偏愛的プレミアリーグ見聞録

アーセナルが、ナポリとの一騎打ちを制しました。パブロ・マリ、セドリク・ソアレス、ウィリアンに次ぐ4人めの新戦力は、ガブリエウ・マガリャンイス。「BBC」が報じた移籍金は2600万ユーロ（2314万ポンド＝32億8000万円）、「スカイスポーツ」は2700万ポンド（約38億円）と伝えています。2017年の夏に、母国ブラジルのアヴァイFCからリールに移籍したCBは、トロワとディナモ・ザグレブで修業を積んだ後、2シーズンめの後半戦でレギュラーに定着。昨季はリーグアン24試合、チャンピオンズリーグ6試合に出場し、強豪クラブから注目を集めるプレーヤーに成長しました。

空中戦の強さとハードマークは、いかにもプレミアリーグ向き。アルテタ監督が着目したのは、アグレッシブな長短のパスでしょう。前に出す意識が高いレフティは、ファイナルサードに直接通すボールも多く、ぎこちないビルドアップを改善してくれるのではないかと思われます。「スカイスポーツ」が掲載しているプレーエリアを見ると、左サイドのハーフライン手前でのプレイが最も多く、的確なカバーリングでティアニーのポジションを押し上げてくれるはずです。

プレミアリーグではエヴァートン、セリエAからはナポリとさまざまなクラブからのアプローチがあったなかで、アルテタとエドゥはいかにして彼の心をつかんだのでしょうか。アーセナルの公式サイトから、本人のコメントを拾ってみましょう。「エドゥと私は、アーセナルの新たなプロジェクトについてチャットでやりとりをした。数多く、いい会話ができたと思う。日が経つにつれてエキサイティングな気分が高まり、やがてコーチから電話をもらった。それはとても心強いものだった」。入団してほしいと繰り返したアルテタ監督は、細かい話は一切せず、22歳のCBはひとことで魅了されてしまったそうです。

「君のクオリティ、キャパシティはわかっている。どこまでいけるかも知っている。厳しくやるよ」

いくつかのクラブを検討していたガブリエウ・マガリャンイスは、この言葉を聞いて、偉大なコーチのヘルプによって前に進むことができると確信したと述懐しています。なるほど、素晴らしい。意中のタレントを首尾よく引き入れた2人のスカウトのほうは、ニューフェイスについてどんな言葉を残しているのでしょうか。「BBC」のレポートをチェックしてみました。

「彼は、われわれがしばらく研究を重ねてきたプレーヤーであり、多くのクラブがほしがっていた。ガブリエウはハイクオリティな選手。ミケルとコーチたちは、彼をクラブに組み込むのを楽しみにしているよ」（エドゥTD）
「ガブリエウのアーセナル入団を歓迎する。彼には多くの資質があり、守備のユニットに強度をもたらしてくれる。リールで優れた才能を証明しており、アーセナルでさらに成長を遂げてくれるのを楽しみにしている」（ミケル・アルテタ）

アルテタ監督の本線は4-3-3と見ていたのですが、サイドをカバーできるCBを獲得したうえでメートランド＝ナイルズを残そうとしているのを見ると、3バックも併用…いや、むしろ3-4-3こそがメインの戦術になるのではないかと思うようになりました。「金額次第で、ベジェリンをパリに売る可能性がある」という報道が事実なら、右のWBはセドリク＆ナイルズということになります。コミュニティシールドでCBを3枚揃え、プレミアリーグ王者を屠ったチームは、どんな布陣で戦うのでしょうか。フラムの本拠地クレイヴン・コテージで開催される緒戦が、今から楽しみです。