・フェアプレー(私はフィナンシャルと書いていましたが、昨今はこちらの表記が一般的のようです)の目的を「強欲で無謀な支出や財政的愚行の阻止」とあらためて明言。現在、UEFAの主要大会に出場しているクラブの1/3に相当する76クラブに、財務状態に関する追加の説明を求めているとコメントしました。このニュースに、イギリスのメディアは即座に反応。「スカイスポーツ」「メールオンライン」などの報道によると、以前から指摘があったマンチェスター・シティやパリ・サンジェルマンに加え、プレミアリーグではチェルシーも該当しているといわれているようです。

ファイナンシャル・フェアプレーのルールについては、以前に掲載した「えっ!?マンチェスター・シティが来季チャンピオンズリーグ出場権を剥奪されるってホント?」を読んでいただくといいと思います。昨年の8月にUEFAが行った報告によると、ファイナンシャル・フェアプレーの対象初年度となる2011年には、プレミアリーグを含む欧州クラブの総負債額は36%減少。移籍金の総額は、2007-2008と比較して、2011-12は14%減少。移籍金ならびに選手へのサラリーの未払い額は47%も減るなど、欧州各クラブの経営健全化への好影響が出ているとしています。いちばん重要なのは、「収入の伸びが人件費の伸びを上回った」という記述でしょう。サッカー界にとっての最大のリスクは「収益を上回るお金が、サッカー界の外へ流出し続ける」ことなので。象徴的だった、スペインのマラガの凋落と2013-14シーズンのヨーロッパリーグ追放のような出来事が2度と起こらないためにも、ファイナンシャル・フェアプレーが推進されることは重要です。プレミアリーグ中心で観ている方の中には、マラガといわれてもピンとこない方もいるかもしれませんが、「トッテナムがヨーロッパリーグに出られなくなった」といわれたようなもの、といえば、その影響の大きさは何となくつかめるのではないでしょうか。

一方で、ファイナンシャル・フェアプレー導入を契機に、凋落してしまったクラブもあります。マラガは「過度な投資が仇となって税金まで払えなくなった」という極端なケースですが、セリエAのミランの2クラブは、完全に「EL出場権を争う小さなクラブ」となってしまいました。インテルは、モウリーニョ監督でチャンピオンズリーグを勝ったチームから、エトーやスナイデルを次々と放出。ACミランは、ガットゥーゾ、ネスタ、ファン・ボメル、ピッポ・インザーギと功労者を切り続け、あげくの果ては、チームに残りたいといっていたチアゴ・シウヴァとイブラヒモヴィッチまでパリ・サンジェルマンに放出することになりました。

スタジアムが借り物でインフラが脆弱、オーナーのポケットマネー次第だった彼らに、選手を売る以外の選択肢はなかったのでしょう。インテルに続き、ミランまでクラブの売却先を探していると報じられています。この状況をみると「本田圭祐は重要な選手」といっていたACミランの言葉は、「移籍金がかからず、サラリーに文句をいわない選手しか獲れない」というふうに聞こえます。かくして、カタール観光局から1000億円以上のアシストを受けて、カバーニまで獲得したパリ・サンジェルマンは「セリエA連合軍フランス支局」と化し、チャンピオンズリーグ優勝をめざして爆走中。ファイナンシャル・フェアプレーは、その運用を間違えると、オイルマネーを受けたクラブとそうでないクラブの格差をいたずらに広げることにもなりかねません。今後は、「サッカー界への投資を一定守りながらも、公正さを損なうような実質的な”裏金”をどう取り締まるか」というテーマも大事になってきます。

さて、長くなりそうですので、いったんここで前篇を切らせていただきます。次回後篇は、「どうする!?どうなる!?マンチェスター・シティとファイナンシャル・フェアプレーの未来(後篇)」と題して、プレミアリーグのなかで注目されているマンチェスター・シティの現状と、FFP周辺のテーマに関する私見を述べさせていただければと思います。では、後ほど。

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