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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

アザールを失ったチェルシーは2年でCL制覇。ハリー・ケインを売ったらスパーズは…!?

2019年の夏、チェルシーはエデン・アザールを手離しました。移籍金は非公開でしたが、当時のイギリスメディアは1億ポンドにアドオン3000万ポンドが付いていると報じています。レアル・マドリードにエースを引き抜かれたのは、最悪のタイミングでした。過去に行った18歳以下の選手との契約がルール違反とされ、1年間の補強禁止処分を受けた直後だったからです。

プレミアリーグの評論家の多くが、TOP4からの陥落を危惧しました。マリナ・グラノフスカイヤCEOは、アザール以外にもダヴィド・ルイス、オラ・アイナ、トマシュ・カラスなど8人を売却しています。マーケットで得た総額は、1億4600万ポンド。1月にもタリク・ランプティら3人を放出し、850万ポンドを手に入れました。

今、振り返れば、フランク・ランパード招聘というギャンブルは大成功でした。プレミアリーグにおける監督経験ゼロのレジェンドは、タミー・アブラハム、メイソン・マウント、フィカヨ・トモリ、リース・ジェームズといった若手をブレイクさせ、CL出場権を死守しました。2年めの夏には、アトレティコ・マドリードに貸し出していたアルバロ・モラタを5000万ポンドで売却。ツィエク、ヴェルナー、カイ・ハヴェルツ、チルウェル、メンディという大型補強の資金は、アザールとモラタがもたらしたものでした。

ヴェルナーとカイ・ハヴェルツを活かし切れなかったランパードは、2021年1月に解任となってしまいましたが、後を継いだトーマス・トゥヘルが堅牢な最終ラインを構築し、クラブをビッグイヤー獲得に導きました。エデン・アザールという絶対的な存在が離脱した後、2年で欧州を制するに至ったブルーズは、ロメウ・ルカクという新たなエースの獲得に迫っています。得点力不足を解消できれば、プレミアリーグ2020-21シーズンはペップやクロップと伍する戦績を残せるのではないでしょうか。

さて、今年はトッテナムです。「スカイスポーツニュース」のトランスファーショーが、ハリー・ケインの移籍についてディスカッションしています。「スパーズは、インテルがチェルシーとルカク売却に合意する前に、ラウタロ・マルティネスの獲得に合意していたのだろう。彼の契約は2年しか残っておらず、ドアをノックし続ければ可能性はあると思う」と語るのは、カヴェ・ソルヘコル記者です。

自分がダニエル・レヴィだったらハリー・ケインをキープすると続けたレポーターは、「彼を失ったら、スパーズは弱くなる。残留させれば、3年で100ゴールをゲットしてくれるだろう。そんな選手がどこにいる?」と主張しています。確かに、そうです。自ら決めるだけでなく、ソン・フンミンのゴールを増やす原動力にもなっているストライカーは、3シーズンあれば1億5000万ポンド以上の収益を残してくれるでしょう。

2013年にガレス・ベイルを売却したときは、7人の即戦力を獲得して失敗。長くクラブに貢献したのは、エリック・ラメラだけです。ヴィラス・ボアスが解任となり、ティム・シャーウッドで急場をしのいだチームを強化したのは、2014年の夏にやってきたマウリシオ・ポチェッティーノでした。初年度にエリック・ダイアー、ベン・デイヴィス、デル・アリ、2年めにトリッピアー、アルデルヴァイレルト、ソン・フンミンを手に入れた指揮官は、4年連続でTOP4フィニッシュを達成し、2018-19シーズンにはCLファイナル進出を果たしています。

ハリー・ケインが夏にチームを去れば、ヌーノ・エスピーリト・サント監督に多大なプレッシャーがかかります。既にクリスティアン・ロメロとブライアン・ヒルを獲得していますが、補強は充分とはいえません。エースの穴を(できるだけ)埋められるストライカーと攻撃力がある右SBの獲得、さらなるCBの強化、デル・アリの再生は上位に復帰するための必須条件でしょう。

エース売却で得た資金を活用してチームを立て直すのか、3年の契約を盾にエースを説得して積み上げ型の強化を継続するのか。財政に余裕がないスパーズが、最強ユースと資金力があるチェルシーと同じ道を歩けるとは思えません。ダニエル・レヴィ会長とヌーノ・エスピーリト・サント監督の喫緊の課題は、これまでチームを支えてくれた10番にノースロンドンで戦い続けるモチベーションを与えることです。


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