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苦しいポチェッティーノ…スパーズの不振に「1年前の補強ゼロの影響説」を提示します!

トッテナムのマウリシオ・ポチェッティーノ監督が窮地に立たされています。8節まで終了したプレミアリーグは3勝2分3敗、チャンピオンズリーグはオリンピアコスに2-2で引き分けた後、バイエルンに2-7惨敗。ホームで7失点を喫して敗れたのは、クラブ史上初のワーストレコードです。カラバオカップもコルチェスターからゴールを奪えず、PK戦で初戦敗退。昨季のCL決勝トーナメントが始まった頃からスランプに陥ったチームは、直近のプレミアリーグ20試合で6勝4分10敗とTOP10圏外の数字に留まっています。

ブライトンに3-0で完敗したゲームのレポートで、スパーズの不振の理由について、私は以下のような仮説を並べました。「CL燃え尽き症候群」「デル・アリのスランプ」「トリッピアーの離脱」「アルデルヴァイレルト、エリクセン、ダニー・ローズなど移籍に失敗した選手たちのモチベーション低下」「エンドンベレ、ロ・チェルソ、セセニョンらフィットしない新戦力」。どれかひとつというわけではなく、さりとてすべてでもなく、複合的な要因が重なっているのでしょう。本日は、ここにもうひとつの可能性を提示したいと考えています。「昨夏の”補強ゼロ”の影響」。ポチェッティーノ監督のチームが4シーズン連続でCL出場権を獲得した歴史を振り返ると、入団2年めの選手の活躍が目立つのです。

夏に獲得した選手を大きく3つに分けると、初年度から活躍する選手、チームに貢献できずに終わる選手、フィットするのに時間がかかりながらも2年目以降に真価を発揮する選手となります。ここ数年のスパーズは、3つめの「2年め以降に活躍」に入る選手がキーマンとなっています。就任後、初めてプレミアリーグでTOP4フィニッシュを達成したのは2015-16シーズン。レスターがミラクルを起こしたあの年です。3位に食い込んだスパーズには、前シーズンの冬に加わったデル・アリがいました。彼の足跡を辿ると、ミルトン・キーンズ・ドンズに支払った500万ポンドはいかに安かったかとため息が漏れます。

2015-16シーズンの新戦力を見ると、セインツで活躍していたトビー・アルデルヴァイレルトはいきなり最終ラインの主力になり、カイル・ウォーカーという巨大な壁があったトリッピアーの本格化は3年め以降となりましたが、最初の年はプレミアリーグ28試合4ゴールと空回りしていたソン・フンミンが2年めで34試合14ゴールと躍進。ドイツに戻りたがっていた韓国代表FWをすぐに売っていれば、昨季のCLでファイナルに進んだのはペップだったはずです。マン・シティとのホームゲームで決勝ゴールを叩き込み、セカンドレグのシティ・オブ・マンチェスターで撃ち合いに持ち込む2発を決めた彼がいたからこそ、記念すべきマドリードの夜が訪れたのだと思います。

話を戻しましょう。2016年の夏に入団したムサ・シソコも、最初のシーズンが終わった直後は移籍が取り沙汰されていました。プレミアリーグにおける先発が8試合に留まっていた中盤のオールラウンダーは、2017-18シーズンには15試合に数字を伸ばし、今やチームの真ん中に欠かせない選手となっています。この年の新戦力では、冬に獲得したルーカス・モウラが2年めに輝きます。プレミアリーグ32試合10ゴール、最高のパフォーマンスはCLセミファイナルのセカンドレグ。後半だけで達成したアヤックス戦のハットトリックを忘れるサポーターはいないでしょう。

そして2019-20シーズン。1年前に補強ゼロだったスパーズは、初めて2年めのブレイクを期待できないシーズンを過ごしています。新戦力のロ・チェルソ、エンドンベレ、セセニョンはいずれもフィットするのに時間がかかりそうで、アトレティコ・マドリードに移籍したトリッピアーの穴は埋まっていません。デル・アリは以前の輝きを取り戻せず、移籍が噂されていたエリクセンやアルデルヴァイレルトのパフォーマンスにも不満が残ります。昨夏にニューフェイスを獲得していれば、窮地に追い込まれたチームを活性化してくれていたかもしれません。

2015年の夏にチェフしか獲得しなかったアーセン・ヴェンゲルは、翌シーズンにCL出場権を手離しています。2018年の夏をマフレズだけで済ませたペップも、コンパニが抜けた穴が予想以上に大きく、序盤戦で2敗を喫しました。補強をしなかったツケは時間差で請求され、真綿で首を絞めるようにチームを蝕むのかもしれないというお話です。ロリスまで失ったポチェッティーノ監督は、救世主なきまま難しいやりくりを強いられています。

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“苦しいポチェッティーノ…スパーズの不振に「1年前の補強ゼロの影響説」を提示します!” への6件のフィードバック

  1. Superhot より:

    ロリスを失ったとはいえどう見てもミスが多かったし、ガッサニーガはこの機会に世代交代を狙えるだけの選手。
    エンドンベレはそれなりの働きを見せてくれている以上あとはロチェルソですよね。怪我してしまったから仕方ないとはいえ。
    とはいえ、台所事情はそこまで厳しくないので、ワトフォード戦にしっかり勝てれば十分巻き返しも可能だと思いますけどね。
    悪い流れがこの休みの期間で切れてくれれば!

  2. アイク より:

    更新ありがとうございます。
    なるほど、その法則で行くと来シーズンはレッズが…
    浮き沈みの激しいリーグゆえ、一年先の予想すら難しいですね。

  3. プレミアリーグ大好き! より:

    スパーズの最大の問題点はタイトルが取れていないことにあるんじゃないかと。
    ポチェが残した功績は大きいですが、就任してから1つもタイトルを取れていないことに対して選手の信頼が薄れてきてるんじゃないかなと予想します。
    昨シーズンCLさえ取れていれば今季もまた違った結果になった気がするんですが。

    後は、夏に移籍したがっていたエリクセンを放出できなかったのが問題でしたね。
    ポグバしかり移籍願望のある選手を無理に残してもロクなことがないというのがよく分かります。

  4. ホタ より:

    タイトルが取れなくても安定した成績を残し続けていたチームとホームタウンを同じくしているので、性急なタイトル待望論より辛抱のしどころという印象ですかね。
    負傷者や個人の好不調が今の所全て裏目に出ており、策を練って臨んでくる相手に有効な新手も既存の戦力差も示せてない状況です。
    補強ゼロの影響もあると思いますが一年前のことをとやかく言っても何も好転しないので、何か転機になる選手、プレーが見たいですね。例えば最近めっきりなくなってしまったアカデミーからの抜擢などが…

    —–
    面白い着眼点であると同時に、ポチェッティーノ監督の指導力の高さを改めて感じますね。

    —–
    以前、他の記事で「18ヶ月選手を獲得しなかったツケを払っている」と言いましたが、まさにmakotoさんが今回考察されたことです。

    昨季は現有戦力をなんとかやりくりしCLでは躍進したものの、リーグ後半戦は散々たるものでした。選手を517日間も獲得しなかったせいで、現有戦力、特に最終ラインが緩やかに下り坂に差し迫る中、2年目覚醒を含めた下からの突き上げが実現されませんでした。つまり、スカッドの戦力構造的にボッカリ大きな空隙ができてしまったのだと思います。

    特に最終ラインにそれは顕著で、ベルギー人コンビは今季はキレがなく、対人戦でも後手後手に回っていますし、右SBは目も当てられない状況です。契約最終年の選手を複数抱えることや、サンチェスの苦戦などの要因もありますが、ここに長期間投資をしなかったことは大きな誤りでした。

    この苦境を脱するには今季獲得した選手の早期フィットを促すか、脆弱なポジションにすぐにフィットできる選手を冬にピンポイントで獲得することだと思います。
    またコマーシャル活動を全て解消し専属栄養士も付けたアリの復活にも期待したいです。

  5. プレミアリーグ大好き! より:

    ポチェを仮に解任するとしたら、スパーズは次の監督選びは慎重に行わないといけませんね。
    ただでさえ、エリクセンとアルデルヴァイレルトの契約切れが迫っている上に大金はたいた新戦力がまったくフィットしていないので下手な監督が就任したら一気に中堅クラブに戻る危険性があります。

    理想は短期政権覚悟でタイトルを取りに行くならモウリーニョ、安定した現状維持ならアッレグリというところでしょうか。そもそもスパーズが監督に大金をかけるのかという疑問はありますが。

  6. Lily より:

    デレは冬に獲得して残りのシーズン、ローンバックでしたので、夏からは実質一年目です。
    とは言え、御説には全く同意です。全てリヴィの責任。

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