偏愛的プレミアリーグ見聞録

バルセロナはグエンドゥジがほしい。アーセナルはコウチーニョを引き入れたい。ブライトン戦におけるモペイへの首絞めと暴言を謝罪しなかったため、練習にも参加できなくなっている21歳にとって、バルサ移籍は思ってもみなかった大出世。バイエルンと契約できなかったブラジル代表MFは、プレミアリーグ復帰を熱望していると伝えられています。

直近2週間のメディアのレポートを読むと、2つのクラブと選手たちの思惑は完全に一致しています。お金の問題をクリアすればディールは成立すると思われるのですが…。2週間前には、「グエンドゥジに4000万ポンドを付けてくれればコウチーニョを譲るとバルサが持ちかけ、アーセナルは当然これを拒否」などというゴシップが飛び交っており、「どうしてもグエンドゥジを獲得したいバルサが、ラキティッチとビダルを差し出そうとしている」という怪しげな話もありました。

トランスファーマーケットにおいてスワップが成立しない最大の理由は、まさに「お金の問題」。ひとりの選手の値段でさえ揉めるのに、2人の移籍金について合意したうえで諸条件をまとめるというプロセスが複雑化しがちなのです。グエンドゥジとコウチーニョのスワップも、いつものように立ち消えになると見ていたのですが、昨日になって「インディペンデント」が新たなネタをかぶせてきました。「アーセナルが、グエンドゥジ＋900万ポンドという新たなオファーを提示」。いかにもバルサに断られそうなお話ですが、余剰戦力の売却が進んでいない現状では、これが精一杯なのかもしれません。

アトレティコ・マドリードとトーマス・パーティーが結んでいるバイアウト条項の4550万ポンドを出し渋っているアーセナルが、コウチーニョ獲得のための資金を用意できるようになるためには、2つの条件をクリアしなければなりません。ひとつは、FAカップファイナルに勝ってEL出場権を手に入れること。もうひとつは、ムスタフィやパパスタソプーロスの売却の算段をつけることです。アーセナルは、構想外の選手の売却を急がなければなりません。トーマス・パーティーとコウチーニョは、多少無理をしてでも獲るべき人材だと思います。

あらためて、アルテタ監督が保有している戦力を整理してみましょう。GKはレノとマルティネスでOK。セドリク・ソアレス、ベジェリン、ティアニー、コラシナツと左右に2枚ずつ揃っているSBも、触らなくていいポジションです。CBは既にウィリアム・サリバという有望株を確保しており、パブロ・マリ、ホールディング、ダヴィド・ルイス、マヴロパノスをまわして戦っていくのでしょう。前線もオーバメヤン、ニコラ・ペペ、エンケティア、サカ、マルティネッリ、ネルソン、ウィロックと頭数は揃っているので、ラカゼットを売っても何とかなりそうです。サイドの薄さを気にするなら、ボーンマスを退団したライアン・フレイザーのような即戦力を取り込むというアイデアもあります。

明らかにレベルアップが必要なのは、やはり中盤です。フェルナンジーニョ、ロドリ、ジョルジーニョ、カンテ、マティッチ、ファビーニョ、ヘンダーソンなど、ライバルクラブには守備力と展開力を兼ね揃えたアンカーがいますが、ガナーズの面々には不満があります。ジャカは守備におけるポジショニングと判断力が不足しているため、2センターの左かインサイドMFが適役で、ルーカス・トレイラは攻撃の際の配球に難があります。守備力、長短のパスの精度、ドリブルによる攻め上がりと、すべてにおいて現有戦力を凌駕するトーマス・パーティーは、ウルグアイ代表をイタリアに帰してでも獲りたい逸材です。

昨季プレミアリーグで、全員足してもファン・ダイクと並ぶ5ゴールしか決められなかった中盤は、得点力が高い選手が必要なポジションでもあります。プレミアリーグでプレイした経験があるコウチーニョを加えられれば文句なし。ラカゼット、グエンドゥジ、ルーカス・トレイラ、ムスタフィ、パパスタソプーロスらを売却しつつ、エジルをレンタルしてサラリー負担を軽減できれば、2人の即戦力を手に入れることができるのではないでしょうか。エドゥSD、いかがでしょうか。朗報を期待してます！