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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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あの女性実業家が暗躍!? サウジアラビアの巨大資本がニューカッスル買収間近!

This is a chance to become a seriously big club again(再び真のビッグクラブになるチャンス)」。イギリスメディア「ガーディアン」の見出しは、決して大げさではないでしょう。5年後のプレミアリーグでは、ビッグ7という言葉が当たり前に使われているかもしれません。数年前から何度も憶測が飛び交っていた、ニューカッスルの買収話がようやく決着するようです。悪名高きマイク・アシュリーオーナーと交渉しているのは、アマンダ・スタベリーさん。彼女の名前を聞いて、2008年のシェイク・マンスールさんのマンチェスター・シティ買収を思い出した方は、かなりのプレミアリーグマニアです。47歳の女性実業家がトップに君臨する「PCPキャピタルパートナーズ」がクラブとの交渉を主導し、妥結した条件は3億ポンド(約404億円)と報じられています。

この数字を見ても、2008年のマンチェスター・シティが2億1000万ポンドだったと聞いても、ピンと来ない方も多いでしょう。「ガーディアン」「BBC」「テレグラフ」が着目しているのは、買収額ではなく、株主たちの顔ぶれです。フロントマンの役割を果たしたアマンダ・スタベリー氏は10%のみで、サイモン&デイビッドのルーベン兄弟が10%。最大のトピックスは残りの80%で、サウジアラビア公的投資基金(PIF)という巨大な資本のプレミアリーグ参入です。

300億ポンド以上の個人資産があるといわれるシェイク・マンスール殿下に対して、PIF代表でサウジアラビア王太子のムハンマド・ビン・サルマーンさんは70億ポンド(約9400億円)ですが、「BBC」によると、PIFの総資産は2508億6000万ポンド(約33兆9000万円)。王太子が推進する「ビジョン2030」というプロジェクトは、経済改革を目的としており、そのなかでもスポーツイベントは、サウジアラビアが開かれている国であることを示す重要なアイテムとされています。400億ポンドを投じて紅海の沿岸に都市を建設し、ゴルフ、テニス、レスリング、スペインスーパーカップ、2023年のF1サーカスもスポンサードする大富豪にとって、ニューカッスルをプレミアリーグのトップクラスに押し上げるぐらいは大した出費ではないのかもしれません。

今回の買収劇について、「ニューカッスルはサウジアラビアのプロモーションツールに堕するのではないか」「イエメン紛争に関与するサウジアラビアがクラブに投資するのは、深刻な問題につながるのではないか」と訝る向きがあり、プレミアリーグのオーナーたちの調査は慎重に行われるともいわれています。そうなると、ニューカッスルのファンとして知られているアマンダ・スタベリー氏の出番となるのではないでしょうか。アブダビ資本がマン・シティに入った際に、実務を仕切った辣腕の実業家が、イングランドのキーマンの理解を求めて動くはずです。

マイク・アシュリーが君臨した13年は、ニューカッスルにとって暗黒の時代でした。プレミアリーグのTOP10フィニッシュはわずか1回で、チャンピオンシップに降格すること2回。クラブの強化に消極的だったオーナーに対して、2016年3月に招聘されたラファエル・ベニテスも失望し、3年3ヵ月で去っていきました。自らが代表を務める「スポーツ・ダイレクト」の宣伝にクラブを利用しているという批判を受け続けたビジネスマンのリタイアを見て、クラブに背を向けていた古いサポーターが戻ってくるのではないでしょうか。サポーターの関心は、「次のマーケットでどんなメガスターがやってくるのか?」に移りつつあります。

52354人を収容するセント・ジェームズ・パークと、情熱的なサポーターという貴重な財産を有するニューカッスルに巨大資本が入ったら、スタンフォード・ブリッジの収容力になやむチェルシー、補強資金不足に泣くアーセナル、新スタジアム建設のローンを抱えるスパーズにとっては脅威です。買収スキームは首尾よく完了するのでしょうか。かくいう私も、近年冴えないマンチェスター・ユナイテッドの未来を案じつつ、「マウリシオ・ポチェッティーノやマッシミリアーノ・アッレグリを持っていかないでくれ…」と祈るばかりであります。


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